現場で起きたことが「本物」だと思うんですよね
──今回のツアーでは、セットリストを10パターンくらい検討して、メンバーで協議したという話を伺いました。かなり密にコミュニケーションを取っていたんですね。
mikina : 定例のミーティングとかでも話しましたし、チーム全体で話す機会も多かったです。ふとしたタイミングでも、「あの曲が1曲目だと違うかもね」みたいな話をしながら決めたりして。実際にやってみないとわからない部分も多かったので、ライブで流動的に変えていきながら進めていきました。
──10パターンの中から、最終的なセットリストはどうやって決定したんですか?
mikina : 前半は「パターンAがいい」、後半は「パターンBがいい」って意見を取り入れて、そこから微調整していった感じだったと思います。実際にプレイリストを組んで、流れをチェックしたりもしました。あと、「SHOWTIME」を前半に入れるかどうかは、けっこう議論になりましたね。
──それはどういった理由からなんでしょう?
mikina : 私は最初、「SHOWTIME」を後半に回すのはちょっと違うかなと思っていたんです。新曲で、ツアーで初めてやる曲だったので、“これから披露します!”っていう感じをちゃんと出したくて。一方で「楽しくなきゃ意味ない」って思いもあって。ライブの序盤で、お客さんがまだ心を開ききっていないと、そのまま最後まで集中しきれないこともあると思うんですよ。だから、なるべく早い段階で盛り上がりを作っていきたいなって。「SHOWTIME」はキメ感が強くなっちゃうから、どうしようかなと悩みました。
──確かに、立ち上がりの温度感は大事ですよね。
mikina : そうなんです。結局は「SHOWTIME」の見せ方を変えて、自分の中でのイメージも更新できればいいんじゃないかと思えるようになって。そうやって頭に持ってくる構成に落ち着きました。あとは、間のつなぎとかも細かく詰めていって。

──セットリストには一貫したテーマのようなものはあったんですか?
mikina : 「ガンガン行こうぜ」というテーマでした(笑)。今回は“やってやるぞ”ってエネルギーが根底にあったと思います。いろんな課題や要求もある中、4人でもう一度火を灯すというか。でも、ガチガチにギラついてるわけじゃなくて、自然体のまま、ライブ本来の楽しさが出てる感じ。ある意味、一周回ったからこそ出せる空気感が生まれてると思います。
──「Obsession」は、特にmikinaさんの<見逃さないで>というセリフが、さらに強調されているアレンジになっているんですよね。
mikina : タイムリープみたいな音が流れたあと、一瞬時が止まるような演出が入るんです。その直後に正面からバーンと音がきて、<見逃さないで>ってセリフが強調されるように作っていただきました。最初に聞いたときは、「え、これやるの!?」っていうくらい、私も時が止まった感じがあって(笑)。ただ、あの瞬間にカメラ構えるお客さんも多いし、みんな集中して見てくれてるんですよね。そういう予想外の良さを演出できている実感があって、嬉しいです。もっとかっこよく乗りこなしたいですけど(笑)。
──自分の中ではもっと活かせる、っていう思いもある?
mikina : もっと自分のものにしたいです。もともとあそこは目立ちパートだったのに、今はさらに注目されているので、これはもう頑張らないと!って思っています。
──そして、新曲「iD」も披露されましたよね。メンバー全員で作詞されたそうですね。
mikina : みんなが出してきた歌詞のフレーズを、組み合わせながら作っていきました。
──作詞にあたって、あらかじめ方向性やテーマの共有はあったんでしょうか?
mikina : 今回のツアーと同じテーマで、「4人で揃って、もう一度進んでいく」「私たちはこういうグループです、ということを証明していく」っていう大きな軸がありました。その上で、私はそこに“ストイックさ”を込めたいなと思って、歌詞を書きました。
──たとえば、どんなフレーズを書いたんですか?
mikina : メンバーに「mikinaってストイックすぎてウケる」って笑われたのが、<まだ倒れるまで 踊れてないでしょう?>っていう一文で。完全に運動部ですよね(笑)。ツアーが始まる前に“やるぞ!”って気持ちが強かったので、そのくらいの意気込みを込めたかったんです。
──他にも使われた歌詞はありますか?
mikina : <不恰好な円陣は>とか<画面の上に正解はない>とか、そういうところも私が出したフレーズですね。大きく採用されたのは、そのあたりかな。
──いまお話に出た<画面の上に正解はない>は、さっきまでSNSについて話していた流れもあって、リンクしてる部分もあるのかなって。
mikina : たしかに(笑)。でも、意図的にリンクさせたわけではないんですよ。SNSって、本当にいろんな意見があふれてるじゃないですか? でも結局は、自分が動いたこと、現場で起きたことが「本物」だと思うんですよね。そういう“芯”をちゃんと持っていようという気持ちで書いたつもりです。SNSで発信する側でありながら、現場で頑張ってる人に向けたメッセージでもあります。
