
キャッチーなディスコ・チューンに溢れた、フル・アルバムをリリース!
大阪のおしゃれスポット堀江系ガールズ・グループ、Especiaが、待望の1stアルバムをリリースした。グループ名と同様に、スペイン語で名付けられた本作のタイトルは、「夕方」と「夜」という意味をもつ『AMARGA -Tarde-』と『AMARGA -Noche-』。グループのコンセプトに掲げられた80'sというテーマをさらに押し広げ、アーバンでムーディ、そしてジャジーでシティ・ポップな要素をさらに広げた作品となっている。
もはや彼女たちの活動はアイドルという言葉ではおさまりきらないが、逆にアイドルというフォーマットを使うことで、新鮮に聴かせることができるのかもしれない。5月26日には結成1周年を祝う梅田CLUB QUATTROでのワンマン、そして8月18日には渋谷WWWでのワンマンを控えている彼女たちに、横浜で行われた船上ライヴの翌日、話を訊いた。
インタビュー & 文 : 西澤裕郎
2nd EPを2タイプ同時にリリース!
Especia / AMARGA -Tarde- / -Noche-
【価格】
mp3、wav共に 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
『AMARGA -Tarde-』 西日を映すビルディング、賑わい出すアヴェニュー。甘美な苦みはとっておきのスパイス。
『AMARGA -Noche-』 夜の帳が下りる頃、着飾った町並みは鮮やかに踊りだす。さぁもう一度、酔いしれて。
INTERVIEW : Especia
——昨日(2013年5月12日)の横浜での船上ライヴ、いかがでしたか?
冨永悠香(以下、冨永) : 楽しかったです!! 『Tarde』と『Norche』というタイトルで2回公演をやったんですけど、それぞれ景色が全然違って最高でした。夕方にやった『Tarde』は夕日に向かっていく感じがして、夜にやった『Norche』は同じ曲でも景色が違うから全然雰囲気が違って、すごくよかったです。
脇田もなり(以下、脇田) : 最初は『Tarde』しかチケットを取っていなかったのに、夜も観たくなったからって当日券を買って乗ってくれた人もいて、ヤバかったです(笑)。

——船の上でライヴをやること自体はどうでした?
冨永 : その場は大丈夫だったんですけど、1日中船に乗っていたので、終わったあともずっと揺れている感じがしました(笑)。
脇田 : 本番中のダンスも、バシッと決めたいところで揺れてふらついたりしたし。
三ノ宮ちか(以下、三ノ宮) : すごく変な感じがしました。舞台から落ちてしまったりね(笑)。
杉本暁音(以下、杉本) : でも、めっちゃおもしろかった。ファンの人たちに「落ちるかと思った」って言われたしね。
森絵莉加(以下、森) : テンションがあがりすぎて、本当は降りないところなのにジャンプしてステージから降りたり。リハーサルのときは船酔いがひどかったけど、酔い止めの薬を飲んだらテンションがぐりぐり上がりました(笑)。
——横浜の景色をバックにしたゴージャスな感じと、海の上で見る夕暮れの哀愁が絶妙にくみ合わさって、今回のアルバム・コンセプトにぴったりあうイベントだったと思います。そういえば、「パーラメント」のPVも横浜で撮ったんですよね。
冨永 : そうなんです。昨日はベイブリッジの真下も通ったんですよ。ジャケットの絵はベイブリッジだっけ?
マネージャー清水大充(以下、清水) : ジャケットの絵は違うよ。フィンランドの橋だよ。
冨永 : えっ、そうなんですか!? 知らなかった…。
——あははは。衣装も変わったし、前作よりもさらに都会的な感じが際立ってきましたね。5月26日には結成1周年で梅田CLUB QUATTROでのワンマンが控えていますが、結成してから1年経った実感はありますか。
三ノ宮 : 1年って早いなあ。あっという間です。
——僕が初めてみなさんとお会いしたのは、初東京遠征のときで、まだまだ不安な感じがして初々しいなと思ったのを覚えています。そのときと比べるとだいぶ堂々としましたね。
森 : 最近はあんまり緊張しなくなって、素が出せているかな。
三ノ宮 : MCも慣れてきて、マシになってきたって言われます。最初はステージ・ドリンクを飲みにいくタイミングもわからなくて、一時間半ぶっ通しでやったりとかしていたから(笑)。
——(笑)。去年リリースした『DULCE』は、タワーレコード新宿店に取り上げられたり、じわじわと着実に反響を見せていったけど、みなさんはどう感じていました?
冨永 : タワーレコードに置かれた自分たちのでっかい写真を見て、うれしくて号泣しました。
森 : お店で流れてて、うわーってなりました。
杉本 : 薬局でいきなりEspeciaが流れてきたことがあって、びっくりして店内走り回っちゃった(笑)。

——2012年12月にはメンバー(井立田優香)の卒業もありましたが、グループのバランスはどうでした?
冨永 : めっちゃ崩れました。歌とかダンスとか現実的なこともそうだけど、精神的にくるものがあったんです。メイン・ボーカル的なポジションでありながら、うちらのことをまとめてくれていた子だったので。
脇田 : 辞めるって聞いたのがワンマンの1週間前だったしね。
冨永 : 目の周りのメイクが取れるほど、みんな号泣して。
——精神的に崩れたところから、どうやって盛り返していったんでしょう?
森 : ライヴを重ねるにつれて、ファンの方の応援とかのおかげで、だんだん立ち直っていけたかな。ファンの人たちが離れていくことはなかったので、安心できました。
脇田 : 私と悠香ちゃんが優香のパートを引き継いだから、覚えることが増えて「どうやって歌ったらいいんだろう」って混乱しちゃったんです。ワンマン前日のリハーサルも不安すぎて泣いてしまって、清水さんに「お前が泣いてどうする」って怒られて。でも最近は優香のパートも自分のパートと思って歌っています。
——大丈夫って思えたのはいつくらいからなんですか?
冨永 : 優香が辞めて1週間くらい経ったら、もう6人で協力してがんばろうってなれました。
——考える暇がないくらい忙しかったのがよかったのかもしれないですね。
冨永 : そうですね。予定の多さに気分が紛れたのかな。
脇田 : 優香がいなくなったことによってダメになったって思われるのがイヤで、がんばりました。やるしかないって焦っていましたね。
Especiaをもっと知ってもらえる存在になりたい
——2012年12月には、ナンブヒトシさんをラップに迎えた楽曲「Good Times」をOTOTOYで無料配信させてもらいました。いまやEspeciaのキラーチューンともいえる楽曲になりましたね。
森 : あの曲はめっちゃ盛り上がるので、私たちにとって大事な曲ですね。
三ノ宮 : イントロが流れた瞬間に、素に戻ったかのようにみんなのテンションもあがるんです。
——アイドル・ファンじゃない人からも反響があって、この曲でEspeciaを知ったって人も結構いると思いますよ。本作はそれ以来となる音源になりますが、タイトルにはどういった意味が込められているんでしょう。
三ノ宮 : これは、全部スペイン語なんです。共通して付いている「amarga」は「苦い」という意味。そして、「tarde」は「夕方」、「noche」は「夜」を表してます。前作の『DULCE』は「甘い」っていう意味だったので、今回は逆ですね。大人びた不倫の曲とかも入っていて、みんな背伸びして歌っています。苦いって言葉がぴったりですね。全部後付けなんですけど(笑)。
冨永 : Especiaっていうグループ名も後付けだもんね。
清水 : スペイン語でスパイスって意味なんですけど、目の前にスパイスっていう整髪料があって。悩んだ末に、これにしようって。
冨永 : あとから一人一人の個性をスパイスに例えたら、なんかいい感じじゃんってなって(笑)。
——そうだったんですね(笑)。前にインタヴューしたときといまでは、80年代の音楽や文化に対するイメージは変わりました?
森 : ディスコって行ったことがないんですけど、バブル世代の人って、お金がなくても楽しかったやろなって。絵莉加もこの時代に生まれたかったなって思います。つねに体を動かしてないと気がすまなくて、いつも飛んだりとかしているから(笑)。
冨永 : Espesiaを通して、いい音楽に触れる機会が増えたので、自然に体が動く感覚がわかってきました。音楽を楽しむってこういう感じなんやろなって。
三ノ宮 : だからこそ、自分たちのライヴで踊ってるお客さんを見るとすごいうれしいです。
森 : Especiaのライヴは盛りあげる人と自由に踊る人にわかれてて、すごくいいと思うんです。そこがEspeciaのよさですね。
冨永 : ケチャをする人もいるし、自由に踊ってる人もいる。一石二鳥って感じやな。
——ただ、昨日の船上ライヴ、ケチャで一番目立っていたのは清水さんでしたね(笑)。
三ノ宮 : そうそう。目の前に清水さんがいて、一番気持ちよさそうだった。
森 : 清水さんのテンションでメンバーののテンションも変わっちゃうんだよね。あの人は目立つ!
脇田 : うちはもう見んようにしてます。

——清水さんはもはや、第7のメンバーって感じですよね。この間は「大阪プロレス14周年記念大会」に出演されていましたが、Especiaは特殊な場所でライヴをすることも多いですよね。
脇田 : 次はどこでするんだろう。ビート板の上とか(笑)? プールでライヴもいいかも。おもしろそう!
——そういった、メンバーからのアイデアは反映されるんですか?
脇田 : 大体うちらはしょうもないこと言ってしまうんで、即却下です。PVも、くさい演技をわざとさせるために、すべて当日に内容を言われるんです。
——当日に言われるんだ!? Especiaは、メンバーの仲が本当にいいですよね。インタヴューしてるいまもすごい思います。
脇田 : だからMCも、日常会話すぎて、ぐだっちゃうんです。
三ノ宮 : 私は暁音をいじりたくて仕方なくて、いまも我慢してます(笑)。いまはボスって呼ぶのにはまっています。
——ボスですか(笑)。そういえば、今日はお風呂が開いていなかったから、みんなでラブ・ホテルに行ってシャワー浴びてきたって聞きましたけど。
冨永 : ラブホ街を歩いて一番安いとこ探して。清水さんと6人で行ってきたんですけど、周りの人どう思うんやろーって! 男の人1人が女の子をいっぱい連れて(笑)。
脇田 : 化粧水とか、もらえるもんをいっぱいもらった。
冨永 : もな、ほんまに大阪のおばちゃんやん!
脇田 : 活動は大阪なんですけど、大阪出身は2人しかいないからみんな方言も違うんです。いろんな関西弁が入ってるんですよ。
——ライヴのときはそこまで関西弁を感じないですよ。
森 : ライヴのときはなぜか標準語になっちゃうんですよね。清水さんの標準語が移ったりしているのかな。
「君はEspeciaで踊る」
——8月18日には、渋谷WWWでワンマン・ライヴ「Bailas con Especia」を行うことも発表しましたよね。
森 : 初めての大きいワンマンやな。「みなさんEspeciaと踊ってください」って意味が込められているんです。
清水 : 正確に言うと、「君はEspeciaで踊る」っていうタイトルなんだよ。
——Especiaを聴いて踊るお客さんの姿、ステージから見たら絶景だと思いますよ。大きいハコを控えていても、緊張っていうよりは楽しんでやってこうって雰囲気がみてとれるんですけど、実際はどうですか?
冨永 : 楽しみのほうが大きいかも。でもその分、自分たちを高めていかないと。
脇田 : ダンスとか歌はもちろん、どう1人1人が前に出ていくかが重要かなって。
——今回、初の全国流通盤をリリースし、梅田での1周年記念ライヴ、渋谷WWWでのワンマンと大きな舞台が控えています。最後に、1人づづ今後の課題を教えてください。
森 : もうちょっとしたら結成して1年なんですけど、ダンスの切れをよくするとか、細かいところを直していきたいです。全国流通を通じていろんな人に興味をもってもらえるようになればいいですし、絵莉加はEspeciaのムードメーカーになって頑張ります!!
三瀬 : 私は喋るのが下手なので、技術はもちろんですけど、会話力を上げたいです。Especiaの曲は、若い人から年配の人まで馴染みやすいと思うので、いろんな人に広まっていくようにがんばります。あと、痩せます。渋谷WWWまでに3キロやな(笑)。
冨永 : 1年でここまでライヴをできたり、メディアに取り上げてもらえたりってやってこれているのも周りの人のおかげなので、感謝の気持ちを忘れずにこれからもやっていきたいです!!
脇田 : ダンスも他のことも、もっと見せれるように、オーラを出して、あか抜けていきたいです。歌唱力も1人1人があげて、音源と近いくらいの生歌でできるようにって思います。

三ノ宮 : たくさんの方に、毎回成長していってるねって言ってもらえてるんですけど、いつか壁にぶつかると思うんです。そういうときがきても、メンバーと清水さんとがんばっていきたい。みんなの個性を消すことなく、Especiaをもっと知ってもらえる存在になりたいです。曲もダンスももちろんだけど、1人の人間としても好きになってもらいたいので。
森 : さすが最年長やな!
脇田 : 声ガッサガサやったな(笑)。でも、次はボスが待ってるので大丈夫です。ボスお願いします!
杉本 : 私は前に出ることが苦手なんですけど、頭ではめっちゃいろんなことを考えてるので、それをもっと出していくってことが課題です。グループとしては、仲良しっていうだけではなくてもっと団結して、本気で支え合える関係になりたいです。全国流通盤で新しい人にも知ってもらって、今応援してくれてる人ももっと好きになってもらって楽しんでもらいたい。ファンの人や関係者の人たちを大切にする気持ちは絶対に忘れずにがんばっていきたいです。
メンバー : ボスありがとうございました!
杉本 : なんなん、みんなして!
——仲良いですね(笑)。これからも期待しています。
LIVE INFORMATION
Especia初のフルバンド・ワンマン・ライヴ&50名限定ライヴ・アフターパーティー開催
2013年5月26日(日)@梅田CLUB QUATTRO
ウルトラ★MIX!!
2013年5月31日(金)@OSAKA MUSE
いずこねこ / Especia / 先富schweitz / TinK'u / ユナイテッドモンモンサン
Bailas con Especia
2013年8月18日(日)@渋谷WWW
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BiSが所属する事務所、つばさレコーズより、2012年6月にデビューを果たした、大阪・堀江発のアイドル・グループ、Especia。80'sディスコ・ミュージックやフュージョンの要素を取り入れた音楽性と、カラフルで奇抜なファッションがにわかに注目を集め、東京でのライヴ・デビューも果たしている。そんな彼女たちの1stEP『DULCE』。
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PROFILE
Especia
大阪・堀江を活動拠点として活動する6人組ガールズ・グループEspecia(エスペシア)。バブル華やかなりし80sを彷彿とさせるデーハーなファッションを2010年代にアップデートさせた装いと、レイト80s~アーリー90sの薫りが充満するサウンドで現在大阪で話題を集めている。