
旬の板前ロック・バンド from 京都
京都の4人組バンド、ねじ梅タッシと思い出ナンセンスがセカンド・シングルをリリース! 由緒正しき京都は祇園の割烹で板前として腕をふるいながら、これまでにおとぎ話、モーモールルギャバン、シャムキャッツ、前野健太らと共演、地元京都の音楽フェスティバル・ボロフェスタにも出演するなど、じわじわとその存在を浸透させてきた彼ら。懐かしくてほんのり切ないポップ・ソングは、涙腺を直撃すること必至です。リリース・レーベルは長州ちからが主宰する十代暴動社! このまま何もおきないはずがない! まずは新作シングル『とてもじゃないよ』を要チェックです。
ねじ梅タッシと思い出ナンセンス
左)2nd シングル『とてもじゃないよ』(新作)
1. とてもじゃないよ / 2. 中学生日記 / 3. 感受性くらい <2011.9.5/京都ネガポジでのワンマンライブよりライブ録音>
300円
右)1st シングル『28才』
1. 28才 / 2. 丸太町で恋をしてるぜ
200円
販売形式 : mp3 / wav
2011年の夏、たまたま十代暴動社のオーナー、長州ちから君に出くわした。そのとき、“ねじ梅タッシと思い出ナンセンス”(以下、ねじ梅タッシ)というバンドの1stシングル『28才』を、同レーベルから発売するということを聞いた。どんなバンドなのか尋ねると、祇園の料亭で板前をしているヴォーカルが、割烹着を着て演奏している4人組だという。しかもシングル価格は200円。1枚買うと握手券がつき、3枚買うと撮影権がついてくるという。それを聞いて、一体どんなスカムなバンドなのかと笑って、僕はその場を後にした。その時話していたことが何となく気にかかったので、シングル発売後にタワーレコード新宿店で行われた、ねじ梅タッシのインストア・ライヴに足を運んでみた。すると、聞いていたインパクトとは対称的に、キャッチーなメロディと誰にでも分かる言葉で歌っており、あまりの普通さにビックリした。しかし、その普通さにこそ、このバンドの魅力が詰め込まれている。

そもそも普通って何だ? 社会における共通前提が持ちづらい現在、普通の意味は人それぞれ違っている。そうした前提を踏まえた上で、ねじ梅タッシの普通について言えば、どこまでも等身大であるということだ。ねじ梅タッシのヴォーカルが、ステージで割烹着を着ているのは、彼が板前として働いていることの延長である。つまり、彼にとっての日常。歌詞においても、身の丈を越えた大きなテーマを歌うわけではない。日常に起こったことや考えていることを、分かりやすい言葉で描く。一番のキモは、歌の中で相手のことを「チミ」と歌っていることだ。そして、自分のことを「オラ」と歌う。かつて、「君と僕の世界」ということがロック・バンドのテーマとして語られることが多かった。それくらい「君」と「僕」は曲のテーマになりやすい(今もそうだけれど)。しかし、ねじ梅タッシが描くのは「チミとオラの世界」である。
なぜ、彼らは君を「チミ」といい、俺を「オラ」というのか。考えてみれば、日常生活において、相手のことを「君」と呼ぶことはそう多くない。それなのに、ひとたびロックの世界になると、「君」という言葉が当たり前に乱用される。極端にいってしまえば、そこで歌われる「君」は、音楽をやる上での借り物の言葉だ。それに対して、ねじ梅タッシは「君」と歌うことを恥ずかしがりながら、「チミ」に変換して歌う。ロックの文法を借りるのではなく、あくまで自分の言葉にして投げかける。ロックというペルソナをかぶるのではなく、徹底的に等身大で歌い上げていることが、ねじ梅タッシのアイデンティティになっている。
彼らは、逃避のために音楽を選んでいるわけではない。もちろん、人並みに仕事を辞めたいと思ったことはあるだろう。それでも、同じくらいの熱量で、バンドと仕事に向かい合っている。現状の不満から逃がれるためだったり、ここではない場所を求めて、バンドを始める人もいるだろう。しかし、ねじ梅タッシは決して逃避することも、ここではない場所を求めることもせず、割烹着を着たり、「チミ」という言葉を使って、2つの世界を繋げて曲を歌う。そんな彼らの歌が、真摯に突き刺さってくるのは当然のことだろう。「君と僕の世界」なんかより、「チミとオラの世界」のほうがリアルに響く。そんなことを、彼らは身を持って教えてくれるのである。(text by 西澤裕郎)
>>十代暴動社主宰 長州ちからが参加するレーベル対談はこちら
ピュア&奇天烈な4人組が十代暴動社から登場
おとぼけビ〜バ〜 / 今夜限りなんて絶対ほんとに言わせないっ!
【収録曲】 1. おとぼけビ~バ~のテ~マ / 2. お兄さんあのね / 3. ウルトラミラクルス~パ~サイヤサイケフェスティバル / 4. ビ~バ~につれてって / 5. ふたりのひみつ
京都・立命館大学の音楽サークル・ロックコミューンにて結成された、同級生4人によるガールズ・バンド。「好き」と「嫌い」の狭間で鳴り響く、ピュアでちょっと破廉恥なひねくれラブソングとトリッキーに展開しながらも、あくまでポップでキャッチーな楽曲が特徴的。4人それぞれの個性が爆発する、ド迫力のライヴ・ステージは評判が高く、あふりらんぽやミドリ、ワッツーシゾンビなど関西ゼロ世代に影響を受けたというのも納得させられる。十代暴動社からの猛烈なラブコールにより、満を持して販売開始!
LIVE SCHEDULE
ねじ梅タッシと思い出ナンセンス 2ndシングル「とてもじゃないよ」発売記念イベント
2012年2月4日(土)@京都丸太町 LIVE&SAKE 陰陽
w / おとぎ話 / 星の王子さまたち(オープニングアクト)
『十代暴動ナイト in 大阪~ねじ梅タッシと思い出ナンセンスレコ発編~ 』
2012年2月5日(日)@大阪 十三 Live Music Bar FANDANGO
w / 北山タイチ朗 feat 長州ちから(レシーバーズポンポンヘッド) / POWER EMPIRE / odd eyes / 谷村じゅげむ(of ワッツーシゾンビ) / ドラヒップ
PROFILE
京都祇園の板前、ねじ梅タッシが包丁とギターの調和をテーマに2006年結成。世の中には「彼らが演奏すると空気が変わる」という瞬間が確かに存在する、ねじ梅タッシと思い出ナンセンスは間違いなく、それに該当する。まっすぐな歌と演奏に胸を打つ、そうそういやしない、このバンドは本物だ。2011夏、十代暴動社よりシングル「28才」リリース。