【ExWHYZ】Episode12 「私たちもマスターもどんなふうに仕上がっているのか、お互い確かめたい」

〈ExWHYZ TOUR 2023 ‘eLATION’ part.2:Special Guest Series〉を大成功に収めたExWHYZ。Seiho、大沢伸一、yahyelという先輩アーティストのパフォーマンスから多くを吸収し、自分たちに反映させた素晴らしいライヴになった。そして東京公演では新曲「As you wish」をサプライズ披露。新たなフェーズへの突入を予感させた。今回は〈‘eLATION’ part.2〉の振り返りや新曲について、また、11月25日からスタートする〈ExWHYZ TOUR 2023‘eLATION’part.3 [Final Series: YEAREND PARTY]〉についても語ってもらった。(nowはスケジュールの都合、midorikoは活動休止中のため不参加)
ハイテンションで突き進む、ExWHYZ初のEP
INTERVIEW : ExWHYZ

ExWHYZがいま、グループの幅を大きく解放している。活動当初に、本格的なクラブミュージック、ダンスミュージックをベースとした楽曲を披露し、グループの色を強く印象付けたが、活動開始から約1年というタイミングで、EMPiRE時代にも一度もやったことのなかった生バンド編成でのライブをサプライズで2曲行ったのだ。しかも、新曲「As you wish」は壮大なロック調のバラードで、WACK代表の渡辺淳之介が作詞、EMPiRE時代に数々の代表曲を手がけたoniが作曲・サウンドプロデュースを行い、サカナクションやKID FRESINOなどを手がける浦本雅史がエンジニアを務めている。
そんな彼女たちに、グループのサウンドプロデュースを手がける3組(Seiho / 大沢伸一 / yahyel)と行ったZeppツーマンライブ「ExWHYZ TOUR 2023 ‘eLATION’ part.2:Special Guest Series」で得たもの、新曲「As you wish」について、11月25日から始まる全国3都市のクラブハウスツアーについてなど、インタビューを行った。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希
一気に異空間に連れて行かれる感覚
――まずは、2マンライブで対バンした3組のことから聞かせてください。名古屋公演でのSeihoさんのライブを観て、どのようなことを感じましたか?
mikina:人を楽しませる天才だと思った!
mayu:EMPiRE時代に作っていただいた「IZA!!」や、「I don't cry anymore」のリミックスもかけてくださったり、マスター的にも飛び込んでいきやすいライブをしてくださったんです。私たちもpart2が始まる前まで、ちょっと不安もあったんですけど、Seihoさんが明るくて楽しむ雰囲気のDJプレイをしてくれたおかげで、初日で「part2もめっちゃ楽しい!」と思わせてもらえて。ちょっとだけ肩の力が抜けて、ありがたかったなと思います。
――メンバー自身も緊張があったんですね。
yu-ki:どんな空気になるんだろう?って想像ができなさすぎて。マスターの反応を見て、みんな楽しんでくれてるって伝わってきたのが、すごくうれしかったですね。
――その次の大阪公演が、大沢伸一さんとの2マンでした。
maho:私はSeihoさんと大沢さんのライブを通じて、楽しいとか興奮する感覚の種類っていろいろあるんだなと感じて。フィジカル的に楽しいって感覚もあるし、心の中からゾクゾクする感じの楽しいって感覚もある。幅広い音の受け取り方に触れられた2日間でした。
mayu:私も大沢さんのDJが進んでいく中で音の感じ方が深く深く研ぎ澄まされていく感覚があって。一人一人が自分と、今感じている音に対峙している感じがして楽しかったです。
――深く深くって、どんな感じなんでしょう?
mayu:洞窟だよね?
yu-ki:そう! 一気に異空間に連れて行かれる感覚。みんなでいるのに一人の世界みたいなところに連れて行かれる。終わりに向けて、どんどん世界が拓けていく感じでした。
mikina:たしかに自分の音に対する感度がどんどん上がっていく感じがした。
maho:そうそう。わかる!
mikina:気づいたら周りに誰もいないみたいな(笑)。音に包まれている不思議体験。あっという間に時間が経つんですよ。40分だったんですけど、あれ? 終わった!?って感じ。
mayu:mikinaちゃんが最近DJを始めたので、ちょっと機材を触らせてもらって、なんとなくちょっと分かった段階で見たので、大沢さんのやっていることは異次元だなって。
mikina:私は、ここで次の曲にしたいっていうのをボタンでピン留めしたりして頑張って繋ぎや組み立てをやったんですけど、大沢さんはその場で構成を組み立てていて。ジャズのセッションを観ている感じなんです。


――ファイナルの東京公演はyahyelとの2マンでした。
mayu:yahyelの音楽を聴いていると、自分が見えてくるんですよね。哲学みたいな感じ。自分との対話みたいな感じがして、一人の世界に入っていけるというか。みんなと一緒にいるのに一人になれる音楽。人によって音の感じ方も違うだろうし、体の揺らし方、動かし方とかも変わってくるというか。だから、「Dance Your Dance」なんだなって気づきました。
ーyahyelのヴォーカリストの池貝俊さんがライブ中に客席に降りていくのを、mahoさんは身を乗り出して見ていたそうですね。
maho:あの場に入っていく湧き上がるエネルギーってすごいなと思って。何回かライブを観させてもらったことがあるんですけど、そうなる瞬間がいつなんだろうってことに興味があって。決めてやっているわけじゃないだろうし、やらない日もあると思うんです。何かがあって、その行動にいっちゃっているんだろうなと思って。それを目撃した日でした。
yu-ki:曲もそうなんですけど、映像も相まって迫力がすごかった! 山田(健人)さんが途中、弓でギターを弾き始めて。そういう自由に表現する感じが、すごく素敵だなって思いました。以前観に行かせていただいたときはチェロを弾いていたり。いつまでも音楽を追求し続けている姿勢がかっこいいんです。
――このZeppでの3公演を通して、どんな学びがありましたか?
mayu:今一人一人メンバーの話を聞いて、近しいものを感じているなと思いました。個人的には、音の感じ方が人によって違うってことを感じて。だから、ダンスとかも同じ曲を踊っても人によって違うんだな、と。それって、私はスキルの問題だと思っていたんですよ。でもそうじゃなくて、音の感じ方が違うからダンスも違うんだと思えたんですよね。だから、自分自身もパフォーマンスをするときに、この音に対して、ただ手を伸ばすとか、足をこうするとかだけじゃない、もう一歩踏み込んだところにまでこだわりたい気持ちがこのツアーで出てきて。グルーヴみたいなものをなんとなく理解できたかなと思いました。
mikina:私も、自分が初めてDJをやったとき、普段と違う音の感じ方をした経験があって。今回のライブでも自分の知らない音への感じ方があったし、人の中にはいろいろな種類の琴線があるんだなって感じました。湧き上がるポイントがいろいろな種類あるんだなとわかった。自分の知らなかった世界に触れることができて、表現したい幅も広がったし、一個一個洗練させていきたいなと思いました。
yu-ki:ExWHYZになってから、フリーで踊る振りが増えたんです。私はそれにちょっと苦手意識があったんですけど、お三方のライブを観たとき、自然と音に乗っている自分がいて。もしかしたら、今までの自分はステージ上で変に気張っていたのかなと思って。そういう部分も気にしなくなったというか、音の乗り方を掴み始めた感じが自分の中ではあります。
maho:そうやって音楽で魅了する存在の人たちが、私たちに力を貸してくださっていることをあらためて実感できたし、心強いなと思いました。真剣に向き合って一緒に作ってくださったので。それがすごくありがたかったです。またやれたらいいなってすごく思ったので、この6人で続けていって、今回よりもおもしろいことができたらいいなと思います。
――そして、ExWHYZは東京公演のアンコールで初の生バンドでパフォーマンスを行いました。しかも新曲の「As you wish」をサプライズで披露ということで、いつぐらいから準備を始めたんでしょう?
maho:企んだのは結構前で。武道館の直後だから、5月中旬ですね。oniさんとまたご一緒できたらいいなという話はずっとしていて。スタッフさんが、「oniさんと会ったよ」「こういう曲にしたいねって話をしてきたよ」って話をしてくれるのをちょくちょく聞いていて。
――oniさんは「FOR EXAMPLE??」、「ERROR」など、EMPiRE時代の軸となる楽曲を多数作ってきたクリエイターですが、改めてどんな存在の方なんでしょう?
mikina:私は、EMPiREらしさを作ってくださった方だと思っています。自分の中でEMPiREはこうなんだ、こっちで頑張りますみたいな気持ちがoniさんの曲で固まった。EMPiREの頃から、私たちに気持ちを向けてくれている方で、とても好きな方です。

