ラウドなロックでファンを沸かすアイドル、raymay──姉グループ、uijinから繋がれたバトン

左から、しょこ、きーこ、りん、こあ
ラウド・ロックやミクスチャーの要素の強い楽曲を武器に、ライヴ・アイドル界隈で絶大な支持を得ているraymay。先日公開した姉グループuijinのインタヴューに引き続き、今回OTOTOYではraymayメンバー4人全員の声をお届けします。彼女たちのuijinとの出会いや、uijinの元メンバー、ありぃとやよいから聞いたメンバー1人1人の印象も発表します。
raymay 最新音源「Rebel Rebel」
INTERVIEW : raymay

左から、こあ、りん、きーこ、しょこ
raymayは2018年12月のデビュー以降、ライヴハウス・シーンを中心に着実に人気を獲得。昨年10月には渋谷O-WESTでのワンマン・ライヴを成功させて、順調にファンを獲得してきた。ただ、彼女たちが勢いよく成長している理由の1つには「uijinの妹グループ」という恩恵も大きい。しかし、uijinは今年2020年1月に新木場STUDIO COASTのワンマンで解散。きーこが「背中を追いかけている途中だった」という話すように、目標であった姉グループを失ったことはraymayにとっても大きな出来事だったはずだ。今回はraymayにとってuijinとはどんな存在だったのか?そして、これから彼女たちの進むべき道についても探っていった。
インタヴュー&文 : 真貝聡
写真 : 宇佐美亮
カッコよすぎて「入るならuijinさんのいるsakebiしかないでしょ!」と決めたんです
──4月1日にリリースされた“Rebel Rebel”の話から聞きますが、3月9日にMV撮影をしたんですよね?
しょこ:そうです。朝7時40分に集合して、終わったのが次の日の朝4時でした。撮影はいろんな場所へ行ったんですよ。かなりごちゃごちゃしているので、映像を観てもストーリーはよく分からないかもしれないです(笑)。
きーこ:なんかraymayって全部のMVにラーメン屋が出てくるんです。全体的に治安が悪い。マジかよ…… みたいな場所で撮影することも多い。
りん:あと、今作から@JAMさんとタワーレコードさんのレーベル(MUSIC@NOTE)に所属させていただいたので、撮影では営業前のタワーレコード・新宿店さんを貸し切って、タワレコおなじみのエプロンを着たのも印象深いです。
きーこ:ラーメン屋さん、タワレコさんなど色々回って、最後はパチンコ屋に行きました(笑)。
──いろんな意味で見応えを感じますよ。
しょこ:撮影に入るまでは「長そうだな」と思ったんですけど、始まってみたら楽しかったです。
──楽曲が届いたときは、どんな印象を持ちました?
しょこ:あまりメロディの部分がないのと、1曲の中に展開が多いのもおもしろいと思いました。基本はラップ調なんですけど、最後は爆上げで終わるのもraymayらしくて好きです。
りん:今回は元Fear, and Loathing in Las VegasのSxunさんに作曲をしていただきまして。レコーディングにいらしたときは本当に緊張しました。
きーこ:これが私たちにとって初めてのシングルですし、「raymayに新しい風を吹かせる1枚にしなくちゃ!」という気合も込めてますね。

──ここからが本題なんですけど、今回は姉妹グループであるraymayとuijinのお互いの印象を探るインタヴューとなっています。まずは個人についてお聞きしたいんですけど、やよいさんってどう見えてますか?
きーこ:顔が本当に大好きなんです。二次元からそのまま飛び出してきた感じありませんか!? uijinさんのコンセプトが「neo tokyo」ですけど、本当にそういうところに住んでいるのかなと思うぐらい、二次元っぽさがあって。私はアニメが好きだから、やよいさんのような方は憧れます!
しょこ:あとステージ上では、歌が上手いし何でもできるオールラウンダーな感じがします。
──ありぃさんはどうですか?
こあ:煽りがすごい熱くて、ライヴを観ててもありぃさんはすごくグッと胸に迫るものがあるというか、心が熱くなります。
きーこ:唯一無二な感じがしますね。
りん:ありぃさんがいてこそのuijinさんみたいな。
しょこ:普段はふわふわした優しい雰囲気だけど、ステージ上では全然違うよね。何よりも最近はレッスンを観に来てくれたり、ライヴのアドバイスもしてくれたりするんです。そのときに1人1人のことを考えて指摘してくださって、最後には良いところも言ってくださる本当に優しい方です。

──そもそもみなさんは、どんなタイミングでuijinと出会ったんですか?
こあ:じゅじゅというアイドルグループで活躍してる、みおりンゴ(みおり)ちゃんって友達がいて、その子と仲良しなのがuijinのりんさんなんです。そんな接点もあり、気になってuijinさんのMVを観たら「めっちゃ曲の感じ好きだ」と思ってハマっていきました。最初にハマったのは“ten-age”で何度も聴いてましたね。そのあとに〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉で、どうしてもuijinさんが観たくて会場に行ったら入場規制で観ることができなかったのは思い出深いです。
きーこ:2018年8月に「アイドルドラフトオーディション2018」という芸能事務所7社合同で開催したオーディションあって。最初は「バンもんさん(バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI)の事務所があるから受けてみよう」と応募したんです。で、どうせなら各事務所のアイドルさんの音楽も聴いてみようと。そこでuiijnさんに出会ったんです。最初“meltdown”にハマって「アイドルなのにこんな歌! ヤバイ!」と衝撃を受けました。あまりにもカッコ良かったので、最終審査の前日に新宿MARZで初めてuijinさんのライヴを観に行ったんですよ。私、バンドも好きでフェスにも遊びに行っていたんですけど、アイドルであんなにリフトとか激しいライヴをする人たちがいるんだ、と思って。カッコよすぎて「入るならuijinさんのいるsakebiしかないでしょ!」と決めたんです。
しょこ:私が別のグループで活動していたときの話なんですけど、ある日、新木場STUDIO COASTで大きめな対バン・イベントに呼ばれまして。そこにuijinさんも出演されていたんです。その日、初めてライヴを観たんですけど「アイドルと思えないくらい煽りも熱くて、こんなにカッコイイグループがいたんだ」とそこでファンになっちゃいました。
りん:私はいつのタイミングで知ったのかは覚えてないんですけど、自分が別のアイドル・グループで活動をしていたときに、uijinさんが7日間連続公演をやってて。日替わりで有名なアイドルさんと対バンしているのを知って、「自主企画でこういう面白いことをやるアイドルさんがいるんだ」と気になったのが最初です。その次に、タワーレコードさんとコラボしたポスターを目にして「こんなこともしてるんだ!」と。そこから段々、名前を意識するようになりました。

sakebiという事務所で、アイドルはraymay1組になっちゃうのか……
──その後、2018年12月3日に所属事務所sakebiのホームページにてraymayの結成が発表されて。同月24日に新宿BLAZEでuijinとの2マン・ライブ〈best family forever(not alone)〉を行いましたね。
きーこ:uijinさんと初めての2マンだったことと、なにより私たちにとってはお披露目ライヴでもあったので本当に緊張しました。そもそも私、人前で歌って踊るのが初めてだったんですよ。そんな新人にも関わらず、満員の新宿BLAZEでライヴができて「uijinさんの力ってすごい」と思いました。
こあ:あの日、自分的には人生の再スタートだったんです。それに元はといえば私はuijinさんに入りたかったんですよ。それだけ憧れのグループさんと同じステージに立てたことが嬉しかった。
しょこ:本番前から緊張していたんですけど、いざステージに立ったら多くの人がいて「uijinさんの妹ということで、こんなにも期待されるんだ」と緊張感が増しました。
──raymayは結成当初から「uijinを超えるために作られたグループだ」と言われてきたそうですけど、そこに対するプレッシャーはありました?
きーこ:それは今もずっとプレッシャーを感じてます。
しょこ:でも、デビューのときはuijinさんを雲の上の存在として見ていたので、超えようと思うほどの余裕はなかったです。それこそ最近になって、ようやく意識が強くなってきてて。
──前回のインタヴューでuijinのありぃさんとやよいさんに話を聞いたら、お披露目ライヴのときはそこまで会話らしい話をしてなかったと。2019年の年明けに振袖の写真を事務所の皆さんで撮りに行って、そこで初めてコミュニケーションをとれたそうですね。
きーこ:振袖のときは「一緒に写真撮ってください!」とお願いするのが精一杯で、それ以上の会話はできなかったですね。ちゃんとお話ししたのは去年10月28日、渋谷 eggmanの〈COSMICBOX vol.94〉というイベントに出演させていただいたとき。たまたまuijinさんと同じ楽屋になって、そこでやっと話ができました。
──その頃はすでに解散が発表されていましたよね。
りん:uijinさんはワンマン・ライヴの動員はいつも凄かったし、ツアーも決まっているタイミングでの解散発表だったので、とても驚きました。だけど私てきに思うのは、解散したからといってuijinさんのお客さんがraymayに来てくれるのか?と言ったら多分そうじゃない。なので解散を知ったときは「sakebiという事務所で、アイドルはraymay1組になっちゃうのか……」というプレッシャーと「これまで以上に頑張らないといけない」って意識が強くなりました。
こあ:sakebi所属の2組を好きでいてくれるファンの方もいるし、「一緒に出るからライヴに行きたい」と思ってくれている方もたくさんいて。uijinさんがすごく好きだったので、イチファンとしても寂しかったです。
しょこ:11月30日に最後の2マン〈best family forever final〉をしたんですけど、そのときに「もう一緒にライヴをすることがないんだ」と寂しい気持ちになりました。
きーこ:…… 人として皆さん好きだったんですけど、アイドルとしても1人1人大好きだったから、妹グループとしての悲しみもあるし、ファンとしての悲しみもあって。追い越す気持ちで頑張ってきたのに、突然その存在がいなくなっちゃって……。これからはsakebiに所属している唯一のアイドル・グループとして、私たちが頑張らなきゃと思いました。それと1月5日に新木場STUDIO COASTで開催した解散ライヴ〈LAST DANCE TOUR〉も観に行ったんですけど、あえてMCをせずに曲だけで気持ちを伝えきったのに感動しました。
しょこ:みんなボロ泣きだったよね。
りん:他のアーティストさんが新木場STUDIO COASTでライヴをしたときにも観に行ったことがあるんですけど、それと比にならないくらいuijinさんは会場中がお客さんでパンパンだったことにビックリして。あと、とにかくステージの4人を観ていると感情移入しちゃうんですよね。自分の気持ちも入っていくというか。そういう意味でも感動しましたね。
私たちは私たちのやり方で向き合っていくつもり

──これまでraymayの皆さんにuijinの印象を聞いてきましたけど、ここからはありぃさんとやよいさんに聞いた1人1人の印象を発表したいと思います。
しょこ:え〜、怖いなぁ!
──じゃあ、しょこさんから行きましょうか。やよいさん曰く「一番アイドル、アイドルしている子です」と。
きーこ:おお、確かに。
──他に「可愛くてパッと見で目を惹くメンバーです」とも言ってました。
しょこ:(満面の笑みを浮かべて)うれしい! うれしいです!
──ありぃさんは「raymayはカッコイイ曲が多いけど、しょこさんの可愛い声が加わることで親しみやすさが生まれる」と。
しょこ:ありがとうございます(照)。すごくありがたいです。嬉しくて他にコメントが出なくすいません(笑)。

──次はきーこさんの印象を紹介しますね。やよいさん的には「頭がおかしい人です」と。
一同:アハハハハ!
しょこ:愛されてる証拠だよ!
──あとは「話しているときに挙動不審です」って。
きーこ:そうですよねぇ! 多分、全人類から思われてます。
──いま、普通に受け答えしてません?
こあ:いや、よく見てください。身体が小刻みに揺れてますよ。
──あ、確かに!
きーこ:気をつけようとは思っているんですけど、何か揺れちゃうんですよね。じっとしていられないというか。
──もちろん良い意見もありますよ。「普段は笑っているけど、実際は色々と考えている人だと思う」って。
こあ・しょこ・りん:おぉ〜!
しょこ:確かに、子供っぽく見られがちなんですけど、考えは大人だなと思うことがあります。
こあ:うん、しっかりしてますね。
しょこ:おかしいのそうなんですけど、芯はあるおかしい人っていうか。
──それと「ライヴを引っ張ってくれている」とも言ってました。
きーこ:自称じゃなくて良かったぁ。嬉しいです。
──ありぃさんから見た印象は「スタイルが良いのでステージ映えする」と。
きーこ:えっ! 体型のことをありぃさんに言ってもらえた! 脚を出してて良かったです。

──こあさんの印象も発表しますね。やよいさんは「オシャレです」と言ってました。
こあ:うれしい! センスを褒めてもらえた(照)。
──あとは「天然っぽい」ということも話してました。しっかりしてそうですけど。
きーこ:そこがずるいんですよ。しっかりしてそうに見えて、実際はポンコツですからね。
しょこ:ふとしたときにポンコツさが出てくるんですよ。
──ありぃさんは「素直で正直な人だと思います」と言ってました。
こあ:たしかに、嘘はつかないです…… たぶん(笑)。
しょこ:顔に全部出るんですよ。
きーこ:それは全員じゃない? raymayはみんな動物っぽいもんね。

──最後はりんの印象です。やよいさんは「途中からraymayに加入してデビューまでの期間が一番短かったから、きっと誰よりも努力をしていたと思う」と。
きーこ:努力はすごいしてますね。1人だけ途中加入だったので、当初は短い期間で曲も覚えなきゃいけないし、振りも覚えなきゃいけないので大変だったと思います。
りん:あの頃は死ぬかと思いました。思い出すと今でも辛いです(笑)。
きーこ:最初はライヴを観に来てくれてて、私たちは「ヲルタナティヴのりんちゃんがいる」と思っていたんです。加入するとわかったのが、レッスン日の当日でした。
──ある日、レッスン場へ行くとりんさんがいて、いきなり一緒に踊ることになったわけですか。
りん:そうなんです。「これからraymayに入ります。宜しくお願いします」みたいなタイミングもないし、雑談をする機会もないまま振り入れをしました。当時は全然仲良くなっていない状況から始まって、レッスン中は曲を覚えるのに必死で、終わったらすぐ帰宅して復習してました。
──ありぃさんはりんさんに対して「人前に立つときは自分がアイドルであることを意識して、上手に使い分けようとしていると思う」と。
りん:普段の自分は全然アイドルっぽくないので、まさにお仕事とプライベートは分けるように心がけてます。今は衣装でミニスカートを穿いてますけど、普段はダボダボのズボンを穿いているんです。だからといって「普段のりんがダボダボしたズボンなんだから、衣装もそっちに合わせた方が良いよね?」と言われたらそれは違くないか? と思うんです。あくまでアイドルのときは、アイドルらしくいたい。
──ありぃさんはそこも分かっているみたいで、「raymayのりんを確立させようと努力してる」と言ってました。
きーこ:すごい! ありぃさんは核心をついてますね。
りん:先輩たちにそういう話をお聞きする機会が今までなかったので、嬉しいです。
きーこ:私たちが「一方的にuijinさんを憧れているだけ」だと思っていたんですよ。だけど、今日はメンバー1人1人の印象を聞けて「ちゃんと見ていただいてるんだ」と嬉しくなりました。

──最後の質問です。「ここはuijinイズムを受け継いでいるな」と思うことはありますか?
きーこ:正直、受け継いでいるとは思わないです。むしろuijinさんとは違う、自分たちの良さを見つけなければという気持ちの方が強いです。
こあ:そうだね。真似をして二番煎じになるのも嫌だし、そもそも同じ道を行こうとしても敵わないしね。
しょこ:ただ、「ライヴを楽しんでほしい」というところは共通している。それ以外はuijinさんと違うraymayにしかない楽しみや良さを発信していきたいです。
きーこ:あと、uijinさんは歌詞を自分たちで書いてるじゃないですか。曲に込めた自らのメッセージを伝えようとしている。私たちは自分たちの思いを伝える面もあるけど、“みんなの遊ぶ場所を守っていきたい”というつもりで歌っているので、そこも違うかなと思います。だから私たちは私たちのやり方で向き合っていくつもりです。

先日公開された姉グループ、uijinのインタヴューはこちら