流行りのギター・ロックを横目に描く、ヒーローになるための音楽ーードラマチックアラスカ、3rdミニ・アルバムをリリース

神戸出身の4ピース・バンド、ドラマチックアラスカが、3rdミニ・アルバム『ビヨンド・ザ・ベーリング』をリリースした。メンバー全員が好きなピロウズから学んだ普遍性と流行のバランス感、ヴォーカル・メロディの隙間を埋めるように走る疾走感あるギター、そして前作からプロデュースに関わっているいしわたり淳治により引き起こされたヒジカタナオトの作詞が渾然一体となった見事なギター・ロック・アルバム。現在の主流からほどよい距離を保ちながらも、聴き心地のよいサウンドと文学的な歌詞により生み出された新世代ロック・サウンドの誕生を祝い、ライヴで東京に訪れていたメンバー4人に本作について、そして彼ら自身について話を訊いた。
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
ドラマチックアラスカ / ビヨンド・ザ・ベーリング
【配信価格】
wav / alac / flac/ mp3 : 単曲 : 270円 / まとめ購入 : 1,620円
【Track List】
1. アレシボ・メッセージ / 2. マヤカシドリームランド / 3. 東京ワンダー / 4. 流星パズル / 5. 未来手紙 / 6. ハイドアンドブルー / 7. 憂世侍
INTERVIEW : ドラマチックアラスカ
ーードラマチックアラスカは、もともとライヴがしたいという動機ではじまったということですけれど、いまではモチベーションも変わってきているんじゃないですか。
ヒジカタナオト(以下、ヒジカタ) : 普段前に出るような人間じゃなくても、文化祭の日だけはライヴをすればヒーローになれるってところで、高校生のときははじめたんですけど、いまはそれが昇華されて、ヒーローになるためにライヴをしているような感覚があります。ちょっとモチベーションのレベルがあがったのかなと(笑)。

ーーヒーローっていうのは、わかりやすく言うと、注目されたいみたいな?
ヒジカタ : ぼくの場合はそうですね。パッとしないというか、決まって遊ぶ友だちもいなかったし、お弁当もずっと一人で食べていたのに、文化祭では多くの人に注目してもらえて、あんなことできるのかって言われるのが嬉しかったんです。僕のなかではそういうものがヒーローかなって思ってます。
ーードラマチックアラスカは、そんなヒジカタさんを中心に、音楽で結びついた4人ですが、ヒジカタさんの内省的な部分はバンドにスムーズに馴染んでいったんでしょうか。
トバナオヤ(以下、トバ) : 最初は、僕とヒジカタではじめたんですけど、一緒にやっていったら楽しいと思って。わりと気軽な感じでスタートしたんで、そんなに大変とかはなくて。
ニシバタアツシ(以下、ニシバタ) : ぼくは共感する部分もありました。文化祭の姿と、教室に座っている姿が違うので、みんなが観てくれる瞬間が楽しかったっていうのも大きいです。
マルオカケンジ(以下、マルオカ) : あとは、全員ピロウズが好きだっていうのも大きいと思います。スタジオに入って音を会わせたときも違和感なく、すっと合っていった感じですね。
ーーピロウズのどんな部分が好きなんですか。
ヒジカタ : バランス感というか、流行りも寄せすぎないけどポップやし、詞の世界観もそうやし、あとひねくれた感じとかですかね。
ーーそれにしても、ピロウズ好きとなると、周りの同世代の人たちと話があわなかったんじゃないですか。
ヒジカタ : そうですね。ラッドウィンプスとか9mm Parabellum Bulletが人気になりはじめたころで、テクニカルで激しめなものが多かったので、浮いていたと思います。
ニシバタ : 文化祭でもピロウズをコピーして、ぽかーんってなってたもんね。
ヒジカタ : それこそ高校最後の文化祭の1曲は「ぼくらのハレー彗星」っていうむちゃくちゃコアな曲をやって。すごかったです雰囲気が。
ーーなんでその曲を選んだんでしょう?
ヒジカタ : 僕のすごく好きな曲で、こんなに格好いいバンドがおるんやぞ!! って知らしめたくて。
ーーどうだ!! みたいな気持ちもあったわけですね。オリジナル曲はいつくらいから作りはじめたんですか。
ヒジカタ : ああ、いまのは部活の話です。ドラマチックアラスカ自体はオリジナルするために組んで、2ヶ月くらいで曲を作ってライヴをしました。ライヴがしたかったんですけど、自分の曲がないとライヴに出れないらしいってことで、自分で曲を作っていった感じです(笑)。
ーーバンドとしての方向性は最初から決めていましたか?
ヒジカタ : いや、最初は全然概念のない曲を作っていて(笑)。本当に曲は作れば作るだけ形になっていくんで、だんだん定まってきた感じです。
1作目の雰囲気も出しつつ、成長した部分も取り入れた感じですね
ーーガガガSPやかりゆし58などをリリースしている名門レーベルのLD&Kからリリースすることになったきっかけはどういうものなんでしょう。
ヒジカタ : 閃光ライオットに応募していたんですね。「リダイアル」って曲がラジオで「こんな応募があります。まだまだデモテープ募集しています」ってワンコーラスだけ流れたんですけど、偶然LD&Kのディレクターさんが聞いていて、連絡をもらってはじまりました。
ーー運命的な出会いだったんですね。いま、バンドやっている人って、実は高学歴が多くて、戦略的な人が多いし、そうでないと残っていけない現状もあると思うんですね。バンドと日常を両立させている人も多いと思うんですけど、ドラマチックアラスカはバンドと日常は、どういう関係性でやっていますか。
ヒジカタ : やっぱり今日みたいにライヴをやるとたくさんの人が集まってくれて、声とかもかけてもらえるんですけど、普段は正反対の生活をしていて。2つのアカウントを持って生活しているような感じです。切り替えとかも難しかったりするんですけど、バンドやっているときに日常のせいにしたくないし、普段の生活もバンドのせいにできないし、しっかり切り替えて頑張っている感じですね。
ーー『ビヨンド・ザ・ベーリング』のことについて訊いていきたいのですが、曲は最近作ったもので固められているんでしょうか。
ヒジカタ : ほぼそうなんですけど、「流星パズル」だけは、バンドを組んで半年くらいで出来ていた曲ですね。いままでのアルバムのバランスだと入れづらいっていうのもあって、今回ちょうどはまりそうだなと思っていれました。
ーー曲のストックはけっこうあるんですか?
ヒジカタ : ほぼ出しちゃいました。他の曲に関しては去年の末くらいから作ったんですけど、僕らはオリジナル曲が10曲もないような状態で声をかけてもらったので、本当にストックとかはなくて。だからいまは作って録って出してなくなってっていうのを繰り返して。そのとき受けた影響をその時点でアウトプットしていけるので、それがいいかなと思っています。
ーーそういう点で作品をコントロールしやすい部分はあるのかなと思ったんですけど、今作にテーマだったりコンセプトはありましたか。
ヒジカタ : 5月に出したシングルで「東京ワンダー」って曲があるんですけど、僕らのなかでのギリギリで歌詞も曲もわかりやすくしたんですね。ただ、バンドが変わってしまったっていう声がすごく多くて。僕らの振れ幅のひとつですよって出したのが、変わってしまったと思われてしまって悔しかったので、今回のアルバムは僕らのカラーを出していこうと考えて作りました。
ーーカラーを出すために、なにかを変えたんですか?
ヒジカタ : むしろそこは変えないで、いままでやった通りにやりました。
ーー一番ベーシックな方法で作ったと。
マルオカ : そうですね、1作目の雰囲気も出しつつ、成長した部分も取り入れた感じですね。
自分らのやり方で、今回も次回ももっとかっこいいと思ってくれる人が増えたらと思います
ーードラマチックアラスカのサウンドって、ギターが2本あって、すきまを埋めるようにメロディを奏でるリードギターがすごく目立ちますよね。トバさんが意識していることってどういうことなんでしょう。
トバ : 単純に、埋もれてしまうギターはおもしろくないかなっていうのがあって。一番最初に曲を作ったときからそうしていたんですけど、今回のアルバムは特に、いままで録ってきた方法と同じようにしつつ、自分のギターの弾き方とかフレーズがよりハマるようにできたかなと思います。
ーーニシバタさんはドラムっていう部分で、BPMの早い、四つ打ちがメインのシーンにおいて、意識したことはありますか。
ニシバタ : ぼくは作曲じゃないので、基本的には作曲したメンバーの意見を重視しつつ、あまり流行りに寄せすぎず、四つ打ちも使うべきとこで使いたいなと考えてやっています。基本的にはギターとヴォーカルが前に出るので、そこを邪魔をしないようにって。
ーーそこまでドラムとベースの音が前に出てこないのが特徴的ですよね。マルオカさんは同じリズム隊として、もっと前に出ていきたいとかないんですか。
マルオカ : 僕も、歌とかギターが前にでてほしいので、抜けるようなベースのフレージングをしたり、穴を埋める感じでひいてますね。
ーー僕はヒジカタさんの歌詞って、大きな武器だと思っていて。「アレシボ・メッセージ」とかって、大きいスケールで人と人のつながりについて歌っているじゃないですか。
ヒジカタ : 僕はいままでずっと歌詞にコンプレックスがあって。書き方もわからないし、本も読まないなかでやってきたんです。2作目でいしわたり淳二さんと関わらせてもらって、だんだん作り方がうまくなってきて、今回のアルバムで歌詞のコンプレックスから抜け出せたんじゃないかと思いますね。まだ強みとまでいうところには達してないと思うんですけど、いい歌詞が書けたなと思います。
ーーそれこそ「君と僕の世界」が違う角度から描かれていて、狭い世界のことでも広い世界に感じるし、文学的な匂いがするんですよね。
ヒジカタ : そうですね。いしわたりさんと関わらせてもらってから書き方がかわって、アウトプットが上手になってきたのかなって。
ーーただ、歌詞も楽器のひとつとしてメロディのように捉えているところもありますね。
ヒジカタ : そうですね。詩が中心なのであれば詩集を読めばいいし、あくまでメロディがあってだと思っています。曲が全部完成してから歌詞を書くので、メロディはとても大事ですね。
ーーいしわたりさんは、今作では1曲だけアレンジでも参加しているんですね。
ヒジカタ : ぼくらの特徴として、プロデューサーがいろいろいるんです。いしわたりさんは歌詞が天才的なので歌詞の部分で、江口さんにはアレンジャーとしてサウンド面で、ライヴという観点でガガガSPの山本さんに参加してもらっていて。ジャンルをわけてプロデューサーと結びついたりしているんです。

ーーそれぞれの特性にあわせて、編曲がされていると。
ヒジカタ : そうです。だから珍しいのかなって。
ーータイトルの『ビヨンド・ザ・ベーリング』はどういう意味が込められているんでしょう。
ヒジカタ : 毎回アラスカに絡んだタイトルにしたくて。前回は『オーロラを待っている』だったんですけど、今回はもうちょっと能動的に越えていく感じにしたくて、アラスカの向こう側のロシアまで行ってしまうようなタイトルになりました(笑)。
ーー最後に、ドラマチックアラスカの次の作品へ向けた目標を教えてください。
ヒジカタ : 流行っている音楽に四つ打ちとかが多いってことに気づき出して、みんながそうじゃないところをやりはじめていくと思うので、そのなかで僕らができることを考えて、ギリギリのラインでバランス感を持ってやっていきたいですね。
ニシバタ : まだまだ多くの人に聴いてもらいたいので、自分らのやり方で、今回も次回ももっとかっこいいと思ってくれる人が増えたらと思います。
マルオカ : 気をてらうのではなくて、ある意味真ん中を走るやり方でいいものを作れたらと思います。
トバ : ライヴで盛り上がって楽しいっていうだけじゃなくて、曲自体がいいわって、聴いてくれるような、それであってライヴも盛り上がってくれたらっていうのが次の作品の目標です。
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2014年10月19日(日)@神戸太陽と虎
PROFILE
ドラマチックアラスカ
Vo,G ヒジカタナオト
G トバナオヤ
B マルオカケンジ
Ds ニシバタアツシ
2013年4月カミングコウベのブラックステージで異例のトリを努めて半年にして最高傑作堂々完成!
初の全国ツアーを終え、ここからドラマチックアラスカのストーリーが始まる。