生身で対峙している感が楽しい
──7月からライブハウスツアー〈ExWHYZ TOUR 2023 ‘eLATION’ part.1:Live House Series〉を回っていますが、ツアーの感触はいかがですか。
mayu:ExWHYZ自体、どんどん変わっていっているなと思います。私はものすごく真面目なタイプだから、その日のライブの良し悪しみたいな基準を考えちゃいがちだったんです。でも今回は正解はないんだと思わせてくれているツアーというか。ライブが終わった後に感じる楽しかったの種類も各地で違うし、ライブに正解はないんだなと思ったら、もっと自分の肩の力も抜けて楽しめている感じがします。前はもっと頑張らなきゃ、楽しませなきゃと思っていたけど、1つの自分の頑張り方が正解じゃないと思ったら、その場の空気というか、自分と眼の前のみんなとの雰囲気を大事にできるようになって。以前は煽りの文言をある程度決めたりしていたんですけど、最近は特に決めずにやっている(笑)。そういうのがすごい楽しいなと思います。
──何が、ライヴに正解はないって思わせてくれたんでしょうね。
mayu:全体的に私たちが内に入っている状態じゃなくなったからかな。あとは、マスターたちが気付かせてくれたんだろうなと思います。私たちとマスターの高め合いじゃないけど、楽しい楽しいみたいな掛け合いが化学反応を起こしているというか。人と話していてもそうじゃないですか? この人といるときの自分ってこういう自分が出るなみたいなのとか、そういう感じがします。
──そういう意味で、マスターもバイブスが上がってきている感触がある?
mayu:マインド的な意味で言えば近い気がします。俺たちは俺たちで楽しむぜ!みたいな感じがする(笑)。
──EMPiRE時代から、ホールや大きい会場でのライブの印象が強いので、今回のライブハウスツアーもグループに影響を与えているんじゃないかなと思います。
mayu:すごくあると思いますね。ExWHYZになって、私たちかっこつけ系って思っていたんですよ(笑)。ライブハウスとかでバチバチバキバキにパフォーマンスはしないのかな?ちょっとクールで大人っぽい感じが多かったりするのかな?と、自分たち自身思っていて。私もそうならなきゃみたいに考えていたんです。でも、ライブハウスツアーをやってみて、ExWHYZでこういう自分が出せるんだなってうれしくて。自分の内から出るものを、歌とかダンスでちゃんと出せているなと思います。より一層距離も近いので、生身で対峙している感が楽しいです。大きい会場だと物理的な距離が生まれるけど、ライブハウスとなるとみんなの顔もめっちゃ見えるし、向こうからも見えていると思うし、声も聴こえる。みんな裸の心で楽しめているんじゃないかな? 楽しめているのがいいなと思います。

──そうした変化の裏には、楽曲の変化も連動しているのかなと思います。10月18日にリリースされる1st EP「HOW HIGH?」でもバンドサウンドやゆるいラップ曲も入ったりバリエーションが豊かになっています。
mayu:いろいろな歯車が噛み合っているなって思います。ライブハウスツアーをやっていて、肩の力を抜いて楽しもうって雰囲気の中で、今回のEPは今の私たちに本当にぴったりだし、肌に合っている感じがする。自分でも肩の力が抜けるEPになったなと思います。
──mayuさん作詞曲「NOT SORRY」はBPM177で、ExWHYZ史上最速の1曲とのことですが、どのような楽曲なんでしょう。
mayu:「FIRST STEP」を手掛けてくださった久保田真悟(Jazzin'park)さんに書いていただいたんですけど、これまでのExWHYZとはまたちょっと違う曲調なので、私も熱を感じる歌詞にしようと思って。「NOT SORRY」は、自分のことを書いてもいいかなと、今の自分で書いた感じの曲です。ずっと私はひねくれていたので、数年前に書いていた暗めの歌詞とはまたちょっと違うテイストではあるんですけど、そういう自分も内包しつつ、今のマインドとかも歌詞に書けたのかなと思います。
──テーマとしてはどのようなことを描いているんでしょう。
mayu:生きていたら、なんで上手くいかないんだろう?とか思うことってあるじゃないですか? 自分はそこで諦めないから、失望したり絶望したりすることが多くて、1個1個のことにがっかりしちゃう、がっかり疲れが多かった(笑)。なので、それを運命だと思うようにして。ただ、運命なんだって歩みを止めるんじゃなくて、突き進んでみよう、やってみようと思って書いたんです。作詞家のAKIRAさんに、手伝っていただいたんですけど、最後のフレーズが「生きろ」なんです。私は絶対使わない言葉なんですよ。その言葉自体が強すぎて。人に言えないし、自分にもあまり言えない。なんだけど、私が書き進めていった歌詞の中で、AKIRAさんが「生きろ」って言葉を最後に入れてくれたってことは、きっとそう感じてくれたからなんだろうなと思って。「NOT SORRY」の歌詞は、人に対して何かを言っているんじゃなくて、ずっと自分の中で自分と戦っている感じ。自分に対して私は書いた感じなので、生きろっていうのも、自分に対してやるしかねえぞって言っている(笑)。
──自分の中で絶対使わない言葉を許容できるのも変わった点というか、mayuさんの中に余白がすごくできたんだなと思います。
mayu:たしかに。余白なんだ、今(笑)!
