スペシャル・フォトギャラリー
INTERVIEW :MIGMA SHELTER

MIGMA SHELTERのディレクター田中紘治とは10年以上の付き合いになる。会う頻度は決して多くないし、むしろ年に1回も会わないときもあるけれど、彼が作る創作物にはいつだって驚かされてばかりだ。いい意味で狂っている。
なにより、そんな田中とともに歌い、踊り、表現をするグループとして、ミシェルはより一層狂ってみえて、これまで理解することは不可能だと思っていた。しかし、そうしたフェーズからミシェルは変わろうとしている。いや、変わろうとしているのではなく、もともと彼女たちが持っていたものを表に出そうとしている。
ここからのシングル三部作は、ミシェルにとって重要な作品になることだろう。本インタビューは、そんな彼女たちの変化の過程が刻まれたテキストとなっている。
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希
私たちがこれではいけないという意識が生まれた
──まず、昨年12月に加入した新メンバー2人の話から聞かせてください。ユイノンさんがミシェルのオーディションを受けた経緯から教えてもらえますか?

ユイノン:もともと別のアイドルグループに所属していたんですけど、そのグループを辞めたあと、やっぱりアイドルになりたいと思って。最初はベルハーが気になっていたんですけど、年齢制限で引っかかって無理で。MIGMA SHELTERはダンスグループだしストイックすぎるから自分には無理だなと思って1回諦めて。違うアイドルのオーディションを真面目に頑張っていたんですけど落ちてしまったんです。そのとき、ミシェルのオーディションが延長しているのを知って、挑戦してみようと思って受けました。
──ストイックさというのは、どういうとこに感じていたんでしょう?
ユイノン:みんなクールで、黙々とやってるイメージ。
一同:(笑)
レーレ:そうやって見られることは割と多くて。自分たちはクールって感じではやってなくて。だからこそ、もうちょっとフレンドリーなミシェルを、深く知らない人に向けて……。
ブラジル:ウェルカム?
レーレ:そう! ウェルカムな雰囲気をもうちょっと出せたらなって改めて思いました。
ユイノン:入ってみたら全然違ってびっくりしました。みんな笑顔になるんだと思って。
──(笑)。ブラジルさんから見て、ユイノンさんはどんな印象でしたか?
ブラジル:私は同じバンドが好きな界隈にいたので、中高校生ぐらいの頃から(ユイノンの)Twitterをフォローしてずっと知っていたんです。クリープハイプの武道館ライブを観に行ったとき挨拶したこともあって。だから、オーディションに知ってる人が来た!と思ってびっくりしました。改めて近くで見たらめっちゃ美人で。聞いたら、子どもの頃にフラダンスをやっていて、今のメンバーにはないしなやかなダンスも魅力的だったし、こういう朗らかな子も欲しかったので、絶対入ってほしいと思っていました。あと、結構ちゃんとしてる人かなと思ってたんですけど、意外とヤバかったっていうか。すごい変な人だったので、安心しています。
──どんなところが変なんでしょう?
ブラジル:全部変だけど……。
タマネ:思ったより挙動不審だった。
一同:(笑)
──ワニャ+さんは、どういう経緯で加入したんでしょう。

ワニャ+:私は、前に所属していたグループでミシェルと何度も対バンをしていて。ミシェルのライブって感情と爆発みたいだと思っていたんです。それって私がやりたいことでもあったので、前のグループが解散してから応募しました。
──外から見ていたときのミシェルは、どんな印象だった?
ワニャ+:1人1人が自分の芯をぶらさずにやっていて、すごく自由だなって思ってました。あと、すごい変な人がいっぱい。もともと好きでブログも読んでいたんですけど、誰1人アイドルっぽいことを書かないんですよ。特にタマネさんがぶっ壊れてて。大学で1人ご飯を食べれないってブログを家で1人、笑い転げて見てました。最高です。
タマネ:自分でも覚えてないんだけど……。
ワニャ+:そもそも、ブログで使う色彩からしておかしかったです。
タマネ:あ、そうですか、よかった(笑)。
──ワニャさんは、それまでの自分から解放されたい気持ちもあった?
ワニャ+:ずっとやりたいことしかやってなかったので、それはなかったです。ミシェルはそんな自分を受け入れてくれるというか、そのままの自分で頑張れそうなだなと思って。オーディションの時にディレクターの田中さんが優しかったのも覚えています。ただ、メンバーみんな、他人に興味なさそうで。自分にストイックだから、私も勝手に頑張っていれば大丈夫かな?と最初は感じていました。
──ミミミユさんは、ワニャさんに対してどんな印象を持ってましたか?

ミミミユ:前のグループで活動しているときから狙っていたというか、絶対欲しい子だなと思っていて。一生懸命なところとか、すごい真面目さが伝わっているところが好きだったんです。まさかオーディションを受けてるとは思わなくて。入ってくれるのが決まってて嬉しかったです。
ワニャ+:そんなふうに思っているとは知らなかったから、受け入れてくれる人がいてよかったです(笑)。
──2人からストイックという言葉が出ましたが、グループとしてどう感じてますか。
タマネ:言われてみたら、この体制が生まれる前まではそういう傾向が強かったとは思いますね。
──2022年12月30日にグループを卒業したナーナナラさんに以前取材をした際、他の一心不乱に自分の中に入り込んでいくメンバーたちとギャップが生まれてしまっていたと語ってくれました。そうした状況から、グループとしてのあり方が変化していったんですね。
レーレ:新メンバー2人とも今までにないキャラクターというか。どちらかというと、元気っぽさやアイドル感が強い2人なので、そこでメンバー間の雰囲気が変わったり、ファンの皆さんから見てもちょっと怖いイメージだったのが……なんだっけ?
ブラジル:ウェルカム。
レーレ:そう、ウェルカム!な雰囲気にできつつあるんじゃないかなと思います。私は新体成になってすぐ腰を痛めてお休みしていたんですけど、1、2ヶ月ぐらい休んで帰ってきた時に、前と雰囲気が違うなって実感して。SNSの面とかは入ってきた2人が特に引っ張っていってくれてるし、私たちも変化しているのは2人のおかげだと思っていて。私はもうすぐで卒業しちゃうんですけど、だからこそ、もっと一緒にいたいなって思います。
──ミミミユさんは、雰囲気が変わった実感はありますか。
ミミミユ:あります。ライブ前、1人1人別じゃなく、全員で話すようになりました。それは2人が入ってくるから、私たちがこれではいけないという意識が生まれたからだと思います。
──新メンバーを迎えるにあたって、メンバー側も変わらなければならなかった。
ブラジル:ずっとその課題はあったんです。
タマネ:ナラが入ったタイミングが、MIGMA SHELTERの当時の体制が固まったタイミングから3か月後ぐらいで。それもあっていきなり仲間みたいな感じで始まって、個々って感じになってしまったと思うんです。同じように新メンバー2人を迎え入れたら、また全員が個々になっちゃうなと思ったので、先輩としての意識が身について、グループとしてやっていこうと思えたのかなていうのもあります。
