【短期連載】FUNKIST、喜びと葛藤が刻まれた25年を振り返る Vol.1──始まりの7年、インディーズ時代（2000〜2007年）

FUNKIST
宮田泰治（Gt）,染谷西郷（Vo）,ヨシロウ（Gt）

2000年5月に結成されたロック・バンド、FUNKISTが今年で結成25周年を迎える。OTOTOYではこの記念すべきアニバーサリー・イヤーを祝し、FUNKISTの25年の歩みを振り返る短期連載をスタート。バンドの歴史を3つの時期──2000〜2007年、2008〜2012年、2013〜2025年──に分け、それぞれの時代をメンバーの言葉でたどっていく。

この連載で浮かび上がってくるのは、FUNKISTが過ごした四半世紀という長い年月に刻まれた、喜びや葛藤の数々。初回は、FUNKISTの原点ともいえる2000年の結成から、手探りで駆け抜けた2007年までのインディーズ時代を振り返る。

【FUNKIST 短期連載 Vol.2】
メジャー時代の夢のあとに残されたもの（2008〜2012年）

【短期連載】FUNKIST、喜びと葛藤が刻まれた25年を振り返る Vol.2──メジャー時代の夢のあとに残されたもの（2008〜2012年）

【FUNKIST 短期連載 Vol.3】
FUNKISTとしての生き方を誇り、その先へ（2013〜2025年）

【短期連載】FUNKIST、喜びと葛藤が刻まれた25年を振り返る Vol.3──FUNKISTとしての生き方を誇り、その先へ（2013〜2025年）

FUNKIST 25th ワンマン・ライヴ 日比谷野音 Pride of Lions

FUNKISTが、「ライオンの群れ」と「ライオン達の誇り」という意味を併せ持つ〈Pride of Lions〉をタイトルに冠した全国ツアーを実施。そのツアー・ファイナルであり、FUNKISTの25周年を盛大に祝うワンマン・ライヴが2025年5月24日（土）に日比谷野音で開催される。これまで歩んできた軌跡と、これから描いていく未来。その両方が交差する“今”を体感できる、記念すべきステージになるだろう。

FUNKIST 25th ワンマン・ライヴ 日比谷野音 Pride of Lions

【日程】
2025年5月24日（土）

【会場】
東京・日比谷公園大音楽堂

【時間】
Open 17:00 / Start 18:00

【料金】
¥5000（指定席）※ 3歳以上要チケット

【チケット】
イープラス：https://eplus.jp/funkist/
チケットぴあ：https://w.pia.jp/t/funkist/
ローソンチケット：https://l-tike.com/funkist/

INTERVIEW : FUNKIST

取材・文 : 岡本貴之
撮影 : 大橋祐希

同じ小学校に通っていた3人が再会し、2000年にFUNKIST結成

──2024年12月から始まった全国を回るツアーはいかがでしたか？

染谷西郷（Vo/以下、染谷）： 今、FUNKISTはこれまでになく調子がいい実感があります。今回のツアーは、バンドの25年の歩みを振り返るものでしたが、正直、不安もありました。というのも、楽しい思い出ばかりじゃなくて、中には聴くのがつらい曲もあったんです。

でも、一曲一曲と向き合っていくうちに、当時の本気で向かっていた気持ちや、そのときには見えてなかった曲の輝きに改めて気づけて。「FUNKISTって、やっぱりずっといいバンドだったんだ」と心から思えたんですよね。

──バンドの結束もより強くなった？

染谷：小学校からの仲間なので、今さら「結束が強い」と言うのは照れくさいけど（笑）、本当にそう感じました。

染谷西郷（Vo）

宮田泰治（Gt/以下、宮田）：昔の曲を聴き直すなかで、音源には当時の空気や思い出も真空パックされていると感じました。今回のツアーにはサポート・メンバーも参加していて、彼らも25年を一緒に歩んだような感覚を持って演奏してくれている。これは大きな財産ですね。

染谷：曲数も多くて、100曲以上をサポート・メンバーも覚えてくれたんです。

ヨシロウ（Gt）：僕は、過去を振り返ずに前に進んでいくほうがかっこいいと思っていたから、正直気が進まなかったんです。でもいざツアーがはじまると、手をつけずにいた思い出や曲に改めて触れることができました。当時の自分たちを改めて認めることができたし、過去と現在、未来が混ざり合う濃い時間になったと思います。

──こういう機会でなければ思い出せなかったことも多かったですか？

染谷：そうですね。メンバー間の関係が最悪で崩壊しかけた時期もありました。そんなときに作ったアルバムは、自分の中でも封印してた部分があって。でも改めて聴いてみると、楽しいことも確かにあったし、真剣に向き合っていたからこそ生まれた曲もある。関係が悪いメンバーの間にヨシロウが入ってくれて、ヨシロウを介しながら曲作りしてくれたことも思い出しました。

ヨシロウ：うん、覚えてる。

染谷：そうやっていびつな状況の中でも、全員が「いいものを作りたい」と思っていたんですよね。その熱量が今聴いても伝わる。25年間、一度も手を抜かずにやってきたFUNKISTに、改めて自信を持つことができました。

ヨシロウ（Gt）

──FUNKIST結成から1ブロック目（2000年〜2007年）の活動について訊かせてください。まず、みなさんが音楽をはじめたきっかけは何だったんでしょう？

染谷：僕たちは同じ小学校出身でその頃からの仲だけど、みんな別々に音楽を始めているんです。僕は高校2年のときにブルーハーツの“青空”を聴いて感動したのがきっかけでした。南アフリカと日本のハーフの僕は、当時周りのみんなと見た目が違うことでうまく馴染めなかったんです。そんなときに「生まれたところや皮膚や目の色で…」という歌詞と出会って、「僕の気持ちをわかってくれる人 がいた」と感動したんです。この曲を自分でも歌いたいと思って、父のギターを内緒で借りて歌いはじめたのがきっかけです。

宮田：僕は中学3年でYMOの『テクノドン』（1993年）に衝撃を受けて、テクノやアンビエントにのめり込んでいきました。当時は周囲と音楽の趣味が全然合わなくて、ひとりでクラブに通っていましたね（笑）。

ヨシロウ：僕は幼少期からピアノを習っていて、小学校では吹奏楽部でサックスを吹いてました。中学で入ったサッカー部で、先輩たちがBOØWYやユニコーンを聴いていたのに影響を受けて、バンドも聴くようになりました。でもその後、ロックをやりたかったのに何故かジャズの世界にいくことになります。

──そこからどうやってFUNKISTが結成されたんでしょうか？

染谷：20歳のころに地元のコンビニでバイト中の宮田と再会したんです。近況を話していたら、宮田がバークリー音楽大学に進学すると。自分も音楽をやってたので、セッションしようと誘いました。セッションで曲を作ってたら楽しくて、バンドを組もうと話したんですが、彼はバークリーに、僕はヨーロッパでバックパッカーの旅に行く予定があったのですぐには実現せず。「1年後の夏休みに、3ヶ月限定でバンドやろう」と約束したんです。

ヨシロウ：僕はその頃、プロデューサーの三木敏悟さんのもとで弟子をしていました。ある日の現場に向かったら、そこに染谷さんが来たんです。サッカー雑誌を片手に持っていて、知り合いが急に現れてびっくりしました（笑）。

染谷：僕の父親はフラメンコ・ギタリストなんですけど、俳優の市原悦子さんのレコーディングに参加するから見学しに来るかと誘われて、ついていったんです。そしたらヨシロウがいて（笑）。そのときに、半年後に宮田とバンドを組む話をしたらヨシロウもやりたいと。それで2000年5月31日、宮田がアメリカから日本に帰国した日がFUNKISTの結成日です。

──みなさんにとって人生最初のバンドがFUNKISTなんですよね。

染谷：そうなんです。僕と宮田は21歳、ヨシロウは19歳でバンドを始めたから、スタートはかなり遅い。ライヴハウスに出ても周りは高校生のコピバンばかりで、僕らが年長だけど演奏はいちばん下手でした（笑）。