世間や時代が興味を向いたら、とことん売れるだろうと思っていた
──そもそも、研修生制度を作ろうと思ったのはなぜだったんでしょう?
田家 : 当時、内内でメンバーが卒業することが決定していたので、研修生という形で募集したんです。研修生でじっくり見てから昇格させようって。なので、もともとはメンバーの卒業話ありきで作ったのがきっかけです。
──研修生グループはどんなコンセプトで活動されてたのでしょうか?
田家 : ぴゅーぴるモ!はゆるめるモ!が出られないような規模のアイドルイベントに広く出演して曲を届けるコンセプトでやっていて。いまではあまりやらないゆるめるモ!の初期曲を中心に披露して活動していました。メンバーも一生懸命やってるからなんとか存続はさせようとしていたんですけど、色々あって何人かが同時に活動終了することになり、これでは続けられないよねってなってしまい、活動自体を止めることになりました。
──グループの活動期間が長くなると、初期曲をやるかやらないかという課題も出てきますよね。同時期に活動していたBiSやBELLRING少女ハートとかもそうですけど。
田家 : 今、ゆるめるモ!は117曲リリースしてるんですけど、音楽で人を救う武器として全ての曲に各々のポテンシャルがあると思っていて。こういう状況のこういう人たちにはこの曲を届けたい、と考えて作った117曲なので、ゆるめるモ!という名前でやってる以上は、その全曲を常に武器として有効活用していきたくて。もちろん新しい曲は今のメンバーが歌っているから、新しい曲を全面に押し出していく必要はあると思うんですけど、あまり昔の曲を封印してこうみたいな考えはなく、満遍なくやっている形ですね。
──それにしても、117曲はすごいですね。
田家 : 他のグループの持ち曲の数とかあまりちゃんと見てないですけど、多分、かなりの量なんじゃないかなと思います。
──田家さんが伝えたいメッセージは一貫していますが、サウンド面でも最新の音楽トレンドを取り入れていますよね。新作アルバムでは、BLACKPINK的なサウンドもオマージュしていますし。
田家 : それはありますね。僕の根っこがインディロックとかニューウェーブなので、同じジャンルの音楽ファンに向けた曲は作りやすいんです。ただ、そこから広げていくのってすごく難しいなと感じていて。僕は一貫したメッセージを届けたくて、それができなかったらやっている意味ないと思っているんです。だから、より多くの人に届けるためには、サウンドのアプローチも変わってくるというか。僕自身、ちゃんと時代にチューニングしてやっていますね。
──活動初期に比べて、田家さん作詞作曲の楽曲の割合が増えたような印象もあります。
田家 : 実際、増えています。僕はよく本屋で例えるんですけど、ドストエフスキーとかトルストイって素晴らしいですけど、万人が読むわけじゃないじゃないですか? 本屋の入口にライト層に届くベストセラーを平積みしておかないと、奥まで来てくれない感覚があって。だから、ライト層にも届くような曲を、目的が明確なのでそこのゴールが見えている僕が書いている形なんです。もうちょっと世間の目がゆるめるモ!に向いてくれたら、僕の曲はもっと減らしていって、より深い楽曲を色々と作っていけるなとは思ってはいるんですけど。
──田家さんが居場所を作ることを1番実践してたのは、メンバー自身に対してだと思うんです。中でも、メンバーだったあのちゃんが、今やお茶の間で知られる存在として、その才能を開花させていることについては、どのように感じてらっしゃるんでしょう。
田家 : あの子の面白さやクレバーさ、意識の高さ、意思の強さ、野望とか、近くで見てきたぶん、ある程度分かってるので、これだけ広く支持されるのも当然だと思っています。彼女の才能に、世間や時代が興味を向いたら、天井知らずにとことん売れるだろうと思っていたので、本当によかったなっていう気持ちでいっぱいでうれしいですね。
