頑張っているあなたのことを笑う人がいたとしても
──いまPIGGSは〈全身全霊!燃える豚魂ツアー〉を回っていますが、前回CHIYO-PさんとBAN-BANさんにインタヴューするなかで、「 “まじ無理ゲー”がリリースされて衣装がピンクになったことで、ぶーちゃんズ(PIGGSファンの総称)が戸惑っていたのが伝わってきた」とおっしゃっていたんです。KINCHANもそういうことは感じましたか?
KINCHAN : 感じましたね。私はメンバー側だからそういうことを予想できなくて、シンプルに「あ、そうなんだ!」ってびっくりしました。私は “まじ無理ゲー”に対しても「無理ゲーな日々を頑張る君、フレーフレー」っていう歌詞があるから、全然これまでのPIGGSと変わってないと思っていたんです。
──その状況に対して、どうしようと?
KINCHAN : その時期はメンバーみんなが、ぶーちゃんズが戸惑っていることに気づいて「どうしたらいいんだろう?」って悩んでいました。野音に向けてもっとメンバー自身も団結しないといけないし、ぶーちゃんズに対しても「PIGGSと一緒に野音に行くぞ!」みたいな気持ちを盛り上げられていない現状があるんだなって思っていました。

──なるほど。来年1月には最新シングル “負けんなBABY”がリリースされます。この曲はKINCHANにとって、どんな曲になりましたか?
KINCHAN : “負けんなBABY”はデモを聴いたときから、大好きですね。私は1番のAメロの「言いたいこと言えないで」「我慢することにすっかり慣れてないかい?」「周りの目ばかり気にして 比べることに疲れ切ってもう嫌かい?」という部分と2番のサビの「大丈夫 大丈夫 私だけは 君を笑いやしない 負けんな 負けんな BABY」のところを作詞しました。
──確かにKINCHANらしさが出ていますね。
KINCHAN : 私自身、なにかを一生懸命やるとき、もし笑われたとしてもなんとかできるように頑張るんです。だから、そうやって頑張っている人に対して、「もし頑張っているあなたのことを笑う人がいたとしても、私は絶対に笑わないよ」というメッセージを伝えようと思って、この歌詞を書きました。
──“負けんなBABY”は、曲の最後の方でKINCHANがメッセージを投げかけるのが印象的だと思っています。こういう大役を任されたことについては、どう思いましたか?
KINCHAN : びっくりしました。でも、ここの部分はすごく好きだから、なにも考えず伝えることだけ頑張りました。ここがガクっとなってしまったら、全部ダメになっちゃうので、ここはありのままの私で叫んでいます。でも、私最近情緒不安定なので、うまくいくか不安なんですよね…。
──情緒不安定なのにはなにか理由があるんですか?
KINCHAN : 最近は、自分のダメなところをなかなか受け入れられなくて、情緒不安定です。私はいままで人と深くかかわらずに生きてきたんです。友だちも人並にはいるんですけど、深い関わりは誰ともしたことがなくて…。でもそれって自分の痛いところをつかれるのが嫌だったからなんです。いま、こうやってPIGGSとしてメンバーと同じところで暮らしはじめて、良いところも悪いところもお互いが見えるじゃないですか。だから良くない部分について言われたときに、すごくバリアを張ってしまいます。そこを自分で認めて直していきたい気持ちはあるのに、それがうまくできないんです。
──なるほど。
KINCHAN : でも、そういう自分の良くない部分を素直に認められるようになったら、もうちょっと人として成長できそうだなって思います。前、シェルさん(SHELLME)と喧嘩したんですけど、そのときに自分が素直じゃないから、人の言葉を素直に受け取れないんだって気づいたんです。自分の良くないところを言ってもらえることって、すごくありがたいことだと思うんですよ。人にも自分にも素直じゃないところが私の課題ですね。
──その課題を乗り越えて、KINCHANはどうなりたいと思っていますか?
KINCHAN : 私は狭いコミュニティーで生きてきたから、いろんなものを柔軟に受け入れる力が低くて、すぐ視野が狭くなっちゃうんです。もっといろんなものに対して「素敵だな。いいな」って思えたら、人との関係も「この人こういうところいいな。素敵だな」って感じられると思います。もっといろんなものを吸収して、それをもっと表現できるようになりたいです。もっといろんなものに触れようと思いました。自分の視野を広げるのが、これからの目標です。
