【行かなきゃ ASP Episode4】「この曲たちを死なせたくない」──ナアユの葛藤とこれからのASP

ファースト・ワンマン・ライヴ〈これはASPのワンマンです。〉を終えたばかりのWACK所属のニュー・グループ、ASP。個別インタヴュー企画、1周目のラストを飾る第4回は〈WACK合同オーディション2019〉に合格しWAggに加入後、ASPへの昇格が決定したナアユが登場。WAggでの活動や活動休止という壁を乗り越えてきた彼女の想いとは。活動休止中どんなことを考えていたのか、また昇格したときの気持ちやASPへの想いなどについて語ってもらいました。
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INTERVIEW : ナアユ

初ライヴ時、ナアユのエモーショナルな歌には、度肝をぬかされ続けた。ASPがパンクの文脈なら、彼女のような歌が歌えるシンガーは、ASPにとって超重要な存在。 WAgg時代からすでに異彩を放っていた彼女が放つ新たなストーリーが本当に楽しみだ!!!
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 東原春菜
写真 : 大橋祐希
WACKでしかがんばれないことに気づいた
──ナアユさんのWACKでの経歴を教えてください。
ナアユ : 私は〈WACK合同オーディション2019〉でWAggに合格して、そこからWAggで1年半活動させていただいたんですけど、2020年の10月末に足の怪我で活動休止しました。
──活動休止が決まる前は、どんな気持ちでしたか?
ナアユ : 足の怪我もなんですけど環境の変化でも気持ちが不安定になってしまって、ライヴとか楽しかったものが全部楽しめなくて。足を痛めた時期に〈PARADISESの素晴らしき未来〉というPARADISESさんに加入するためのWAggが受けるオーディションがはじまっていたので、自分の気持ちを整理できないまま中途半端な状態でいろんな人に迷惑をかけてしまうこととかが嫌でしたね。足の怪我はずっと続いていたので、完全に治すことをあきらめていた部分があって。でも渡辺(淳之介)さんから「ちょっと休んだら?」って言っていただいて、活動休止という選択をいただきました。
──どのくらい休んでいたの?
ナアユ : 10月末に活動休止のことが発表されてから地元に帰省して1月に東京に戻ってきました。実家にいるときにたくさんWACKのことを考えて、渡辺さんに直接「やっぱり、もう一回がんばりたいです」って伝えにいきました。

──実家に帰省して渡辺さんに伝えるまで、どういう気持ちの変化がありましたか?
ナアユ : 最初のほうはなにも考えずに過ごしていたんですけど、WACKのことはずっと頭から離れなくて。〈PARADISESの素晴らしき未来〉の配信を見たときに「やっぱりライヴやりたいな」って強く思うんですけど、ふとしたときに足が痛んで「戻りたいけど戻れない、怖い」っていう気持ちを繰り返していました。そのとき、なにもしていない生活が苦しかったけど、私はWACKでしかがんばれないことに気づいたんですよ。怪我を理由にやりたいことを無理やりあきらめようとして、自分に嘘をついてしまっていたんですけど、やっぱりやりたいって思う限りあきらめたくないなって。自分に嘘をつくのをやめて怪我もあきらめないで治すって決めて、すごく自分勝手だけど復帰したいという気持ちが固まっていきました。
──渡辺さんは、なんて言ってくれたの?
ナアユ : 渡辺さんは「また戻ってきてくれることがなにより嬉しい。もっと一緒にやりたいから、とにかく怪我を焦らず治して」ってやさしい言葉を言ってくださいました。そのときASPのことなんて聞いていなかったし、WAggでまた一からがんばりたいっていう気持ちで東京に戻ってきたし、活動休止してすごく遅れをとってしまっているって焦っていたので合宿に参加したいって言ったんですけど、「怪我を優先で」って言ってくださって。
──ASPの声がかかったときはどんな気持ちでしたか?
ナアユ : 2月末ぐらいに突然、渡辺さんから電話で「新グループを作ろうと思っているんだけど」って言われて。突然すぎて、メンバーとしてのお誘いだと理解ができなかったし、そんなことが起きると思わなくて頭が真っ白になりました。そのあと詳しく話していただいて理解したあと、私は他のWAggメンバーが頭に浮かんで電話が終わったあと大泣きしました。

──どういう気持ちに?
ナアユ : 私はWAggに加入してから一度もオーディションに参加できていないうえに活動休止をさせていただいて、活動復帰してきたと同時に新グループに入ることになって。他のメンバーはものすごく必死にがんばっているから、私は無神経に喜べることじゃないって感じて一気にいろんな感情になりました。私は活動休止する前の1年半は昇格を目指して必死にやってきていたので、もちろんデビューできるのは嬉しかったです。でも、「どうして私なんだろう?」って感情がぐちゃぐちゃになりました。
──それはどんな感情?
ナアユ : この話を他のWAggメンバーが知ったらどう思うんだろうって思ったし、その直後にWAggメンバーと会う予定があったので気持ちの整理がつかなくて涙が止まらなくなりました。
──気持ちの整理はつきましたか?
ナアユ : はい。渡辺さんに何度か不安があることとか、考えすぎてしまっていることを伝えて、渡辺さんに「これからASPで曲を通して伝えることがナアユの使命だから、そんなに考えすぎなくていい」って言っていただいて。自分自身が「どうして私が選ばれたんだろう」って思っていたから素直に喜ぶことができなかったんですけど、私を選んでくださった渡辺さんの期待や、これから一緒にがんばっていくASPメンバーのことを裏切りたくないし、自分たちが伝える曲を信じないと伝わらないことに気づいて、自分を信じようって思いました。