
ライヴを「パトロール」と称し、音楽で世界平和を目指す自称銀河系バンド、UCHUSENTAI:NOIZ。コンセプトは「地球の平和を守る為、遥か遠い宇宙からやって来た5人の戦士達」で、「音楽で世界が平和に出来ると、割と本気で思っています。」と公言しながら、年間130本以上のライヴを行っている彼らが2012年6月24日@渋谷0-EASTに行ったライヴを音源化&配信決定! ミクスチャー、デジロック、パンクなどの要素を含んだ爽快かつ、衝撃のライヴ音源をお楽しみに!
衝撃のライヴ音源を高音質で!
UCHUSENTAI:NOIZ / JAPAN TOY'S PANIC TOUR KING OF ONEMAN SHOW 「HIGH FIVE」FINAL ATTACK at SHIBUYA O-EAST
【販売形態】
HQD(24bit/48kHzのwav) / mp3
【販売価格】
単曲 150円 / まとめ価格 2,000円
単曲 200円 / まとめ価格 2,800円
Recorded at shibuya O-EAST 2012.06.24
【TRACK LIST】
1. Jewel / 2. RISE / 3. カムイ / 4. 3DAYS BOAT / 5. THE PARADOX IN IDEOLOGY / 6. -SHINE- / 7. エタァナルレイディヲ / 8. Peak / 9. カナタ / 10. 思考錯誤フラクタル / 11. エイミー / 12. BACK BONE / 13. シューゲイズ / 14. BOOM BOOM HONEY BLOSSOM / 15. SPARK!!!!! / 16. QUEST / 17. キャンプファミリア / 18. HIGH☆FIVE
新作アルバムも同時配信開始
UCHUSENTAI:NOIZ / METEORS
【配信価格】
mp3、wav : 200円 / 2,000円
前作『HIGH FIVE』リリースから約5ヶ月という脅威のスピードで放たれるフル・アルバムが遂に完成。前作で極めたハイ・スピード重視のサウンドから一転、きらびやかな極上ポップスからキャッチーなメロディ、そして更なる進化を遂最速ラウド・ロックまで全包囲網な10曲のサウンドに今の時代を生き抜く為に問うリリックが絡む。
INTERVIEW : UCHUSENTAI:NOIZ
改名した(いつの間にっ! )UCHUSENTAI:NOIZが、OTOTOYに登場する。彼らは所謂ビジュアル系かもしれない。だからと言って、彼らを敬遠する理由は何もない。アイドル、韓流、ケルト、演歌、クラシック、ハードコア、スクリーモ... 山程あるジャンルの全てをより好みせず聞いた時に初めて、音楽好きはジャンルを語れるようになるのだ。演奏力、楽曲の完成度、活動の幅... 全てにおいて、彼らは我々を魅了させてくれる。サマーソニックで、5万人もの人がXジャンプをかましたように、UCHUSENTAI:NOIZを見て、5万人もの人がモッシュピットを作る姿を想像するのは、彼らのライヴを見たことある人なら簡単だろう。まずは、ライヴ会場へ。そしてこの高音質ライヴ音源で、拳をあげようぜ!
インタビュー & 文 : 飯田仁一郎

見てる方向は一緒だと思う(YAMATO)
——OTOTOYを見ている方にはあまり馴染みの無い方も多いかと思いますので、まずは、お名前を教えていただけますか。
ANGEL-TAKA(以下、TAKA) : Angel Voice(ボーカル)のANGEL-TAKAです。
MASATO : Hyper Sonic Guitar(ギター)のMASATOです。
叫 : Super Vibrator(ベース)の叫(キョウ)です。
呼太郎 : Neo Eccentic Guitar(ギター)の呼太郎です。
YAMATO : Machinegun Beat Grapper(ドラム)のYAMATOです。
——MASATOさんは先ほど外でお会いしましたよね?
MASATO : はい、そうです。お久しぶりです。
——今回は、主にUCHUSENTAI:NOIZの音楽性の変遷を聞きつつ、バンドとして行っているボランティア活動についても、お話を伺えたらなと思っています。この前、ライヴも観させていただいたのですが、音楽的にも、技術的にも素晴らしかったです。96年にTAKAさんが結成されて、もう16年ほどやっている、ということでいいでしょうか?
TAKA : 96年から別の名前でバンドをやっていて、UCHUSENTAI:NOIZという名前で始まったのは2000年からです。
——どういうきっかけがあって、2000年に変わったのでしょうか?
TAKA : 2000年にMASATOが加入して、今のサウンドの原型が出来たんです。具体的には、シーケンスを取り入れるようになったことが一番大きいですね。
——今はMASATOさんが曲を作ってらっしゃるということもお聞きしてるんですが、MASATOさんが宇宙戦隊という基軸を打ち出したのか、MASATOさんが入る前から戦隊モノをやりたかったのか、どっちだったのでしょう?
MASATO : どっちが先というよりは、TAKAと相談して出てきたものですね。まず、普通のバンドでやっていいのかという根本的なところから始まって。観客が笑いながら感動する、というところを目指したかったんです。「あはは(笑)! 格好いいね!」みたいな。宇宙戦隊というコンセプトになったのはそういう理由ですね。音楽面でもハイブリッドな世界レベルのものは目指しつつ、コミカルでいようということになって。
——UCHUSENTAI:NOIZのビジュアルは、いわゆる「ビジュアル系バンド」的なものとして、捉えてよいのでしょうか?
TAKA : きわどいところですね。
MASATO : 僕が入った頃は確かパンク・バンドだったんですよ。
TAKA : 最初はパンク・バンドから始まったんです。でも不純な話、「もっとモテたい!」と思いまして。お化粧すればモテるんじゃないかなあということで、音楽は変わらずゴリゴリのパンクだったんですけど、軽くメイクをするようになりました。個人的にも、軽くメイクしたパンク・バンドが好きだったこともありまして。
——実際、結果はどうだったんですか?
TAKA : ちょっとはモテましたね(笑)。そこから自分達のファンも付き始めまして。僕らの音楽を聞いて心が救われたという内容のファンレターをもらったりするようになりました。それで調子に乗って、僕らの音楽で人の心を救っていけるんじゃねーのかと思い始めまして。そこに電子音も扱えるMASATOが入ったことで、音楽的にも出来ることが増えたし、イメージをがらっと変えようということになったんです。そこで、子供の頃に夢見たことを考えたんです。一つはロックスターになることだった。でも、もう一つ夢はあった。それは、地球を守る戦隊ヒーローになることだったんです。じゃあ、その二つを合わせて、地球を守る戦隊のロック・ヒーローというのはどうかなと思って。僕らの音楽でファンの子たちが幸せになってくれるんだったら、地球の平和も守れるんじゃないかと。そんな安易な考えから、バンドがスタートしたんです。

——ロックスターになることと、世界平和を目指すことはイコールですか?
TAKA : そうですねぇ…。うん、僕にとっては一緒です。
——それはみなさんも同じですか?
MASATO : うーん、正確に言うと、僕がロックスターを目指す理由は、世界平和のためなんです。世界を平和にするためには、とりあえずロックスターになって影響力を持たないとダメだなと思っています。
——なるほど。長く活動している中で、その軸がブレたことはありませんか?
TAKA : それはないですね。
MASATO : みんな揺るがないですね。ちなみに、女にモテたいという軸も全く揺らいでないです。
TAKA : そこが一番揺るがんとこやね。
YAMATO : メンバーそれぞれ、いる場所は違うけど、見てる方向は一緒だと思います。それぞれの場所から同じゴールに向かってる感じですね。
音楽で貢献できることがあるなら、堂々とやる(TAKA)
——呼太郎さんとYAMATOさんは後から加入されたということですが、入った頃のNOIZはどういう状況だったのでしょうか?
YAMATO : 僕が加入した時は、もうメジャー・デビューが決まっていて、周りからもノリにノッてるバンドというイメージを持たれていましたね。メジャー・デビューするから加入を決めたということではなくて、たまたまタイミングが合っただけなんですけど。
——呼太郎さんは、NOIZに誘われた時はどういう心境でしたか?
呼太郎 : 僕が加入前から、音楽をやりつつ、フィリピンでボランティア活動もやっていたのを知ってたので、僕もずっとその二つを続けていきたいなという思いがあったんです。NOIZのことは前から好きで聞いていましたし、そのビジョンにも共感していたので、誘われた時は迷わず入ろうと思いました。
——そもそもNOIZがボランティア活動を始めたきっかけはなんだったんでしょうか?
TAKA : アルバムのプロモーションで出たラジオ番組ですね。そのラジオ番組のDJさんは、歯医者さん兼ミュージシャンだったんです。その人から、自分はフィリピンの子供たちの歯を治すボランティアをしていて、その体験を歌にしている、という話を聞いたんですね。フィリピンの貧しい子供たちは歯ブラシを買うお金がなくて、虫歯になってしまうらしいんです。子供のうちから永久歯を抜かなきゃいけなかったりもして。それで、君たちも宇宙戦隊なら、フィリピンの子供たちの歯の平和も守ってくれませんか? と言われたんです。その頃は僕たち、地球の平和のために活動していると言いながら、音楽以外の活動は何もしていなかったんですけど、ノリで「いいっすよ」って答えちゃったんですよね。そこから、フィリピンの子供たちに歯ブラシを届けるという話になって、その場で、ライヴに歯ブラシを持ってきてくれって告知したんです。そうしたら、次のライヴから歯ブラシが集まりはじめて、結果的に15000本くらいになっちゃったんです。これはもう、ただ現地に送るだけじゃすまないなと思って、僕が単身でフィリピンに行って、隊員(UCHUSENTAI:NOIZのファン)の気持ちや愛がこもった歯ブラシを、直接子供たちに届けたんです。そこで、音楽そのものではないかもしれませんが、音楽や音楽活動を通じて、色々な形で貢献出来るんだな、ということを実感しました。

——原発事故がきっかけで、日本は社会問題についての発言がしやすい状況になったと思うんですが、3.11の前は、そういうことを言うのは恥ずかしいという風潮があったように思います。特にミュージシャン界隈はそういう空気が強かった。そんな中でTAKAさんは、自分達がボランティア活動をすることに迷いはありませんでしたか?
TAKA : 迷いはなかったですね。当時は賛否両論ありましたけどね。売名目的とか言われたり。でも現地に行って、貧しい子供たちの状況をリアルに見ると、やっぱりやってよかった! って思いましたね。最初は深い気持ちで行ったわけじゃなくて、ファンの気持ちを届けるという思いだけで行ったんですけど、帰ってきた後は僕らの音楽で貢献できることがあるなら、堂々とやっていこうという気持ちになっていました。
——メンバーのみなさんは、現地に行ってどういうことを感じましたか?
MASATO : 実際に行くまではTAKAの話を聞いていただけなんですけど、やっぱり現地に行くと感じるものが全然違いましたね。ひどいな、と。
——どういった状況を見てそう思ったんですか?
MASATO : 子供がずっと近くにいて「金くれ」って言ってるんですよね。これは何だ、と。
TAKA : そうやね。夜中の3時くらいに、5歳くらいの子供がアスファルトを裸足で歩きながら「金ちょうだい」っていうのは日本じゃ考えられないですよね。
MASATO : その子を見たのは僕らが泊まっていたホテルの近くで、街中に近いところだったんですけど、貧困地帯になるともっと凄くて。そもそも人が活動をしてないっていうか。
YAMATO : そこでも歯ブラシを配っていたんですけど、子供が服を着てないんです。
MASATO : 久しぶりに見ましたよ、子供がフルチンで走り回ってる姿を。
TAKA : 親が、子供たちに「お金もらってこい」って言って、自分は働きに行かないんですよ。子供を産むだけ産んでおいて、その費用は出せないから自分で稼げ、と。
——なぜ自分で働きに行かないんでしょうか?
MASATO : 働いてもお金にならない、というのもあると思います。漁師として一日働いても100~200円にしかならないみたいで。
TAKA : まあ、その状況を作ったのは、大人達の身勝手が原因なんじゃないかとも思いますけどね。お金がかかることが分かってるのに産むわけだから。
MASATO : でも一つ思ったのは、みんな元気で、明るいってことなんですよね。
——それは救いですね。
TAKA : でも、こっちはそんな状況を初めて見たから可哀相だと思うけど、向こうからしてみれば当たり前のことなんですよね。
MASATO : そう。だから、こっちが勝手に可哀相って言ってるのもおかしな感じはするけど、実際虫歯になるんやったら、歯ブラシ持ってるからあげるよ、と。とりあえず歯ブラシは歯を磨くものですよって(笑)。
——ハハハ(笑)。でも、そこからなんですね。歯ブラシを一本手渡ししてみて、何か感じましたか?
YAMATO : 行く前は、さぞ悲惨な状況だろうなと思っていて、実際苦しい状況だったんですが、子供たちが日本にはない明るさを持っていて。こんな状況で笑っている子供たちを見ると、自分がどれだけ恵まれた状況にいるのかということを改めて感じました。

——その体験は、自分たちの音楽に対してどう返ってきたと思いますか? 言葉で言うのは難しいかもしれませんけど。
TAKA : すごく悩みましたね。正直、どうしたらいいんだろうって。音楽の力で、とは言いながらも。メンバー一人ひとりが男として成長したとは思います。でも、正直、フィリピンでの経験が音にどう活かされた、というのは分からないです。まだ旅の途中ですね。発するメッセージは平和の方に向いていると思います。
——現地でライヴもしているんですよね?
TAKA : まともなライヴは去年が初めてです。メンバー全員で行ったのが去年だったので。初めて行った時は、僕と当時のマネージャーさんとカメラマンさんの3人だけで、アコースティックでライヴをしながら街やジャングルを周っていました。全員で行った時も、そもそもは歯ブラシを配ることが目的だったのでライヴがメインじゃなかったんです。でも、たまたまコスプレ大会みたいなものが開かれていて、そこでライヴをやらせていただくことになって、みんなでこのバトルスーツ(衣装)を着て演奏して(笑)。
——へえー。
TAKA : あと、ジャングルの中でもライヴをしました。ジャングルに電気が通っているところがあったんですよ(笑)。ロック・ミュージシャンが来たのが初めてだってことで、村の人も協力してくれたんですよ。
——おお。お客さんは、どんな風になりました?
TAKA : あの、狂ってました(笑)。歓声がすごかったです。日本と比べると良い機材がなくて音量はそんなに出せなかったんですが、それでも、特別に村一番の機材を用意してくださったし、ステージも半日くらいで組んでもらったんです。近くの兵隊さんとかも見に来て、ガードマンになってくれて。ただ、ライフルを担いでる人の前でライヴをしたので緊張感バリバリでした(笑)。
MASATO : 兵隊さんも暴動を警戒していたみたいです。村でイベントをやるのなんて初めてだったから。
TAKA : たくさんの人が見に来てくれましたからね。子供や大人、おばあちゃんからニワトリまで。
MASATO : 牛もね(笑)。
TAKA : (笑)。お祭りみたいになってましたね。言葉は通じないけど、音楽ってすげーな、と改めて思いました。
——みんなNOIZのことを知ってたんですか?
TAKA : 6年前に来た変な奴がまた来るぞっていう噂になっていたみたいです。一応、簡単なフライヤーもヤシの木に貼られていて(笑)。歯ブラシを配りながら音楽もしてくれるぞ、って(笑)。
——ははは(笑)。
TAKA : 事前に、行きますよっていうことは言っていたんですよね。現地でボランティアをされている日本人の方に相談して、その人が村人に告知してくれて、村人がフライヤーを貼ってくれたみたいです。
——めちゃくちゃ良い話ですね(笑)。
TAKA : 最初に行った時に訪ねた孤児院で、別れ際に、いつかメンバー全員でライヴをするという約束を子供たちとしたんです。それもあって、村の方たちも協力的になってくれたんだと思います。
——なるほど。では、ボランティアの話はいったん区切りにして、NOIZの音楽性について質問していきたいと思います。曲作りに関しては基本的にMASATOさんが作って、歌詞は二人(TAKA、MASATO)で書くと聞いていますが。
TAKA : 今は、呼太郎もYAMATOも曲を作っています。YAMATOは最近、歌詞の方も担当しています。
——時間を経ていく中で、曲作りの方法に変化はありましたか?
TAKA : うーん、僕は基本変わってないですね。僕はずっと歌詞を書いてきたので。作曲する方はどうなんでしょう? 聞いたことないですね。
MASATO : 手法は変わってないんですけど、作曲に対する心構えは変わってきましたね。
——というと?
MASATO : 宇宙戦隊の曲は、音として格好いいかどうかというより、ライヴで力を発揮出来るかどうかを重視しているんです。だから、CDでは意味が分からないパートがあっても、それはライヴで盛り上がるためのものだから良しとしてやっています。そこは最初からずっと変わらずにいるものの、最近は、作曲者である僕自身がもう少し楽曲に入り込むようになってきました。今までは、メンバーがどう思うか、ということや各人のプレイを重視していたんですが、もう少しワガママになったかもしれないです。とはいえ、「ライヴで力を発揮する」という基本は変わらないので、出てくる音は結果的にUCHUSENTAI:NOIZの音なんですけど。
——それは、長く一緒にやってきて信頼が生まれた結果でしょうか?
MASATO : そうですね。悪く言ってしまえば、クオリティを求めてないのかもしれないですね。クオリティはあって当然というか。
——それは、音そのものに対してですか?
MASATO : そうです。今、音楽ってあらゆる面ですごくインスタントになってるじゃないですか。そこに対して、価値を持ってくるものはクオリティ云々ではないんじゃないかなと。バンドが持っている力や熱なのかなと思います。
何でも有りなバンドでいたいですね(MASATO)
——呼太郎さんは、作曲するうえで、NOIZにどういうエッセンスを入れ込みたいと思っていますか?
呼太郎 : 僕はNOIZに入る前まではずっとメタル畑にいて、メタルの素養があるんです。でも、それとは別にピコピコしてるサウンドも好きなので、その二つを上手く組み合わせて曲を作れればと思いますね。
——なるほど。YAMATOさんはどうですか?
YAMATO : 僕の場合は、個人的にやろうとしてきたことが一区切りついたなという思いがあって。僕は三年前、つまりUCHUSENTAI:NOIZのサウンドが完全に出来上がってる状態からのスタートだったので、バンドと自分自身をイコールにすることを目指してやってきたんです。
——イコールにするとはつまり?
YAMATO : 僕が完全にNOIZの一員になって、僕なしではUCHUSENTAI:NOIZは語れないという状態まで持っていくことですね。ファンの人は、そんなこと当たり前だよって言ってくれると思うんですけど、自分のなかでは葛藤がずっとあって。今年で加入してから4年目になるんですが、やっと自分で作詞・作曲・プロデュースをして曲を完成させることが出来たんです。自己満足かもしれないですけど、今作でやっと「UCHUSENTAI:NOIZのYAMATO」になれたなと思っています。
——なるほど。叫さんとかはどうですか? アレンジにもどんどん参加していきますか?
叫 : いや、どちらかというと、ある程度作りこんであるものを、個人個人のパートで壊していく感じですかね。それで、アレンジしたものを集めてみて、曲を作った人がもう一度まとめていくっていう。その中でも僕は、聴いたイメージで伴奏を作っていくイメージです。

——ベースは一番ノリを出さなきゃいけないですからね。
叫 : そうなんですけどね。どちらかというと、一人で楽しんでいる部分が大きかったりするんですけど(笑)。「ここは、良い感じに聞かせたいんやろな」とか思いながら、しない! とか。
——敢えて?
叫 : 敢えてしないで作曲者に渡したらどうなるんだろうな、と。まあ、作った方はいつも困ってると思いますけどね。
MASATO : 「見直して」っていうこともあるよね(笑)。そういうことを、メンバー全員がかなりやってくるんですよ。驚かしてやろう、っていう気持ちも含めて。でも、一応、保険でこっちも作っときました、みたいなことはしてくる(笑)。
叫 : 抑えはちゃんとありますね(笑)。
MASATO : 「こっちが欲しいんでしょ? でもこういうのもありますよ」って、別のフレーズを提示することが多いんです。だからすごく刺激的だし、別フレーズを渡した後のレスポンスも必ずある。どんどん破壊的になっていくこともあって、そうやってNOIZのサウンドが出来ていると思いますね。どれだけブレてるように見えても、TAKAが歌えばNOIZの音になるな、と思うし。結構楽しんでやってますよね。肩凝りながら、音質だのクオリティだの、ではない。歌のために作ろうとはもちろん思っていますけど、歌のために全てがあるかというと、そういうことでもないし。歌とオケの関係をひっくり返したような楽曲を作っちゃったり。やっぱりそういう、何でも有りなバンドでいたいですね。
——なるほど、MASATOさんが一回壊して、再構築していくと。
MASATO : そうですね、もう最初のドラムRECの時点で壊れていくっていう(笑)。
——そこから仕掛けるんですね(笑)。
YAMATO : それも一つの挑戦というか。ドラムRECの時点で、MASATOと二人である程度作曲しちゃうことも結構あって。さすがに4作目になると、お互いの言いたいことが言わなくてもわかるんですよ。抑えるべき部分とめちゃくちゃにやる部分を、結構スムーズに配置できるようになって。今回そういう部分では、すり合わせに苦労するようなことはなかったですね。結構お互い、いいじゃんって言いあっていて。もちろんMASATOの確固たるイメージがあるからそれができてるんですけど。
MASATO : やっぱり経験を経て信頼関係が出来ているんだと思います。ここ4作品はディレクター無しで、自分たちでやっていますし。
好き勝手やらしてみたいな(叫)
——確かにお話を聞いていると、すごくセルフ・プロデュース力に長けているように感じます。
叫 : メジャーを離れた時に、自分たちで事務所をやろうと思って、独立したんですよ。それだったら、活動も音楽に関しても自分達の納得いくようにやってみようということになって。今まで通りやってたんじゃ進歩がないなと思ったんで。
——そのことについても聞きたかったんですよ。自分達で事務所も立ち上げ、ツアーも自分達で組みつつ、告知もして。そういうDIYな活動に関しては、TAKAさんの意向が大きかったんですか?
TAKA : 最初に独立の提案したのは僕ですね。もちろん、そのあとメンバーとは話し合いましたけど。やっぱり後悔したくない、精一杯活動したいって思いがあって。

——怖くはなかったんですか?
TAKA : まあ、失敗は何回も繰り返してきたんで(笑)。
——というと(笑)?
TAKA : 僕ら、言ってみればバツ3で、事務所を三回変えてるんですよ(笑)。そういうことを経て、自分達で活動した方が理想に近づけるなってことを思ったんですよね。
——描いた理想というのは何なんでしょうか?
TAKA : もっともっと広い範囲で活動したい、いっぱいライヴをしたいというのはもちろんあるんですけど、一番は宇宙戦隊を長く続けたいという気持ちですね。貫きたいという気持ちがあって独立しました。
——実際、独立してからどうでした? そんなに簡単なものじゃないと思うんですが。
TAKA : やる前から簡単なものじゃないとは分ってたんですけど、やっぱり思ってた以上に大変でした。でも、独立してからの方が、ライヴで感じる喜びや感動がより大きくなりましたね。
——宇宙戦隊のライヴを見てると、お客さんも含めてNOIZというか。あのファミリー感っていうのは、やっぱり今の(NOIZの)スタイルに共感してくれている人がいるから出てるなんじゃないかなあと思ったんですけど、独立してからファンは変わったりしました?
TAKA : 変わってないと思います。昔から隊員との絆は強いと思うんですよ。僕らも手抜きなしでやらないと隊員は応えてくれないと思ってるんで。だから、隊員達も本気で来てるように思います。
——確実に隊員達は本気ですよね(笑)。
TAKA : すごい愛を感じますね。怒られる時もあります(笑)。
MASATO : 基本悪ふざけがすぎるので。悪ふざけのレベルを飛び越えると、常識的な方に怒られるという(笑)。
——(笑)。
MASATO : ウチの隊員は、悪ふざけに慣れ過ぎて、常識的な判断ができない方もいっぱいいるので、ついついやりすぎちゃうんですよね(笑)。
TAKA : 例えば、3.11の震災でへこんでいる人も多いから、世の中を明るくしようと。で、明るくするためにはやっぱ笑いだろと思って。
MASATO : よかれと思ってね。
TAKA : そう、よかれと思って、一週間連続でUSTREAM配信をしたんです。NOIZTVみたいな感じで。そこで罰ゲームをやって…。
MASATO : そう、ゆるくおもしろくやれればなあと思ってたんですけど。
TAKA : 布団圧縮機の中に入って、圧縮されちゃうとかやったんですけど。

——それ、誰が圧縮されたんですか(笑)。
MASATO : 全員が(笑)。
TAKA : そうすると、「このご時世に… 」っていう方もいるし、「危険なことやめてよ! 」っていう方もいて。
MASATO : 「危ないから今すぐやめろ! 」って怒られたり。
TAKA : もちろん笑ってくれる方も多いんですよ。でも、本気で怒ってる方もいらっしゃって。
MASATO : でも、「ごめーん! 」って言って、その後にもっかいやりましたからね。
叫 : だからまあ、好き勝手やらしてみたいな(笑)。
MASATO : 俺らも本気で悪ふざけやってるし。
TAKA : まあ、喜んでもらおうと思ってやってるんですけどね。
MASATO : ライヴもそうなんですけど、自分らが一番楽しくないと、お客さんも楽しくないだろうなって思ってしまうんですよ。だから、普通は怒られるようなことでも、こっちは本気で楽しんでいたりする。「圧縮袋も楽しかったけどなあ… 」って(笑)。
——僕はすごく良いなと思いますよ。3.11の後で、そんな時世に笑いを与えるっていうのは、音楽でもすごくあったし。
TAKA : やっぱり腫れものに触らない人も多かったじゃないですか。僕らはガンガン触りましたけども。
MASATO : ガンガン叩かれたな(笑)。
叫 : ライヴして怒られて。
TAKA : ツアーも中止しなかったんですよ。ツアーも回ったし、被災地に行ってアコースティックでやったり、スコップ持ってヘドロの掻きだしにも行ったりして。そういうこともやりつつ、ツアーの最終日にはバンバン照明使って。それは、来てくれた隊員を笑顔にしようと思ってやったんですけど。
MASATO : どこも節電ムードで、自重気味のセットだったから、つまんなかったというか。
TAKA : 逆にド派手にやったという。誰かが節電してくれるから大丈夫やろみたいな(笑)。
MASATO : まあその言い方は悪いですけど、きっとそのライヴを見に来てる子らは家で電気使ってないんだから、ドライヤー2時間使うよりは全然マシだろと。
——でも、口で文句言ってるだけじゃなくて、ちゃんと慈善活動もしてるわけですし。僕も反原発運動をしている中で、笑いに走るなよって言われることもあるんですけど、それはおかしいと思うんですよ。実は、社会的な活動と笑いって表裏一体のもんやと思ってて。NOIZにもそういう反発があるんやろうなとは思ってたんですけどね。
TAKA : 怒られちゃいますよね(笑)。
——ですよね(笑)。でもそこがすごく良いなあと思ってて。
TAKA : ありがとうございます。
ジャンルの名前は何でも良い(TAKA)
——ところで、ビジュアル系のシーンにも波があるじゃないですか。NOIZが出てきた2000年代の、ビジュアル系のシーンの中での立ち位置は、どうでしたか?
TAKA : 2000年はナチュラル気味がはやりましたね。
MASATO : あとは、Janne Da Arcとか、SHAZNAとか…。
TAKA : ソフト・ビジュアルっていうのがはやりましたね。その中でも僕らはガッツリやってましたけど。
MASATO : ビジュアル系の中でもジャンルが分かれていて、流行る方じゃない方に俺らはいてたので(笑)。対バンする人たちも全員、顔が白塗りとか(笑)。
TAKA : 自分達はそんなつもりはないんですが、アングラの方に追いやられていて。アングラじゃねえって言ってんのに(笑)。
——例えば、アイドルとビジュアル系は長く続けるのは難しいって言われるじゃないですか。現在のビジュアル系のシーンっていうのは、どんな感じなんでしょうか? 若い子もたくさん出てきてるでしょうし、古くからずっとやってる人達もいると思うんですけど。
TAKA : すごく細分化されてるんですよ。ビジュアル系でも、濃い人もいれば薄い人もいるし、笑いを重視してるのもいれば…。
——笑いというのは、例えばゴールデンボンバーとかでしょうか。
TAKA : そうです。代表格で言えば、ゴールデンボンバーですね。あとは、可愛いのもいるし。アイドル性を重視してるような、韓流とどう違うんかなっていうようなバンドもいますね。そういう風に、すごく細分化された中で、僕らの立ち位置っていうのはまた特殊なのかなと思いますね。イベントに呼ぶのに困ると言われるバンドなんです。例えば、ダーク系のバンドで組みましょうという時には呼ばれないし、ビジュアル系縛りだけど、若いキラキラしたバンドの中に入れても合わへんし。
MASATO : あんまりビジュアル系を前面に出したイベントには呼ばれないですけど(笑)。ロックとかパンクの人達とやる時に呼ばれることが多い…。
叫 : 結局、周りの人は白い人が多いですね(笑)。パンクの人とか白い人とか。
TAKA : オールジャンルのイベントに呼ばれることも多いですね。この前は夏フェスに出て、海の近くにステージがあったので、思い切り日焼けしちゃって(笑)。

——ハハハ(笑)、でもそれが、NOIZの個性なんでしょうね。
TAKA : 僕らの方もそれを目指してたというか。
MASATO : そうありたいんですよ、ビジュアルだ! とかはどうでもいい。まあビジュアルでもいいんですけど。
叫 : だから、自分達のことを銀河系って言ってたり。
——なるほど(笑)。
TAKA : まあ分りやすい方がいいかなと思って、ビジュアル系って言ってるんですけど。
MASATO : 言うたらただの音楽集団ってだけの話で。
TAKA : ジャンルの名前は何でも良いと思うし、これからどんどん関係なくなっていくのかな、と考えてます。
——なるほど。NOIZのように、日本にも世界にもファンがいて、自分たちで世界中を回りながら活動を長く続けていることは素晴らしいですよね。
TAKA : そうですね。バンドが続いてて、5人でツアーを回れてるってことだけでも奇跡的なことなのかと。それぞれに色んなことがある中で、問題がないわけじゃないとはいえ、音楽だけに集中できる5人が集まって。バンドをやっていなかったら出会うはずもなかったであろう隊員達とも出会えたことを考えると、すごい奇跡が塊になって動いているような感じがしますね。
——わかりました。これからの活動にも期待しています。今日はどうもありがとうございました。
全員 : ありがとうございました!
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JAPAN TOY'S PANIC TOUR KING OF ONEMAN SHOW2012『METEORS』FINAL ATTACK
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PROFILE
UCHUSENTAI:NOIZ
UCHUSENTAI:NOIZ(うちゅうせんたいノイズ)とは、ヴィジュアル系に分類されるミクスチャー、デジロック、パンクなどの要素を取り入れたバンドである。コンセプトは「地球の平和を守る為、遥か遠い宇宙からやって来た5人の戦士達」で、「音楽で世界が平和に出来ると、割と本気で思っています。」と公言しながら、かつては年間130本以上のライヴ(パトロールと称している)を行っていた。TBS系列のバラエティ番組『あらびき団』に出演したことがある。