眠っていた秘蔵テープが、途方もない熱量で甦る!!
——ローザ・ルクセンブルグ、超貴重なデモ音源集をハイレゾで配信開始!

レーベル"ミディ"に眠っていた1本のカセットテープ。すべてはそこから始まった。そこに記録されていたのは、のちにBO GUMBOS(ボ・ガンボス)を結成することになるどんとが在籍した、ローザ・ルクセンブルグのデモ音源。このたび、そんなファン垂涎の音源たちが、『お蔵だし Vol.1』として日の目を見ることになった。しかも、オノセイゲン、森崎雅人によるマスタリングを経て、24bit/96kHzのハイレゾで甦ったのだ。ボ・ガンボスにも引き継がれた「さかなごっこ」、そして名曲「橋の下のおやじ(橋の下)」、さらには配信パッケージでしか買えない3曲まで、そこにはローザ全盛期のエネルギーが生々しく記録されている。もちろん、デモ音源という性質上、ヒズミ、ヨジレ、カスレといったノイズもかなり聴こえてくるが、不思議なのはそれが決して不快ではないこと。荒々しく主張するギターのカッティング、ところどころ割れてしまうどんとのヴォーカルなど、途方もない熱量を秘めた楽曲たちは、多少のノイズとともに聴くくらいのほうがドキドキする。飯田仁一郎(Limited Express (has gone?))のレヴュー、そしてローザ・ルクセンブルグを率いたギタリスト玉城宏志による各曲解説とともにお届けしよう。
ローザ・ルクセンブルグ / お蔵だし Vol.1(24bit/96kHz)
【配信フォーマット / 価格】
ALAC / FLAC / WAV : 3,086円(税込、単曲は各360円)
※この音源は、カセットテープ・マスターを使用して制作されました。
※音源の一部に、音揺れ、歪み、ヒスノイズ等がありますが、マスター・テープに起因するものです。予めご了承下さい。
※アートワーク & ライナーノーツ(PDFファイル)が同梱されます。
※26、27、28曲目は配信限定の楽曲です。
【収録曲】
01. おいなり少年コン / 02. いも虫まる虫 / 03. 虹のまりちゃん / 04. かべ / 05. きみのうちはへんなうちだなあ / 06. ねむる私 / 07. はなのあな / 08. さる者 / 09. 大さんしょううお / 10. あそびんぼう / 11. 南国ロック / 12. にゃろめ / 13. 笑う街 / 14. さいあいあい / 15. あらはちょちんちょちん / 16. フォークの神様 / 17. デリックさん物語 / 18. かかしの王様ボン / 19. さわるだけのおっぱい / 20. シビーシビー / 21. プー太郎のあくび(テレビ28) / 22. まったくいかしたやつらだぜ / 23. 橋の下のおやじ(橋の下) / 24. 眠る君の足もとで / 25. さかなごっこ / 26. アメダス / 27. なにはともあれ / 28. おれたほうき / 29. おしり
とにもかくにも、ローザ・ルクセンブルグは僕等にとって特別な存在だった
ディレイ深めのギター、ぼろぼろの服装、酒とタバコを片手に、東京、大阪、海外への影響も反発ももち、変態な歌詞を唄い、いなたいサウンドを掲げる。有名、無名問わず、そんなバンドは、間違いなく京都ではスターなんだ。
このアルバムを聴きながら、一緒にやってきた、多くの京都のバンドが、京大西部講堂、京大吉田寮、磔磔や拾得で演奏している姿を思い出した。くるり、キセル、騒音寺、ベートルズ、ママスタジヲ、コアファイコ、Convex Level、ドリルマン、片山ブレイカーズ&ザロケンローパーティ、bed、dOPPO、Turntable Films…。そんな京都のロック・バンド達に共通してある匂いは、間違いなくローザ・ルクセンブルグの匂いと同じだ。

さて、本作、ローザ・ルクセンブルグの『お蔵だし Vol.1』。「えっ、 vol.1っ!」と突っ込みたくなるが、なんとセカンド・アルバム用のデモ音源集なのだそう。もはやそれを、OTOTOYで高音質ってのも意味不明だが、聴いてみると納得の音質。まさに当時(昭和時代末期、1986年くらい)の音だし、今のパリパリのデジタルな音とはまったく方向性の違う、素敵にジリヒリしているのだ。これには、DSD録音でも有名なサイデラマスタリングのオノセイゲンと森崎雅人の活躍があるようだが、良い音とは、当時のスタジオで鳴っている音をいかにリアルに再現するかだと定義すると、この音源に収録されているギターの響きは、最高音質だと言っても過言ではないだろう。「南国ロック」他の揺れまくっている音質は、ギリギリのラインではあるが…(笑)。
それにしてもどんと(久富隆司、Vo, Gt)、玉城宏志(Gt, Vo)、永井利充(Ba, Vo)、三原重夫(Dr)の演奏力の高いこと。このグルーヴは、何度も京都大学の軽音の部室でセッションを繰り返さなければ出ないだろうし、東京に上京しどんどん人気が出てきたその頃の調子の良さも加算されているようだ。嬉しいのは、このアルバムで8曲もの新曲、そして名曲「橋の下のおやじ(橋の下)」、「さかなごっこ」が聴けること。2006年にみやこ音楽祭と言うイヴェントを西部講堂でくるりや京都の有志たちと一緒に開催した時、この「橋の下」を、「soul of どんと」を呼んで、みんなで熱唱した。そんな受け継がれ続ける名曲の原型は、テンポが少し速くて、変なコーラスが入っていたんですね(笑)。
とにもかくにも、ローザ・ルクセンブルグは僕等にとって特別な存在だったし、そしてこの『お蔵だし Vol.1』が発売されることは、京都に住んだものとしては、嬉しすぎる事件である。ぜひとも、多くの京都のロック・バンドに流れる匂いの原点であるローザ・ルクセンブルグの匂いを、くんくんとかいでほしいと思う。
ちなみに余談だが、僕のギターが、ストラトキャスターでダンカンのピックアップを載せているのは、この音に憧れたからなのだ…。
文 : 飯田仁一郎(Limited Express (has gone?))(1997年~2006年 京都在住)
ローザ・ルクセンブルグを率いたギタリスト、玉城宏志による各曲解説!!
1. おいなり少年コン
いきなりテンション高め大騒ぎのスカビート。どんとの“くちハープ”がゴキゲン。3人で歌詞と歌メロを持ち寄って生まれた奇跡の1曲。
2. いも虫まる虫
臨場感があるのであえてチュー二ング音を残しました。歌以外は一発録りだったのが分かります。かなり熱いハード・ロッキンな演奏は、The Whoの『Live at Leeds』を意識しています。
3. 虹のまりちゃん
“うちのまりをいじめるんじゃない!”と、父どんとが怒ってます。最初はレゲエ風ではなくヘンテコ斬新ビートでした。
4. かべ
キャッチーな歌メロに変態エログロナンセンスな歌詞はローザの得意技。なかでもこの曲は1番エグいかも。ここまでの4曲は『ライブ・オーガスト』収録曲。
5. きみのうちはへんなうちだなあ
後のボガンボスのレパートリーに発展するローザ曲の内の1曲。ディレイ深めギターは“U2”や“Police”等、80年代ロック風。
6. ねむる私
ここからの8曲は未発表曲。実はまるで記憶に残っておらず。多分ライブでやったことない曲多数。ああ、もったいない。“パンツ丸見え”を連呼するロックバンドは、当時も今もそうはおりますまい。
7. はなのあな
またも出た変態ソング。なんで鼻の穴なのか、そんな趣味はなかったはず。ブルーズっぽいギターはローザにしては珍しい。歌メロもオイシイのに。歌詞がなあ。
8. さる者
多分セッションで出来た曲。歌詞はもちろんどんとだが、サビの“おさーるさーん”は玉城かトシミツか? エンディングのキメは絶対トシミツ。
9. 大さんしょううお
きつね、たぬき、いも虫、まる虫、さる、ねこ、いぬ他。動物大好きローザであるが、こともあろうに「大さんしょううお」とは。どんとトシミツ作。
10. あそびんぼう
“ジンジンウォッカ”に“ズブズブロッカ”。昔から大酒飲みでした。アンプの上にウォッカやバーボンのボトルを置いてました。ドリフターズのマネしてますが時代はすでにビートたけしでした。
11. 南国ロック
サビとおやじギャグの歌詞を書いたような気がする。おすもうさんネタとの整合感の無さを考えると多分どんととの共作。今回の音源の中で1番のよじれ具合。もったいない。
12. ニャロメ
京都時代、『ガロ』にハマってた我々のお気に入りは、蛭子能収らの不条理漫画。なぜ赤塚不二夫の「ニャロメ」なのか、謎である。これも音がよじれてますが、こんな音、カセットテープでしか出せません。ある意味骨董的価値ありかも。
13. 笑う街
“この街”は当時住んでた下北沢の事。今も笑ってます。イントロテーマはローザ十八番の中国風。中国があんなになるとは想像つかず。ましてやモンゴル人の横綱だらけになるとは。
14. さいあいあい
ここからは『Rosa Luxemburg II』収録曲。なに? “ゲロのお花が咲いた”とな? だから“飲め!”“食え!”“吐き出せ!”と命令してたのか。ちなみにどんとは見事に下戸。

15. あらはちょちんちょちん
「さいあいあい」と共にギブソンSGギター使用。のはずだが、いつものダンカンストラトキャスターの音に聴こえる。アンプやエフェクターの記録も記憶も無し。不思議だ。
16. フォークの神様
これは完璧ストラトハーフトーンの音色。すでに歌詞とアレンジはほぼ完成された状態です。どんとの自信作と言えましょう。
17. デリックさん物語
舌っ足らずの歌がほほえましい、トシミツ大暴れのファンクナンバー。ボ・ガンボスのライブでもお馴染みの十八番。
18. かかしの王様ボン
当時は昭和時代末期。2年後、平成となりました。が、28年前の音なのに今聴いても面白い、飽きない。自画自賛ですが、あまり昭和を感じさせない音楽だと思います。
19. さわるだけのおっぱい
レコーディングではMIDI & ヨロシタのスタッフ一同がコーラス参加。“さわ〜るだけ〜のお〜っぱ〜い”と女性陣にも歌わせた。今ならセクハラか? みんな楽しそうだったけど。調べてみたらアルバムに”さわるだけboys & おっぱいgirls”とクレジット。有罪確定。
20. シビーシビー
“百万遍”は京大の街。“西部講堂”横の軽音の部室で練習してました。帰りに学食や食堂で踊り上がってました。ローザ誕生の地と言えましょう。このアレンジ、大変いいと思います。
21. プー太郎のあくび(テレビ28)
歌詞が完成してないので歌の音量が低い。その分ギターの音がデカくてブチキレてます。イントロがモンタレーのジミヘンっぽい。狙いました。
22. まったくいかしたやつらだぜ
なんともチープな宅録音源。ロケンローラーやヘビメタを茶化してます。最後のハイトーンボイス、今じゃ出ない、絶対無理。
23. 橋の下のおやじ(橋の下)
コーラスが歌メロを邪魔してますが、実はホーンセクションパートの仮歌でした。アルバムではキョンのアコーディオンが入り、いい感じに仕上がりました。ローザで1番の人気曲。
24. 眠る君の足もとで
どんとは宅録好き。藤井丈司氏のアレンジで全編打ち込みのレコーディング。宅録に近い雰囲気なので大喜びで歌ってました。
25. さかなごっこ
どんとの宅録第2弾。ボ・ガンボスで有名だが実はローザ曲でした。ライブでも何回かやったはず。
26. アメダス
玉城の宅録。この当時ハマってたシンセで作った曲。テーマのメロは1枚目「ぶらぶら」の焼き直し。一人10CCか? 当然バンドでは再現出来ず、ボツ。
27. なにはともあれ
※この楽曲の解説はありません。
28. おれたほうき
※この楽曲の解説はありません。
29. おしり
デビュー前、オムニバス『都に雨の降るごとく』の参加曲。セカンドアルバム候補曲になるも落選。これだけ楽曲があれば致し方無し。っていうか、余裕で3枚目作れてたなぁ。
大好評配信中!! ミディの復刻ハイレゾ・シリーズ
坂本龍一 / Merry Christmas Mr.Lawrence -30th Anniversary Edition- (1983年)
坂本龍一 / Coda (1983年)
大貫妙子 / copine. (1985年)
大貫妙子 / A Slice of Life (1987年)
大貫妙子 / PURISSIMA (1988年)
鈴木さえ子 / 緑の法則 (1985年)
鈴木さえ子 / STUDIO ROMANTIC (1987年)
かしぶち哲郎 / リラのホテル (1983年)
かしぶち哲郎 / 彼女の時 (1985年)
西岡恭蔵 / Farewell Song -Memorial Edition- (1997年)
PROFILE
ローザ・ルクセンブルグ
どんと(Vo, Gt)、玉城宏志(Gt, Vo)、永井利充(Ba, Vo)、三原重夫(Dr)の4人からなるロック・バンド。1983年、玉城とどんとを中心に結成、1986年2月にミディからデビューを果たし、1987年8月に解散。ロック・サウンドとカルトなポップ・センスを融合させ、強烈なインパクトを残した。TVコマーシャルに出演するなど、当時は音楽シーンだけでなく、お茶の間への露出も。その後、どんとと永井はBO GUMBOS(ボ・ガンボス)を結成。玉城はマチルダロドリゲス、三原はTHE ROOSTERSなどで活躍する。ユニークかつソリッドなサウンドとライヴ・パフォーマンスで、現在もその存在感を示しつづける伝説的なバンド。