驚異的なステージングと圧倒的歌唱力で魅せる──韓国ロック・バンドGUCKKASTEN、日本への挑戦

韓国を代表するロック・バンド、GUCKKASTEN。2007年に活動を開始し、エモーショナルなステージングと、ヴォーカルであるハ・ヒョヌの圧倒的な歌唱力で人々を魅了。瞬く間にその名を知らしめ、いまや韓国での公演は即完売の実力派バンドに。 2015年には9mm Parabellum Bullet、MO'SOME TONEBENDERとの対バンを成功させ、来日イベントでは多くのファンが詰め掛けるほど着実に日本のファンも獲得している。そんな彼らが6月5日に行った東京公演〈squall in japan 2017@代官山UNIT〉の終了直後に直撃インタヴューした。
新たなグッカステンのスタイルを切開いた1曲
GUCKKASTEN / PULSE
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(16bit/44.1kHz) / AAC
単曲 216円(税込)
【収録曲】
1. PULSE
OTOTOYのためにミックスし直してくれた楽曲も配信中。
GUCKKASTEN / マニキュア
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC
単曲 150円(税込) / まとめ 400円(税込)
【収録曲】
1. マニキュア
2. 赤い畑
3. 赤い畑 coustic Ver
INTERVIEW : GUCKKASTEN
代官山UNITでの東京公演を終えた直後のGUCKKASTENに直撃インタヴュー。熱気と興奮冷めやらぬ状態のメンバー。彼らはなぜ日本で挑戦することを決意したのか。 出演が決定した〈FUJI ROCK FESTIVAL '17〉についてや、今後の彼らの目標まで語ってくれた。熱いライヴ直後の温度感が存分に伝わるインタヴューをぜひ、彼らの楽曲とともにお楽しみいただきたい。
インタヴュー : 飯田仁一郎
構成 : 高橋秀実
写真 : Yosuke Torii
無名の新人として1つ1つ段階を踏んで、認めてもらいたいですね

──いまのGUCKKASTENの状況を教えてください。
通訳 : 去年、アリーナ・ツアーをやりました。1番動員したのが8000人ぐらいの規模で、それを2daysで。1日で8000人規模のライヴもありましたね。今年はちょっと抑えたいと思っていて、7月8,9日に行われるライヴでは3500人の2days、合計7000人を動員する予定です。
──韓国での良い状況のなかで、いま日本に挑戦する理由はなんでしょう?
ハ・ヒョヌ(Vo.&Gt.) (以下、ヒョヌ) : ミュージシャンやリスナーにとっても環境の優れているレコード店がいまだにある、日本の音楽シーンがとても羨ましいです。僕らもその音楽シーンで何か成し遂げたいという気持ちと、シーンで活躍している他のバンドと一緒にやってみたいという気持ちがあります。韓国で売れている、売れていないということを抜きにして、フラットに日本では観てもらいたいです。韓国での活動を並べた肩書じゃなく、無名の新人として1つ1つ段階を踏んで、認めてもらいたいですね。でも、「絶対日本で成功してやる」とかそういう欲を持っていると、日本のリスナーにはその欲が見透かされてしまうので、驕らず、真面目に誠実にやっていきたいです。

──今回、日本で初ワンマンとなったわけですが、やってみていかがですか?
イ・ジョンギル(Dr.)(以下、ジョンギル) : 初のワンマンにも関わらず、たくさんの方に来ていただいて、ライヴ中はすごく気持ちよかったです。
キム・ギボム(Ba.)(以下、ギボム) : 日本にも僕らのファンがこんなにいることに驚きました。ステージ出ていった瞬間は忘れられませんね。
ジョン・ギュホ(Gt.)(以下、ギュホ) : 途中、機材トラブルがあったんですが、すぐに直って再開できたのは幸いでした。
──僕が韓国で観させてもらったときはモニターの調子が悪くて、納得のいかないライヴだったようですが、そのときと比べて環境は良かったですか?
ヒョヌ : しばらくこの規模(代官山UNIT)でライヴをやっていなかったので、メンバーとの距離が近くて驚きました。特にドラムの音がいままでよりも大きくて不安だったんですけど、ライヴ中はお客さんの反応がほんとに良かったので、アドレナリンが出て、全然問題になりませんでした。
表現に対する向き合い方の変化が、進化に繋がったのではないかな
──前々回の〈LIQUIDROOM 11th ANNIVERSARY〉でのライヴ、9mm Parabellum BulletとMO’SOME TONEBENDERと対バンしたときと、今回のワンマンでは全然お客さんのノリが違ったと思うんですが、ライヴしやすさなどは違いはありましたか?
ヒョヌ : 音楽には2つの快楽があると思っています。1つは自分のことを全然知らない人の前で自分の音楽を聴かせて、反応をもらったときの快楽。2つ目は1つ目の逆で、すごく自分のことを知ってくれている方が反応してくれたときの快楽。その2つは真逆なんですが、共通して、僕たちを興奮させてくれます。だから、そのときそのときで快楽がちゃんとあって、今日も今日だけしか得られない快楽があったので、楽しかったです。
──LIQUIDROOMはアウェーのなか日本に立ち向かっている感じがしました。今回のワンマンは逆に韓国でみたときと同じで、ホームグラウンドなライヴに近かった感じがします。そのどちらのライヴでも印象的だったのがメンバー間のグルーヴ。あの激しいグルーヴを聴いたときに、GUCKKASTENは世界で活躍できると思いました。前回よりも今回のほうがそのグルーヴが進化していると感じたのですが、どこが進化したと思いますか?
ヒョヌ : 気持ちの部分で進化したと思います。昔は演奏を間違えないことだけにフォーカスを当てていたんですけど、いまは演奏の技術というよりも楽曲が持ってる意味や雰囲気をいかに自分が持ってるイメージ通りにお客さんに届けられるか、を意識しています。その表現に対する向き合い方の変化が、進化に繋がったのではないかなと思います。例えば、「思い切りいかなきゃ」と思ったときに、「思い切りやる」という意識を忘れるくらい自然にできるようになりたい。逆に力を抜いた方が良いときは、不安になるくらい力を抜いたり。今回のライヴは、自分のマインドコントロールの調子の波が良い方向にグルーヴで表現できたんだと思います。
──本日のライヴでは日本語で何曲かやっていましたが、それは日本への思いの表れですか?
ヒョヌ : もちろんです。日本語で歌ったとき、明らかにお客さんの反応がいつもと違いました。歌詞は楽曲の重要な一部なので、サウンドだけじゃなくて、歌詞でもお客さんに何か伝えたい。でも日本語がそこまで上手くないので、全曲日本語というわけにはいかなかったのですが、以前より日本語で歌える楽曲を少し増やすことができました。やはり、歌詞を理解してもらえるのは嬉しいです。
──日本人の僕からしても、やはり日本語で歌われると入ってくるイメージが全然違うので、非常に嬉しいというか、とても親近感が湧きました。
ヒョヌ : ありがとうございます。

──次の大きなライヴとして、〈FUJI ROCK FESTIVAL '17〉への出演が決定しましたが、それについてはどうですか?
ジョンギル : ヒョヌは登山が大好きなので、山でやれるだけでも期待しているみたいです(笑)。
ヒョヌ : 世界的なフェスとしてサマソニとフジロックで日本の2大フェスと呼ばれていますが、完全に質が違うと思うんです。特にフジロックの場合は、フェスのなかでもすごくロックにフォーカスを当てているイベントだと思っています。例えるなら、サマソニがクルーズ船で、フジロックは海賊船みたいな感じがする。今の自分たちには海賊船のほうが性に合っていると思います。その偉大なイベントに1人のアーティストとして出演できるということはとても光栄ですね。
──レッド・マーキーは大きいステージなので、ぜひそこで爪痕を残して欲しいです。
ヒョヌ : いままでどおり、ベストを尽くすだけです。あとBjörkさんが好きなので、それを観るのも楽しみです。
──次の制作は進んでいますか?
ヒョヌ : 次の作品はジャンルで言うとクラシック寄りのものにしたいと思っています。でもまだクラシックに対する理解度や勉強が足りないので研究している途中です。実はテーマも決まっていて、言いたいのですが、もしそれができなかったら恥ずかしいので、言わないでおきます(笑)。
──もうその制作は始まっていますか?
ヒョヌ : まだ僕の頭のなかだけです。
まず日本で成功したいという気持ちが強いです
──今後のGUCKKASTENの目標を教えてください。
ヒョヌ : まず、韓国を代表するバンドとして日本で結果を出すことが目標です。そして、ゆくゆくは世界で活躍するバンドと肩を並べられるくらいの実力を身につけたい。それが1番重要だと考えています。2つ目はGUCKKASTENというバンドで、GUCKKASTENの音楽を通して、世界とコミュニケーションを取りたいです。僕ら4人はGUCKKASTENという囲いのなかで歳をとって、経験して、成長して、という人生なんです。そして、それが続いていくわけですけど、GUCKKASTENというバンドはその4人の人生が1つにまとまった、ある意味1つの人生だと思っています。なので、バンドとして音楽という言語で世界とコミュニケーションできるようになれれば良いなと思っています。

──ではまだ日本以外の進出はしていない?
ヒョヌ : そうですね。アメリカと中国からオファーはあるのですが、まだ決まったことはありません。やはり、まず日本で成功したいという気持ちが強いです。日本は韓国から近いですし、日本語を喋れるスタッフもいるというのが大きいですね。そして日本に惹かれているなによりの理由は、先程も言ったように日本はミュージシャンとリスナーに対する環境がとても整っている国だからです。それを経験してみたいという思いが強いです。チャンスはタイミングや努力次第でいずれ来ると思っているので、まず日本で経験を積んで、そのうえで、他の国での活動を考えたいと思っています。
──他のメンバーも各自で目標などありますか?
ジョンギル : もっと頑張って練習して、欠点のない、世界でナンバー・ワンのドラマーになりたいです(笑)。
ギボム : 僕は特に目標はありません。というのも、ベーシストとして1番の夢は素敵なバンドで演奏することなので、もう既にそれは叶っているので、目標はありません(笑)。
ヒョヌ : 目標のないベーシストはいらない(笑)。ハングリーなベーシストを新たに加入させます(笑)。
ギュホ : 僕には子供がいて、最近2人目が産まれたんですけど、バンドとしてだけではなく、父親としての責任もあるので、バンドと父親、両方のバランスをうまくとっていきたいですね。あと、1番感じているのは体力ですね(笑)。育児はライヴとはまた違った体力が必要になるので、体力をつけたいですね(笑)。

──ヒョヌ以外、真面目な答えが1つもない(笑)。
一同 : あははははは(笑)。
通訳 : だからライヴでもヒョヌ以外にマイク持たせてないんですよね。口下手ですいません。
──この1、2年、HYUKOHやSultan of the Discoなど、韓国のロック・バンドの日本進出が増えてきています。しかし、日本のリスナーも耳が肥えているので成功を収めるのは簡単ではないと思います。だからこそGUCKKASTENには期待していますし、成功できると思います。
メンバー一同 : ありがとうございます。
過去作品もチェック!!
2010年行われた第7回韓国大衆音楽賞で最優秀ロック曲賞を受賞した曲。こちらの日本語バージョンです。
約1年の活動休止を経て発表した2ndアルバムをOTOTOYの独占という形で配信。ロックバンドは成功できないと言われる韓国の音楽シーンから生まれた、型破りの国民的ロックバンド。
RECOMMEND
ストレートなバンド・サウンドを中心とした前作“地獄盤”こと『Rise from HELL』からは一転、対になるアルバム。天国へと舞い上がっていくかのような壮大なスケールと美しいメロディが絡み合う。
HYUKOH / 23
2016年、“サマーソニック2016”東京・大阪出演、秋には東京・大阪単独来日公演も成功させた韓国のロックバンド“HYUKOH”(ヒョゴ)。彼らのファースト・フルアルバム日本ライセンス盤。
LIVE INFORMATION
〈Guckkasten Seoul〉
2017年7月8日9日(土・日)@韓国 蚕室室内体育館
〈FUJI ROCK FESTIVAL '17〉
2017年7月30日(日)@新潟県湯沢町苗場スキー場
〈Incheon Pentaport Rock Festival 2017〉
2017年8月11日(金)@韓国 仁川
PROFILE
GUCKKASTEN
Ha Hyunwoo / ハ・ヒョヌ(ギター、ボーカル)
Jun Gyuho / ジョン・ギュホ(ギター)
Kim Kibum / キム・ギボム(ベース)
Lee Junggil / イ・ジョンギル(ドラム)
驚異的な音域と天を裂くような爆発的なシャウト。唯一無二の圧倒的歌唱力のヴォーカリスト、ハ・ヒョヌを擁するロック・バンド、GUKKASTEN。 2007年の活動開始直後から注目を集め、韓国で人気の音楽番組に出演したことがきっかけで、またたく間に老若男女を問わず知れ渡る事となった彼ら。一時的な活動休止期間があったものの、2015年にリリースした2ndアルバム『FRAME』は、CDの流通が厳しいと言われる韓国国内において、ビッグセールスを記録し、現在もバックオーダーが続いている。 2016年には、9mm Parabellum Bulletとともに、ソウルと東京にて双方がホスト役を務める形で日韓Exchangeツアーを敢行。その歌声とエモーショナルなステージングで日本のオーディエンスに強い印象を残したことは記憶に新しい。
昨年行ったホール&アリーナ・ツアーでは韓国国内で7万人を動員。6月の東京でワンマン公演のチケットは即日sold outとなった。