「ストレス軽減」→「GABAだ」
──“On Fire”は、どういうふうに作っていったんでしょうか?
大山:これはメンバーがうちに集まってた時に、「亮輔、なんかいい感じのグルーヴのベースないの?」みたいな会話から始まった気がします。それに加えて、僕らがチリに行かせてもらった経験もあって、南米の風を感じて、情熱的なトラックにしようっていう方向に舵を切ったんです。「FUNK FIRE」の中でも一番“火”に近いというか。ちょっとむさ苦しいような、汗ばんでるような雰囲気ですね。勢いで作っていった感じですけど、BRADIOらしい良い曲になったなと思ってます。
──“大人たちのPOPS”についてはどうでしょう?
真行寺:“大人たちのPOPS”は元々かなりファンキーな曲だったんです。でもサビだけは別のところから持ってきたような構成で、ちょっとガッチャンコした印象の曲でした。で、そのファンキーな部分とポップな部分をうまく融合できないかなと思ったんですけど……まあ、失敗しまして(笑)。じゃあもう一新してポップにしようって。ファンキーだった部分を全部ポップに変えました。なんとなく、“真っ赤なカーチェイス”っていう昔の曲を作ってた時の感覚があって。それのパート2みたいなノリですね。
──なるほど。続く“GABA”ですが、そもそも“GABA”とは?
真行寺:「GABA」はチョコレートの商品名にもなっているアレです。それを擬人化したようなイメージで作りました。アルバム全体の中でも、ちょっと抜け感のある、休めるような曲がほしいよねって話があって。普段から僕チョコレート好きで、コンビニでよくGABA配合のチョコを買ってるんですよ。それで「ストレス軽減」→「GABAだ」みたいな連想ゲームでタイトルが決まりました。歌詞もそんな感じです。

── “My Fantasy”は、どうやってつくっていきましたか?
大山:実はトラックはかなり前に作っていて、オケはほぼ完成に近いところまで作り込んであったんですよ。ただ、そのときは「どこかに収録しよう」みたいな話にはならなかった。で、『FUNK FIRE』の制作に入るタイミングで、過去のデモを見直していた時に「なんでこれ使ってないんだ!?」って(笑)。それでメンバーやチームに「普段だったら新しく作るところだけど、今回はこれを入れたい」と相談しました。
──なぜこの曲を入れたいと思ったんですか?
大山:今、僕たちも40代に入って、昔はあまり説得力を持たなかったようなテーマも、今なら形にできるんじゃないかって思ったんですよ。サウンド的にも勢いだけではできなかったタイプの曲ですし、今このタイミングで完成させるのがベストだったんだと思います。
──最後に“バッカナーレ”について伺います。タイトルはイタリア語で「どんちゃん騒ぎ」という意味ですね。
真行寺:「どんちゃん騒ぎ」って意味と、「バカになれ」って意味をかけて、ダブルミーニングにできたらいいなと思ってつけました。15周年のアルバムの最後が落ち着いた曲で終わるのは違うなと思っていて。祭りのままで終わりたい、っていう感覚がありました。最初に手拍子とベースラインができた時点で、一発で方向性が決まりました。
大山:貴秋がデモの一節を送ってきた時点で、仮タイトルが“バッカナーレ”だったんですよ。そのとき、JB(ジェームス・ブラウン)か何かの、教会で演奏してる映像が一緒に送られてきて、「こういう感じ」ってイメージが伝わってきました。そこからは遠慮せずに全部盛り込みました。めちゃくちゃ“BRADIOらしさ”が出た曲になったと思います。
