違う旋律を追いかけっこみたいに歌うのが、まさに「青風」
——なるほど。2曲目はAxSxEさんプロデュースの“STiLL BE CHiLD”です。作詞はJxSxK(渡辺淳之介)さんが担当されています。
ヒューガー:歌詞をいただいた瞬間に、渡辺さんからのお告げをいただいたような、遠隔で指導していただいている気持ちになりました。「涙が止まらないのは 少しだけあの時が 恋しくなるからなの?」の部分が、特に涙腺を刺激するようなメロディーで、心にグッときます。泣きたい気持ちになっちゃいます。
——AxSxEさんもレコーディングに参加されていたんですか?
ヒューガー:そうです。その場で歌割りを変えてくださったり、デモとは違ったメロディーも入れたり、長い時間BiSのことを考えてくださいました。一気に作り上げていく過程を見ることができて貴重な経験になりました。
——MVも作り込まれている印象がありました。
ヒューガー:実は情報量が多いんですよね。ちょっと不気味な感じもあります。
——最後に登場する女の子は誰なんですか?
ヒューガー:レイカちゃんという女の子です。最後は大人の私たちが寝てしまって、レイカちゃんに「何をしてんねん! しっかりしなさい!」って中指を立てられるイメージです。まあ中指はさすがにアカンかったので、映像では人差し指を立てているんですけど。
——3曲目、ナカコー(中村弘二)さんプロデュースの“Olenimorph, Ole”はどんな曲になりましたか?
ヒューガー:歌詞は、作詞担当のabelestさんにヒアリングをしてもらって作っていきました。その質問内容が「自分を構成する要素を10個書いてください」とか「BiSに入って1番大変だったものはなんですか」、「これからの意気込みを教えてください」というものだったんです。メンバーのパーソナルなことや、チームに対する思いが歌詞に盛り込まれています。例えばかつての陸上部部長」がイコで、「濃いラーメン」はシオンのこと、みたいな感じです。

——ということは、「最新VRガジェット200万も積んだ」というのも誰かのことなんですか?
ヒューガー:それはさすがにいないです。語感とか、韻を踏むために入っている歌詞もありますね。「heavy sick」とかはみんなが書いていたと思います。
——面白い作り方ですね。
ヒューガー:「寝起きドッキリコンサート」というワードが印象的なんですけど、これはヒアリングをする前の時点で、できていたんです。目が覚めたら「寝起きドッキリコンサート」が開催されていたら、別世界に移動したと思うくらいびっくりするじゃないですか。それくらい世界の速度が変わってきていることを表現したい、とabelestさんが言ってくれたんですよ。
——実際に歌ってみていかがでしたか?
ヒューガー:これはラップパートが楽しくて仕方がなかったですね。レコーディングのときのナカコーさんの指導がすごくおもしろかったです。
——どんな指導だったんですか?
ヒューガー:「この曲はラッパーと仲良くなってください」みたいな概念的な指導でした。「ラッパーと同じ部屋に住んでいるイメージで、割合はそのラッパーと折り合いをつけてください」みたいな感じです。ラップが上手すぎると、「ちょっとラッパー抑えてください」みたいに言われていました(笑)。
——(笑)。続いて7曲目の“青風”についてお聞きしたいです。こちらもabelestさんとナカコーさんのタッグの曲ですね。
ヒューガー:清涼飲料水か洗剤のCMに、ぜひ使ってほしい曲です(笑)。
——確かに爽やかな曲ですね。
ヒューガー:この曲、デモ音源は、女性が歌ってくれているんです。“あの人”が歌ってくださってると確信してるんですが、私たちが表現しきれないくらい、英語っぽく歌ってくださっていて。こういう風に新しい歌い方で歌えたら楽しいだろうなと思いました。
——おすすめポイントはどこですか?
ヒューガー:「ドラム式の洗濯機やっと働いて買ったんよ」と「真っ白なTシャツを灼熱が燃やす」の部分が同じメロディーなんですけど、そこがかっこいいです。違う旋律を追いかけっこみたいに歌うのが、まさに「青風」みたいだと思います。ライヴでパフォーマンスするのが楽しいですね。
