落ち着いちゃう先輩にはなりたくない
――8センチCDが持っている時代の雰囲気は、カップリング曲 “Violet”にすごく感じます。この曲は作詞がミヤさん、作曲がYUKKEさんとミヤさんの共作ですが、どうやってできた曲でしょうか
YUKKE:最初に90年代モチーフというシングルのアイディアがあって、自分なりに90年代ってどういう音楽だろうなって考えたときに、自分の友だちが聴いていた音楽、当時の例えばCOMPLEXやBOØWYの曲を友だちの家でよく聴いていたりしていたことを思い出したんです。それって結局80年代の後半の音楽だと思うんですけど、たぶん自分はそれを90年代に聴いていたから「90年代の音楽はこういうものだ」っていう錯覚を起こして制作に入ったので、ちょっと時代感は10年ぐらい前にはなっちゃっているんです。でもなんか染みついてるんでしょうね。メロディーの雰囲気であったり、歌詞の1ワードとかに関してもそうだし、イメージを持って制作に入ったので結構すんなり出来た感じがしました。あとは、伝わりやすいデモを作りたいと思っていて、それがメンバーに聴かせたときにすぐ伝わったので、自分の狙った感じの色は出せたと思っています。そこにリーダーからの曲に対するアイディアとかをプラスして出来上がった曲です。
――確かに、90年代以降のJ-ROCKまでは行っていない頃の音楽というか。
YUKKE:それより前の日本のロックがイメージにありました。当時自分が聴いていたのはJ-POPやヴィジュアル系の音楽だったんですけど、その時代のロックバンドのシングルというよりアルバムの中でも目立つ曲みたいなイメージもありました。
――MVも拝見しましたが、どんなところで撮影しているんですか?
YUKKE:「平成こじらせ部屋」さんっていう方がいて、平成(=90年代)時代の部屋に置いてあるもの、ジュースの缶とかゲームとか雑誌とかを紹介してる人で、その人のTikTokを好きで見ていたんです。そもそもカップリングでMVってあんまり作らないんですけど、“Violet” のMVを作ることになって、「ちょっとドキュメントタッチのMVにしたいね」っていうアイディアが出てきたんです。しかもただドキュメントにするんじゃなくて、プラスアルファ、当時の部屋を再現するとか、自分たちがバンドをやりはじめたときや音楽を初めて聴いたときの高校生時代、青春時代の部屋を再現してかけ合わせたらもっと面白いんじゃないかなと思って。平成こじらせ部屋さんにもいろいろアイディアを出してもらったり、お部屋を借りたりとか協力していただいて作りました。だから、同じ世代の人には懐かしいなと思って見てもらえると思います。MVに関しては僕も美術スタッフみたいなことをやっていて、ハードオフとか中野ブロードウェイとか、当時のものをかき集める作業がすごく楽しくて。実家に帰って見つけたものを持っ行ったりてきたりとかもたくさんしたし、面白かったですね。
――見る度にいろんなものを見つけられそうですよね。YUKKEさんの中で特にこれは同世代の人を見てほしいとかこだわったアイテムなどがあれば教えてもらえますか?
YUKKE:当時、僕が部屋に貼っていたポスターとか写真とか雑誌の付録とかを再現しているんです。ポスターがいろいろ貼ってあると思うんですけど、当時よくあったポスターのオマージュだったりするので、結構細かく見てもらうと面白いと思います。他にも、リーダーが90年代後半に使っていたiMacが置いてあったりとか、本当に1個1個説明したら結構面白いんじゃないかなと思います。エキストラさんにも、当時の部屋で遊んでる雰囲気を出してもらいました。何気ない日常で、隣の部屋にお兄ちゃんがいてその部屋からロックが聴こえてくるみたいなところがうまく再現できたのかなとは思ってます。
――ベースのフレーズにニューウェーヴっぽい当時のサウンドへのオマージュも感じました。
YUKKE:シンセベースも入っているし、その上にベースがいて、イントロや間奏でそういう雰囲気を感じてもらえればいいかなって。“Violet”のベースプレイはシンプルに刻んでいるかっこよさというか、メロディーを意識したフレーズじゃなくても、シンプルにスタッカートするだけとか、そういうところの面白さ、当時の空気というか自分が持っている80年代から90年代のロックバンドでもこういうアプローチがあったよねっていうところが表現できたらいいなと思っていました。

――リリースツアー〈MUCC TOUR 2024 Love Together〉が6月9日(ムックの日)から始まりましたが手応えや感想をお聞かせください。
YUKKE:セットリストも、これまでずっとリーダーのミヤが考えていたんですけど、今回は逹瑯がセットリストを考えているんです。個人的にもすごく好きな曲も入っていて、これはファンの子たちにも喜んでもらえるメニューが多いんじゃないかなって思っています。シングルリリースに合わせたツアーってあんまりやったことがないんですよね。アルバムだとやっぱりアルバム曲をやって、あとはライヴの定番曲とかでセットリストが構成されると思うんですけど、シングル曲が2曲なので、他の自由度がすごく高いんですよ。なので、例えばこれまであんまりやれてなかったアルバム曲とかを中心にしている部分もあって。“激しさ”っていう部分でじゃないところでもすごく攻めてるセットリストだと思っています。個人的には「この曲すごく好きだな、そろそろやりたいな」っていう曲もセットリストに入っていました。300曲以上ある曲の中からセットリストを作るわけですから、すごく広い選択肢なんですけど、その逹瑯のイメージと結構重なる部分があったというか、ファンの方には喜んでもらえると思います。25周年ツアーで見せられなかった部分もたくさんあると思います。
――今回のメジャーデビューを機に、MUCCが新たに目指すものはありますか?
YUKKE:最近、ヴィジュアル系というシーンを見ていても、自分たちの後輩のさらに後輩っていうバンドもたくさん出てきていて、そういう後輩と対バンする、また一つ上の世代のバンドとかもたくさん出てきているんです。そういうバンドと一緒に面白いシーンを作っていけたらなっていう気持ちは個人的にもすごくあるんですよね。今回の〈MUCC TOUR 2024 Love Together〉でサポートバンドと一緒に回ってみるっていうことも刺激的だしそのうちのひとつというか。将来的にもっとこういうツアーはどんどんやっていきたいですね!
MUCCが音楽を始めたきっかけになっていたり、「最初にコピーしていたバンドです」って後輩から言われる機会も増えてきていて。そういう世代と交わることでまた何か面白い空気であったり、全員の色っていうのが出てくるんじゃないかなっていう気がしているんです。だから、若手と絡んだりライヴを観ていても、すごく刺激はあるんですよね。そういう後輩たちに「やっぱりMUCCはすげーな!」って思わせたいし、ずっと最前線にいたいなっていう気持ちにもなります。落ち着いちゃう先輩にはなりたくないなっていうか、キャリア的に27年やってると、観る人からすると生まれる前からやっているみたいな感じはあるんですけど、そういう中でもいろんなところで面白いことをやって、「何歳になってもバカな人たちだな」って思われていたい部分はすごくありますね。

編集 : 西田健、草鹿立
3度目のメジャー復活作となる、最新シングル
LIVE SCHEDULE
〈MUCC TOUR 2024 Love Together〉
2024年6月22日(土)山形ミュージック昭和session
OPEN 17:30 START 18:00
(問)キョードー東北 022-217-7788
※サポートバンド:甘い暴力
2024年6月23日(日)仙台Rensa
OPEN 17:15 START 18:00
(問)キョードー東北 022-217-7788
※サポートバンド:甘い暴力
2024年6月29日(土)名古屋ボトムライン <2F指定席のみSOLD OUT>
OPEN 17:15 START 18:00
(問)ジェイルハウス 052-936-6041
※サポートバンド:vistlip
2024年6月30日(日)名古屋ボトムライン <2F指定席のみSOLD OUT>
OPEN 17:15 START 18:00
(問)ジェイルハウス 052-936-6041
※サポートバンド:vistlip
2024年7月3日(水)渋谷WWW X<SOLD OUT>
OPEN 18:15 START 19:00
(問)DISK GARAGE
※サポートバンド:CHAQLA.
2024年7月6日(土)福岡BEAT STATION
OPEN 17:30 START 18:00
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
※サポートバンド:MAMA.
2024年7月7日(日)福岡BEAT STATION
OPEN 17:30 START 18:00
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
※サポートバンド:MAMA.
2024年7月11日(木)柏PALOOZA<SOLD OUT>
OPEN 18:15 START 19:00
(問)DISK GARAGE
※サポートバンド:JILUKA
2024年7月20日(土)Live House浜松窓枠
OPEN 17:30 START 18:00
(問)ジェイルハウス 052-936-6041
※サポートバンド:ΛrlequiΩ
2024年7月21日(日)Live House浜松窓枠
OPEN 17:30 START 18:00
(問)ジェイルハウス 052-936-6041
※サポートバンド:ΛrlequiΩ
2024年7月26日(金)東京キネマ倶楽部 <SOLD OUT>
OPEN 18:15 START 19:00
(問)DISK GARAGE
※サポートバンド:色々な十字架
2024年7月27日(土)東京キネマ倶楽部 <SOLD OUT>
OPEN 17:15 START 18:00
(問)DISK GARAGE
※サポートバンド:色々な十字架
2024年8月3日(土)水戸VOICE <SOLD OUT>
OPEN 17:15 START 18:00
(問)DISK GARAGE
※サポートバンド:DEZERT
2024年8月4日(日)水戸VOICE <SOLD OUT>
OPEN 17:15 START 18:00
(問)DISK GARAGE
※サポートバンド:DEZERT
詳細はこちら
〈Love Together追加公演2days〉

2024年8月10日(土)YOKOHAMA BAY HALL
OPEN16:00 START17:00
2024年8月11日(日)YOKOHAMA BAY HALL
OPEN15:30 START16:30
【チケット料金】
7,800円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要 ※スタンディング
詳細はこちら
主催イベント〈LuV Together 2024〉

2024年9月16日(月/祝)EX THEATER ROPPONGI
【出演】
アンティック-珈琲店-/キズ/YUKI-Starring Raphael-/lynch./MUCC(順不同)
詳細はこちら
ディスコグラフィー
PROFILE:MUCC
逹瑯(Vo)、ミヤ(G)、YUKKE(B)からなる3人組ロックバンド。1997 年結成。
日本人の心のメロディを大事にしつつ、ロック、メタル、パンク、ダンス、ラップ、ミクスチャー、、、ありとあらゆるジャンルの音楽を全て飲み込み、常に新たなサウンドを追求し続け、「MUCC」という一つの生命体のように、誰にも似つかない音を鳴らし続けている。
国内外問わず結成以来、精力的に数多くの箇所、本数のライヴを行っており、海外でもヨーロッパ・アメリカ・中国・ロシア・南米の計13 か国で公演を約150 本実施。国内においても日本武道館、幕張メッセ、国立代々木競技場第一体育館などで単独ライヴを開催し、日本ではSUMMER SONIC、LOUD PARK、OZZFEST、KNOTFEST JAPAN など大規模フェスへも出演、海外でもWacken Open Air、Sweden Rock Festival、Metaltown Festival、Tuska Open Air Metal Festivalなどの大規模フェスにも出演し、大きな反響を得てきた。
また、Guns N' Roses、The Smashing Pumpkins、Good Charlotte、AFI など、洋楽アーティストの日本単独公演でのサポートアクトも数多く経験している。2008 年には北米(34 ヵ所)、ヨーロッパ(18 ヵ所)を回る大型フェスツアー、「ROCKSTAR Taste of Chaos」TOUR にAvenged Sevenfold、ATREYU、Bullet for My Valentine、Story of the Year、As I Lay Dying などと共に参加。日本公演では堂々のヘッドライナーを務めた。世界を股にかけるタフなライヴバンドとして定評もあり、そのパフォーマンスへの評価は高い。
バンド結成25周年を迎える2022年6月にはフルアルバム「新世界」をリリース。
「新世界」制作中に泣く泣くアウトテイクとなった楽曲や「新世界」を完結させる意味合いを込めてツアー中に作曲された楽曲が収録されたミニアルバム「新世界別巻」を12月にリリース。
2022年10月から12月にかけては、2003年・2004年にリリースされたアルバム「是空」「朽木の灯」をコンセプトにしたツアー『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~是空・朽木の灯~』を開催。
2023年3月から5月にかけては、2005年・2006年にリリースされた「鵬翼」「極彩」をコンセプトにしたツアー『MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~鵬翼・極彩~』を開催。6月から8月にかけては、2008年・2009年にリリースした「志恩」「球体」をコンセプトにしたツアー『MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~志恩・球体~』を開催。10月から11月にかけては、2010年・2012年にリリースした「カルマ」「シャングリラ」をコンセプトにしたツアーを開催。
「Timeless」ツアーでは、いずれも当時の世界観を踏襲した会場限定シングルのリリースを行い、過去を懐かしむだけではなく新曲を含めたセットリストは、今のMUCCが再構築する新たなライブとして話題を集めた。12月28日には会場限定シングル全曲やツアーを経て制作された最新曲「Timeless」等を収録したアルバムをリリース。同日にグランドフィナーレとなる『MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to「Timeless」&「WORLD」』を東京国際フォーラムホールAにて開催し大盛況のうちに周年イヤーを終えた。
そして結成30周年に向け新たな出発をしたMUCCは、2024年6月に徳間ジャパンコミュニケーションズより「愛の唄」をリリース。止まることを知らず、邁進し続けるMUCCの動向に目が離せない。
Instagram
https://www.instagram.com/mucc_official/