初ミニ・アルバムのテーマは“脱出ゲーム”!? ── ポップで攻撃的な5人組、あるくとーーふの全貌

アグレッシブなのに親しみやすい5人組バンド、あるくとーーふ。ロック・フェスティバル〈未確認フェスティバル2019〉ではファイナリストに選ばれるなど、はやくからその実力に注目が集まっている。「脱出ゲーム」をテーマに制作された初のミニ・アルバムには、彼女たちのハングリー精神、そして夢と願いが込められている。このテーマは「自分たちの音楽的可能性を広めよう」という気持ちから、選んだという。まさしく、あるくとーーふのポテンシャルを存分に感じる1枚に仕上がっている。収録曲“春雷フラッシュバック”は軽快さと疾走感という持ち前の良さが生かされており、またミディアム・テンポのしっとりとした“光の栞”や“オオカミUFO”には、彼、彼女たちのまた新たな表情をみることができるのだ。気になるバンド名の由来など語ってもらったので、あるくとーーふを知ったばかりの人にも楽しんでもらえるインタヴューとなっている。
あるくとーーふの新作音源はこちら
INTERVIEW : あるくとーーふ

第一印象で「“あるくとーーふ“っていったい何?」と思ってしまった時点で、このバンドが創作する世界に迷い込んでいるのかもしれない。「攻撃的ポップバンド」を掲げて活動するあるくとーーふ初のミニ・アルバム『サイファールーム』は、利佳子(Vo)の感情表現豊かな歌声と、自由奔放なようで絶妙なアンサンブルを聴かせる演奏陣によって作られた7曲を収録。繰り返し聴くことで新たな発見をすることもできる緻密な作品であり、曲タイトルや歌詞にもセンスとこだわり、個性的なボキャブラリーが感じられる。本当に、あるくとーーふっていったいどんなバンドなんだろう。メンバーに話を訊くと、音楽活動への明確な意思を語ってくれた (Drの伊藤ヒナノは都合により欠席)。
インタヴュー&文 : 岡本貴之
写真 : 作永裕範
結成した当初は、こんなに続いているとは予想もしていなくて
──あるくとーーふはどんな5人で結成されたバンドなんですか?
利佳子(Vo) : 全員が同じ高校の同学年で、それぞれバンドをやりたくて軽音部に入っていたんですけど、私がメンバーに声をかけて結成しました。amicoだけは軽音部に入るつもりじゃなかったんですけど、私とたまたま好きなバンド(UNISON SQUARE GARDEN)が同じで、一緒にやろうって誘ったんです。ギターの貴仁だけはベースのNakamuraが声をかけて加入しました。
amico(Key) : ドラム以外はみんなバンド経験がなくて、高校入学のタイミングで春からバンドを組んだんです。私は、音楽は聴く方が好きだったので、自分がバンドをやろうとは考えたことがなかったんだけど、ピアノをずっとやっていたので、「キーボードならできるかな」と思って加入しました。
──貴仁さんとNakamuraさんも、好きな音楽が共通していて仲良くなったんですか?
Nakamura Koji(Ba) : ふたり(利佳子とamico)は似ていたんですけど、自分たちは好きなジャンルは結構バラバラです。バンドを始めてから、自分のルーツを分け合って曲を作るようになりました。
貴仁(Gt) : 自分はR&Bとかジャズ系が好きです。最近は、星野源とかを聴いてます。
Nakamura : 僕はベースを始めたきっかけがレッド・ホット・チリ・ペッパーズで、あとはダフト・パンクとかテクノ系も聴いてました。そういう音楽知識の交流みたいなものが楽しくて、いまでもみんなで共有するようにしています。
──メンバーそれぞれの音楽要素を、バンドとしてどんな音楽にしようと思いましたか。
利佳子 : 自分たちで明確に、「こういう音楽をやりたいね」ということは特に決めてなかったんですけど、みんながそれぞれやりたい音楽をやってたら、今のあるくとーーくの音楽ができてきた感じです。
amico : 本当にその通りです。好きな音楽で影響し合うこともあるし、でもやっぱりそれぞれ好きなものがあって。それをひとつにしたら自然にこうなったと思います。

──バンド名も、自然に「あるくとーーふ」になったんですか?
利佳子:名前は、ちゃんと意味があるんです。メンバーの名前をローマ字表記にしてイニシャルの頭文字を並べていくと、A(amico)R(利佳子)K(Koji)T(貴仁)H(ヒナノ)になるんですよ。それを無理やり、「あるくとーーふ」って読んだんです(笑)。
──無理やり「あるくとーーふ」って読んだ…?
amico : ちょっと無理がありますけど(笑)。でも、ここで終わりじゃないんです。「とーーふ」の「ーー」が2本並んでますけど、これは、バンド名の文字数を素数にすると割り切れないから解散しないっていう願掛けみたいなことなんです。「あるくとーふ」だと6文字で割り切れちゃうので、「ーー」を2本にすることで7文字にして割り切れないようにしました。
──なるほど! 素数とか考えるところが深い。この5人で続けていこうという気持ちが込められているわけですね。
利佳子 : そうです。でも、結成した当初は、こんなに続いているとは予想もしていなくて。高校3年間を楽しくみんなで過ごせたらいいなという気持ちでした。
