岸田教団&THE明星ロケッツが、不穏な世界をぶち壊す!──バンド史上最強に凶暴な痛快作、完成

独自のロック・サウンドで異彩を放ち続ける岸田教団&THE明星ロケッツ。2024年5月4日開催の〈岸田教団春のワンマンライブ2024 〜皆の意見を聞こうと思う〜〉を無事成功させた彼らは、5年半ぶりのオリジナルアルバム『BERSERKERS』をリリース。今回は、リーダーの岸田とヴォーカルのichigoに、最新アルバムの全コンセプトや収録曲について、そこに込めた思いや制作裏話を語ってもらった。アグレッシヴな仕上がりになった本作をぜひ心ゆくまで堪能ください!
超アグレッシヴなロック・アルバム!!
昨年のツアーのライヴ音源!!
INTERVIEW : 岸田、ichigo(岸田教団&THE明星ロケッツ)
岸田教団&THE明星ロケッツの“エイトビート・バーサーカー”をはじめて聴いたとき、身体中に衝撃が走った。楽曲自体は、8ビートを主体としたとにかくシンプルなサウンドだ。目まぐるしく展開が変わったり、奇をてらったものではない。しかし、この曲の持つ、とてつもなく大きなエネルギーが全身を駆け巡ったのである。そして、これが「岸田教団&THE明星ロケッツ」の強さだよなと思った。最新アルバム『BERSERKERS』は、この“エイトビート・バーサーカー”をはじめ、とにかくBPMが速く、アグレッシヴなサウンドが全開の作品である。さらにそれでいて、最後まで聴き終わったあとは、すっきりとした爽快感もある。聴けば間違いなくライヴに行きたくなる今作を、ぜひ存分に味わってほしい。
インタヴュー&文 : 西田健
できる限り頭良さそうに見えない言葉を選びました
——2024年5月4日に〈岸田教団春のワンマンライブ2024 〜皆の意見を聞こうと思う〜〉が〈新宿BLAZE〉にて開催されました。今回のライヴはどうでしたか?
岸田:みんなにアンケートを取って何をやってほしいか聞いちゃったので、普段やらない曲ばっかりになってしまってとにかく大変でした。
ichigo:大変だったね。
岸田:でもライヴの内容としては、バンドの状態がいちばん良かった頃の盛り上がりに近かったので、いろんなものから解き放たれたのかなと。ここ最近はあんまり手応えがなかったんですけど、昔の自分たちのライヴで掴んだ感覚と完全に同じでした。
ichigo:やっと帰ってきたぜって気持ちになりましたね。今回は「皆の意見を聞こうと思う」というテーマだったので、セトリにおもてなし要素が多かったんですけど、それも最近は動員が伸び悩んでいたり、盛り上がりに欠けていたりしていた感触があったので、「お前らは何してほしいんだよ! 」って思って開催しました。
岸田:でもやってみたら、アンケートと盛り上がりの相関はあまり感じなかった(笑)。
ichigo:まあ結果的にはそうなのかな。でも手応えはメンバー全員が感じていて、ライヴ終わった後もみんなテンション高かったよね。
岸田:まあ俺たちは元々こういうライヴができていたんですよ。逆にできていなかったときはイラついていましたよ(笑)。
ichigo:鬱屈してたものがここで昇華されたんだよね。

——なるほど(笑)。ここのところ岸田教団は、セットリストのアンケートを実施したり、ファンサービスのようなものを積極的に行っている印象があります。
岸田:あんまりいつもと変わらないつもりですね。ファンサというより悪ふざけという解釈です。
ichigo:悪ふざけです(笑)。喜ばれなかったらしょうがない、喜ばれたらまあラッキーくらいの。あとはうちわにしようが、等身大パネルにしようが、岸田さんの顔はどう使ってもいいと思っている節がある(笑)。
岸田:ichigoさんも使われているから、俺も何にも言えないんだよ(笑)。俺もichigoさんもフリー素材になってる。絶妙に気の抜けた顔が使われてるし。
ichigo:我々およびスタッフの感覚としては、うちらが嫌がれば嫌がるほどお客さんが喜ぶと思っているので。だからスタッフとか他のメンバーが嫌なことを言ってきたら、一旦受け入れることにしてます(笑)。
岸田:お守りもよくわからないけど、いっぱい売れたもんなあ。白黒の縁起の悪そうなもの買うなよって(笑)。しかもあれ、増産希望の声があるんだよね。
ichigo:ええ。何のご利益もないのに。
岸田:これがファンサって言うのならば、昔からファンサをものすごく頑張っているともいえるよね。
ichigo:私たちが嫌なことでもお客さんが喜ぶならやってるもんね。

——「逆襲ちゃん」というキャラクターが生まれたり、昨年開催したツアーも〈岸田教団のぎゃくしゅう2023〉というタイトルになっています。岸田教団&THE明星ロケッツの中で、「逆襲」というものは、ある種テーマになっているんですか?
ichigo:ここ数年はコロナ禍もあって我慢させられてきたことや、つまらないことをどうにか跳ね返していきたい気持ちでやってきたんですよ。でも今回はただ逆襲ちゃんが可愛いからグッズにしただけですね。
岸田:はい。逆襲ちゃんに関しては特に意味はないです。
ichigo:逆襲ちゃん自体が可愛いだけですね。
岸田:アルバムのタイトルが『BERSERKERS』になったのも、歌詞の勢いなんですよ。そもそもの始まりがはやぴ〜さん(Gt.)と、音楽用語と何かをくっつけると文学性があるバンドっぽくなるよねって話していて。「メトロノーム〜」とか。そこから、音楽用語の後ろについてるけど絶対そういう雰囲気っぽくならない言葉を探そうってなって。元々歌詞の中で「8ビート」と言う言葉があったんで、その後ろについてできるだけ文学性が下がる単語を探していたら結果、“エイトビートバーサーカー”という曲が生まれたんですよ。アルバムのタイトルもそのまま「BERSERKERS」になりました。
ichigo:文学性は、ちゃんと下がってるね。
岸田:驚くほどに、エモさとか文学性や知性が消し飛ばされていて。
ichigo:絶対エモく思われたくなかったんだよね。
岸田:まずいじゃん。俺たちは、前髪で隠れてないし、ちょっとエロい歌詞とかでエモくならないから。令和のバンドっぽくないんですけど、タイトルが決まったらああいう感じに仕上がりました。

——アルバムタイトルの『BERSERKERS』は、そういうことだったんですね。
岸田:できる限り頭良さそうに見えない言葉を選びました。
ichigo:見えないよ!
岸田:そもそも見えないからね。BPM180以下の曲がほとんどなくてずっと8ビート叩いてるバンドは、どう転んでも頭良さそうには見えないよ。
——『BERSERKERS』はタイトルの通り、かなりアグレッシヴな仕上がりとなっています。BPMの話も出ましたけど、全体的に速い曲が多いですよね。
ichigo:速いですね。歳取ったら下がるかと思っていましたけど、年々速いですし、高い声で歌ってる。
——アルバム全体を通したテーマはありますか?
ichigo:「Reboot」では岸田のライティングがアルバムの肝というか主軸だったんですけど、今回はプレイが主軸なのかなと思います。メンバーの得意なことを詰め込んだり追い込んだりして作ったアルバムですね。
