【REVIEW】”人は誰しもが特別”な存在意義を7曲に込めて──NOISEMAKER、ミニ・アルバムをリリース

北海道在住、オルタナティブ・ロックの先駆者、NOISEMAKER。1月23日に最新ミニ・アルバム『RARA』がリリースされた。ファンや自分たちに向けてのメッセージをアルバム・タイトルにつけたという彼らの表現方法の多彩さ、そして音楽性についてを紐解いた。
REVIEW : 最高にキャッチーで、且つ懐の深いアルバム
“渋谷に制作費1000万円以上!? の巨壁ジャケットが登場!”
2018年11月末、こんなニュースを目にした人も多いのではないだろうか。街中で見かけた仰天ビジュアルを写真に収めてSNSに投稿した人も多かったと思う。これは、NOISEMAKERが1月23日に発売する最新ミニ・アルバム『RARA』のジャケットを、渋谷の一等地、桜丘の路地裏にある12mの巨大な壁にペインティングする、というプロジェクトから生まれたもの。フランス出身のストリートアーティスト 「WK Interact」が描いたド迫力なアートは、ちょっとやそっとのことじゃ驚かない渋谷ウォーカーたちも度肝を抜かれたはず。

ネット上で拡散された話題からバンドの存在を知って楽曲を聴いてみる、という流れは現代ならではの音楽との出会いだ。そして、きっとこの話題でNOISEMAKERのことを知った人たちも多いはず。かく言う筆者も、以前ライヴを観たことがあったものの、メンバーのAG(Vo)とHIDE(Gt)が「DOTS COLLECTIVE」というアート・プロジェクトとして活動しており、「アートと音楽の融合」を意識した作品作りを標ぼうしているバンドであることを改めて知ったというのが正直言ったところだ。
2003年に北海道札幌で結成、2009年にインディーズから1stアルバムをリリースしており、すでに10年を超えるキャリアを持っている彼ら。ラウドロック・シーンを牽引してきたバンドのひとつとの紹介も目にするが、ライヴを観た時に感じたのは、キャッチーなメロディ、意外なほどの親しみやすさ。バンドが1点に向かって音を奏でる結束力の強い演奏は、澄み切った爽快感すら感じさせるものだった。最新作『RARA』を聴いて、さらにそんな印象を強くした。
オープニングSE 「RARA AVIS」、コーラスから始まる「NAME」、映画のフィルムが回るような効果音と語りの導入から、シンガロング必至のサビが熱い「THIS IS ME」へ。ドラマティックに聴かせる冒頭3曲で一気に火をつけた後に、ショートディレイのギターリフが心地よくダンサブルな「To Live Is」でちょっと抜け感を作るあたり、なんて心憎い展開なんだろう。そしてここでもまた、サビに差し掛かったら一緒に口ずさもうとしている自分がいる(特に2番のスネアの連打からタメの聴いたサビへの入り方は痺れる)。ギターのリフレインに乗ったカタルシスのある旋律にどうしてもU2を連想してしまうのは、おっさんなのでお許しください。「Dharma Light」では、グッとテンポを落として音色もヘヴィに、「One Day」ではR&Bのトラックをバンドで演奏しているような淡々とした前半と後半に押し寄せるトライバルな怒涛のリズム・セクションの対比が面白い。こんなところにバンドの引き出しの多さを感じることができる。ラストに歌われる爽快なロック・チューン「YayYayYayYayYayYayYayYay」まで、あっという間の全7曲。『RARA』というアルバム・タイトルは、稀な、特別な(人・もの)という意味を持つラテン語「rara avis 」を元にしており、ファンや自分たちに向けて、「人は誰しもが特別な人」というメッセージを込めたものだという。そんな思いが込められているからこそ、それぞれの楽曲から発せられるエネルギーが聴く者の心を揺さぶるのだろう。ジャンルも言語のボーダーも越えて、幅広いリスナーの喜怒哀楽を受け止めてくれそうな、最高にキャッチーで、且つ懐の深いアルバムだ。 (Text by 岡本貴之)
LIVE SCHEDULE
NOISEMAKER presents RARA TOUR
2019年2月10日(日)千葉県 千葉LOOK
2019年2月15日(金)石川県 vanvanV4
2019年2月17日(日)北海道 BESSIE HALL
2019年2月18日(月)北海道 苫小牧ELLCUBE
2019年2月20日(水)宮城県 enn 2nd
2019年2月23日(土)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
2019年2月24日(日)愛知県 APOLLO BASE
2019年3月2日(土)福岡県 Queblick
2019年3月3日(日)香川県 高松TOONICE
2019年3月8日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2019年3月9日(土)静岡県 Sunash
2019年3月10日(日)京都府 KYOTO MUSE
2019年3月16日(土)大阪府 心斎橋CLUB DROP
2019年3月17日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2019年3月24日(日)東京都 TSUTAYA O-EAST
PROFILE
NOISEMAKER
札幌にて結成。
AG(Vo)、HIDE(Gt)、YU-KI(Ba)、UTA(Dr)からなる4人組オルタナティブロックバンド。
パンク、ロックに留まらず、HIPHOPやR&B、グランジ、オルタナなど様々なジャンルをクロスオーバーした自由度の高いサウンドに支持を集める。
またISSUESやENTER SHIKARIのJAPAN TOURをはじめとした国内外のビックネームと共演など、ライブ・パフォーマンスへの評価が非常に高い。
2015年3月にメジャー移籍し、その後のリリースツアーでは各地SOLD OUT公演も続出。
ROCK IN JAPAN FESやSUMMER SONIC、OZZFEST JAPAN、COUNTDOWN JAPANなど、全国各地のフェス会場をはじめとした大型フェスにも出演。その後、シンガポール、台湾などのフェスにも出演、海外からも大反響を得る。近年では初のワンマンツアー【NOISE MANIA】を開催し、大盛況に終えた。2017『RED APHELION (レッド アフェリオン)』をリリースし、【RED APHELION TOUR】が開催される。2018年1月27日IQUIDROOMで行われたRED APHELION TOUR FINAL ONE MANではソールドアウトし、大成功を収めた。
同年5月20日にNOISEMAKERの故郷、北海道(札幌)にてKITAKAZE ROCK FES.開催決定
北海道を代表する大きなフェスにしたいという思いを込め開催を決意した
HP : http://noise-maker.net/home/