楽しい思い出がいっぱいある、絶対忘れられない10年
——なるほど。先日リリースされた“幽霊部員”もレコーディング自体は結構前なんですか?
小島:2019年です(笑)。
紗倉:4年前だ! ライヴでは披露していたので、感覚としてはもうリリースしてた感じがする(笑)。
——ということは、コロナ禍に入る前から、楽曲自体はあったんですね。“幽霊部員”は、作詞をYUI(バクバクドキン)さん、作曲は The Anticipation ILLICIT TSUBOIさんとYUI(バクバクドキン)さんの共作です。
小島:“幽霊部員”はイントロと曲が始まってからの感じが違って、とても好きですね。歌詞も可愛い感じなんですけど、好きな人の一番ではないもどかしさなんかを表現した歌詞だと認識していて。おとといフライデーは可愛いだけじゃなくて、いろんな一面が見える曲が多いんです。
紗倉:たしかに私の好きな“私ほとんどスカイフィッシュ”も、少し突き放すような歌詞ですね。だから人間讃歌もあるけど、ツンとした雰囲気の曲もあって、歌っていると気持ちいいよね。
小島:人間って可愛い部分だけじゃない。そういう部分もしっかり表しているのがおとフラだなと思います。歌っているときやMV撮影でも笑顔の場面があんまりないんですよね。それもおとフラの魅力かなと。
——笑顔があまりないのは意図的だったんですね。
紗倉:「大好き」「愛している」みたいな愛情表現が歌詞にあまりないので、曲の表情を作るとなるとたしかに冷めたようになりますね。
小島:“ENIGMA”とかは特にそうですね。

——“ENIGMA”はHave a Nice Day!のカラーがすごく出ていてかっこいい曲ですよね。
紗倉:“ENIGMA”はやっぱり衝撃的でしたね。私はもともとHave a Nice Day! の浅見(北斗)さんのファンだったんですよ。楽曲提供をしていただくことが決まってすごく嬉しかったですね。それに“ENIGMA”に至るまで、振り付けに激しい動きがなかったんです。“ENIGMA”には浅見さんイズムが乗っている曲なので、浅見さんがライヴでやるようなステップをやるようになりました。あと“もしやこいつはロマンチックのしっぽ”も好きですね。
小島:“もしやこいつはロマンチックのしっぽ”では、ラップにも挑戦したんですけど、どこで息継ぎをすればいいのかわからなくて… (笑)。でもスタッフさんに「小島はリズム感がすごくいい」と褒められるので頑張りました。
——甘やかされている (笑)。小島さんは印象に残っている曲はありますか?
小島:“私ほとんどスカイフィッシュ”は最初、不思議な曲で、な、な、なんだこれはー!!??って思いました。聴けば聴くほどいい曲で衝撃的でしたね。
——“私ほとんどスカイフィッシュ”はトリプルファイヤーが手掛けています。
小島:作詞してくださったトリプルファイヤーの吉田さんは「おとといフライデー」の名付け親でもあるんです。鳥居さんと吉田さんはMVにも出演していただいたし。すごく協力的だったのがびっくり仰天です。
紗倉:私、トリプルファイヤーさんの“次やったら殴る”が好きだったんですよ。だから全然違うテイストの曲がきたので衝撃を受けました。

——そして、おとといフライデーは、12月29日のワンマンライヴで、3月9日のラストライブをもって活動終了を発表しました。なぜ、きちんと完結することを決めたんでしょう。
紗倉:もともと「アルバムを作ったら一区切りだよね」という話はしていたんです。目指していたものを達成し、話し合いをしていくなかで、決まりました。
小島:むしろ10年続いているのが奇跡なので、ここで集大成として一区切りつけようかなと。ここでアルバムを出して終わった方がきれいだし。ファンの方も納得してもらえるんじゃないのかなということになったんです。
——なるほど。
紗倉:私たちなりにやってきたものを、宝物みたいな形で残すのにはこのタイミングなんじゃないかなと。
小島:「おとといフライデー」という名前は、「一昨日が金曜日」なので、つまりいまは「日曜日」なわけですよ。その由来には、「月曜日が始まるまでの、キラキラした週末」という意味があって。ユニットとしてキラキラした部分もあるけど、ずっと続かない儚さも込められているんです。そういう由来のユニットなので、10年間というキラキラした週末を終えて、私たちも月曜日を迎えるときが来たのかなと。
——なるほど…… すごく詩的ですし、納得もしました……。最後の質問になりますが、おふたりにとって、「おとといフライデー」はどういうものだったんでしょうか?
小島:キラキラできる場所であり、等身大の自分より、少し背伸びをする場所でしたね。普段の自分はニコニコしているけど、おとフラでは澄まして歌っているみたいな。しかもそれが1人ではなくて、まなちゃんという心強い相手もいて。ふたりで協力して作ってきたものなので、自分にとって新しい世界を見せてくれた場所だなと思いますね。
紗倉:私たちの本職であるAV女優では見えなかった景色を見させてもらった場でした。自分の好きなアーティストさんに自分が歌う楽曲を作ってもらえるのはすごく特殊な環境でしたね。なんとかこの素晴らしい曲たちをみんなに伝える大使の役割をしたいという気持ちが強かったです。歌唱力ももっとよければよかったし、ダンスももっとキレがあればよかった。でも私たちができる最大限のスペシャルな伝え方ができたなと思いますね。スタッフさんにも感謝ですね。
小島:たくさんの方々に支えて頂き、やっと完成したアルバムは私たちにとって集大成であり宝物です。
紗倉:これは親戚に配れますからね(笑)。みなさんに届けるのが楽しみです。楽しい思い出がいっぱいある、絶対忘れられない10年でした。

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LIVE INFORMATION
〈おとといフライデー ラストライブ 2016-2024〉
2024年3月9日(土)15時開場/16時開演
代官山UNIT
https://www.otmfotmf.com/posts/50973508
ディスコグラフィー
PROFILE:おとといフライデー
幅広いフィールドで活動する国民的セクシーアイドル、「小島みなみ」「紗倉まな」の音楽ユニット。
命名はバンド「トリプルファイヤー」の吉田靖直。2016年(旧ユニット名「乙女フラペチーノ」時)より音楽性を重視した活動を開始し、オリジナル楽曲による実質的1stシングル「私ほとんどスカイフィッシュ/乙女の炎上」をリリース。
2017年3月に「おとといフライデー」に改称し、同年10月に改称後第一弾シングル「もしやこいつはロマンチックのしっぽ/いいビーサン」をリリース」した。「ちょっと前衛的」をコンセプトにカルチャー濃度の高いサウンド、パフォーマンスを展開。アイドルファンのみならず幅広い音楽ファンから高い評価を受ける
【公式HP】https://www.otmfotmf.com
【X】https://twitter.com/otome_f