鈴木このみ、「リゼロ」楽曲と共に歩んだ道を語る──絆の糸を手繰り寄せるように紡いだ、未来への可能性

シンガー、鈴木このみがTVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」(通称:リゼロ)3rd seasonのOPテーマ “Reweave”をリリースした。鈴木が「リゼロ」のOP主題歌を担当するのは、1st seasonの“Redo”、 2nd season “Realize”に続いて3回目。彼女にとって「リゼロ」という作品はどういうものになっているのか。そしてアニソン・シンガーとして重要なポジションを担うようになってきた、いまの現在地について語ってもらいました。
「リゼロ」3rd seasonのOPテーマ
『Re:ゼロから始める異世界生活』とは?
2012年4月より小説投稿サイト「小説家になろう」にて掲載された長月達平による長編小説を原作としたアニメ。『Re:ゼロから始める異世界生活』は、2016年よりTVアニメ1st seasonが放送され、2020年には2nd seasonがスタート。小説やアニメに止まらず、ゲーム、漫画など多方面から親しまれている人気作品。コンビニからの帰り道に突然異世界へと召喚されてしまった主人公の少年ナツキ スバルが、「死に戻りの力」(タイムリープ能力)を駆使しながら、異世界で出会ったヒロイン、エミリアのために最悪の運命に抗うダーク・ファンタジー・ストーリー。
『Re:ゼロから始める異世界生活』3rd season ストーリー
TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』3rd season メインPVTVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』3rd season メインPV
襲い来るエルザたちの猛攻を退け、大兎との戦いでベアトリスとの契約を果たした「聖域」の解放から1年が過ぎた。
王選に臨むエミリア陣営は一致団結、充実した日々を送っていたナツキ・スバルだったが、平穏は使者によって届けられた一枚の書状によって終わりを告げる。
それは王選候補者の一人、アナスタシアがエミリアへ宛てたルグニカの五大都市に数えられる水門都市プリステラへの招待状だった。
招待を受け、プリステラへ向かうスバルたち一行を待っていたのは様々な再会。
一つは意外な、一つは意図せぬ、そして一つは来るべき。水面下で蠢く悪意の胎動と降りかかる未曾有の危機。
少年は再び過酷な運命に立ち向かう。
INTERVIEW : 鈴木このみ

鈴木このみの進化がとにかくすごい。技術面はもちろんのこと、ヴォーカリストとしての佇まいも含め、その歌声には魂を震わせる力がある。「リゼロ」3rd seasonのOPテーマとしてリリースされた最新シングル“Reweave”は、糸をテーマに絆を表現した楽曲だ。今作からは、鈴木このみのアーティストとして「攻めて行く」というアティチュードを感じることができる。いまのアニソンシーンにおいて、重要なポジションを担い始めた鈴木このみ。その存在はこれからさらに大きくなっているはずだ。
インタヴュー&文 : 西田健
写真 : 星野耕作
仲間たちとの縦に横に絡まっている絆を表現しました
──この1年かなりライヴやイベントでかなり大活躍でしたね。
鈴木 : そうですね。最近はShe is Legend(スマートフォンゲーム「ヘブンバーンズレッド」において誕生した、鈴木このみとXAIによるユニット)としての活動もあるので、ライヴをたくさんやらせていただいた感覚はありますね。そのおかげで、すごく充実していました。私はやっぱり歌が好きなんですよね。目の前にやることがあると、自分も気合が入るので、張りのある感じで過ごさせてもらってます。でも忙しいばかりではなくてリフレッシュもしています。最近はスイミングスクールに通ったりして、いいバランスでやらせてもらってます。
──おお。スイミングスクールに!
鈴木 : 今年の7月から行き始めたんです。ボーカルとしての「肺活量を上げるために泳ぐようにしました!」とか言いたいんですけど、単純に楽しくやってるだけですね(笑)。最近旅行をするのが好きになって、この前お世話になっているチームの皆さんと、セブ島に行ってきたんです。そこで華麗なクロールを泳ぎたいなと思ってスイミングに(笑)。
──セブ島! 海外といえば、今年も鈴木さんはアジアツアーを開催されていましたよね。
鈴木 : アジアツアーは毎年大事にやらせてもらっているんですけど、今年がいちばん盛り上がったんじゃないかと思います。それがすごく嬉しかったですし、自分もその盛り上がりに応えたい思いがたくさんありました。ありがたいことに動員数も今まででいちばん多かったですし、すごく報われたような気持ちがして嬉しかったです。
──海外での反応はどうですか?
鈴木 : あんなに日本語で一緒に歌ってくれる人がいるのは、アニソン特有のものだと思うんですよ。日本をリスペクトして、同じように盛り上がってくれるような感覚があるんですけど、「来てくれてありがとう」という気持ちを感じますね。ライヴによってはファンのみんながサプライズを準備してくれてたりするんです。今年はみんなで「頑張れ」っていうハチマキを持ってきてくれたり。あとは、どの曲がきても一緒に歌ってくれますね。
──鈴木さんの歌はかなり難易度が高いから、ライヴで一緒に歌うのも難しそうな気がしますよ。
鈴木 : そうですよね。結構ハードな曲が多いし、お客さんみんなが試されてる感じがあります。アジアツアーに限らず、セットリストは攻めの姿勢なので、お客さんも一緒にマッスルを鍛えていけるかなと。鈴木このみのライヴはもう体育会系のライヴですね(笑)。
──そして、新たにTVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」3rd seasonのOPテーマ “Reweave”がリリースされました。今作は鈴木さんにとってどのような楽曲になりましたか?
鈴木 : 曲をもらってすぐに、「これは私の次の代表曲になりそうだな」という確信がありました。例えて言うなら、「鈴木このみ専用のスーツ」をもらった感じ。体がどこもフィットする感覚があって、自分にぴったりな楽曲をいただいた感覚ですね。レコーディングも苦戦することなく、手応えを感じながら歌うことができました。
──今作はMYTH & ROID としても活動している、Tom-H@ckさんが作編曲を担当しています。
鈴木 : Tomさんとは日頃から会社のことだったり、いろんなお話をさせてもらっているんです。1年くらい前、急に夜中に、Tomさんに「いろんなことが決まってはいるけど、本当に自分にそれが務まるのか、正直すごく不安です」って電話した記憶があって。そのときTomさんは「きっといつか、その気持ちはなくなっていると思いますよ」みたいなことを言ってくださったんです。そしてその後、こういう力強い楽曲をいただいたので「Tomさんはこうやって、曲でアンサーを出してくださったんだな」と感じました。
──作詞は、烏屋茶房さんが担当しています。この歌詞を読んだ時に、主人公スバルくんの心情っぽいなって思ったんですよね。
鈴木 : 今回の「リゼロ」3rd seasonは、敵キャラもすごく増えるし、これまでより強大な敵に立ち向かわなくちゃいけないんですよ。でもスバルたちもこれまでの経験を通して、すごく強くなってきているし、自らの意志で戦う物語が繰り広げられるんです。この“Reweave”の歌詞には、「自分から行くぜ」という攻めの気持ちがすごく出ています。実は私も「鈴木このみ、この秋から攻めていきたい」なんていう風に、計画を立てていて。そういう自分の今の心境ともぴったり合っているなと思いました。
──今回の歌詞は「確かに縒(よ)れた足取り 一縷の希望 縋(すが)るように綻(ほころ)びかけ」と、糸編の漢字がたくさん出てきますよね。
鈴木 : 今回は「糸」がテーマになっています。それは絆の糸だったり運命の糸だったり、いろんな意味が込められています。そして、その糸を手繰り寄せて未来を紡いでいくというテーマで歌わせてもらいました。「リゼロ」3rd seasonは、総力を上げて戦う物語ですし、今まで出会ってきた仲間たちとの縦に横に絡まっている絆を表現しました。
