【第三期BiS 連載vol.34】BiSの歴史を終わらせたくない──イトー・ムセンシティ部が決めた、逆転への覚悟

2022/11/18 12:00

マイナスな時期があったからこそ、これからは全部プラスに

──BiSは現在〈ROAD of EVOLUTiONS TOUR〉で全国各地を回っていますが、ライヴはどうですか?

ティ部 : 地方を細かく回っているんですけど、研究員が「いまBiSを観なきゃいけないな」って思ってきてくれるんですよ。それはすごく嬉しいですね。私たち以上に研究員のほうが「モンちゃんいなくなっちゃったけど大丈夫?」みたいな気持ちを持っていたと思うんです。でも、なにくわぬ顔で必死に想いを伝えていくことを、とにかく大事にしています。いまツアーを回っていて、「研究員はどんな顔をしてるんだろう」という不安は一切ないです。ツアーを通して、気持ちを切り替えられるようになってきました。ちゃんとお客さんの気持ちに応えていきたいです。

──ライヴももとの感覚でやれているんですね。

ティ部 : そうですね。ツアーを回っていて、やっぱりBiSの曲が好きだなって思っています。なにを歌っていても、そう思うんですよ。今回のセットリストは、あんまり最近入れてなかった曲がかなり多くて、自分たちにとっても刺激になっています。

──なるほど。いま、BiSにとって課題だと思う部分はどこだと思いますか?

ティ部 : 自分が突き抜けようっていう気持ちですね。それを個々がもっと持つことができたら、BiSは変わるのかなと思います。というか、変わらなきゃいけない。「これをやればいいよ」ってもらったものばかりやってきてたので、自分からどうすればいいのか選択するのがみんな下手なんですよね。でも、最近は楽しいと思うことが増えているんです。辛いこともあったけど、そういう辛い気持ちは全部捨てようと思っています。メンバーはなんだかんだBiSが大好きなので、それは本当に強い力になっています。

──これからのBiSにとって、キーパーソンは誰だと思っていますか?

ティ部 : 私にとってはいまナノ3がいちばんハッとさせられる存在ですね。苦しい状況のなかでも、「なんでこんなにできるんだろう」って思えるくらい頑張っているんですよ。その姿を見て、力をもらっています。振り返って考えると、自分が1年目のときも当時はひたすら前を向いて走っていたと思うんです。もしかしたら、ナノ3もいま目まぐるしい日々のなかで、ただ走るしかない状況にいるのかもしれないです。ナノ3が初心を忘れずに居続けてくれるので、自分たちも初心でいられるのでいろんな面で支えられてます。

──ティ部さんは、いまの状況をどのように感じていますか。

ティ部 : 本当だったら、私がナノ3やヒューガーの前を走らなきゃいけないんですけど、いまはうまく走れてないと思います。実は〈MONSTER baSH2022〉のステージ上で倒れてしまって、そのことを思い出すときがあったんです。原因がなにかわからないんですけど、倒れてしまったときの、「もう人生終わったわ…」みたいな感覚が体にしばらく染みついてしまったんです。そういうのと戦い続けてたら、1回ゴーンと気持ちが落ちてしまって…。でも、ネオにそれを伝えたら、「そんなので気にしてたら今後大きいステージに立てないよ。これからBiSが立っていくところは、そういう場所なんだよ」って言われて、気持ちを切り替えることができました。それから、ツアーを回りはじめて、実際に研究員に会ったのが大きかったですね。私たちは、この人たちのためにも、ステージに立ち続けなきゃいけないんだっていう気持ちにさせてもらいました。

──まだまだぶち壊さないといけない壁が多いですね。でも、BiSというグループは、初期も2期もそうだったように、困難から這い上がろうともがき続けてきた歴史がありますよね。

ティ部 : BiSの歴史をここで終わらせたくないです。ステージをずっと用意し続けてもらってることにまずは感謝して、それが当り前じゃないと心に刻んで必死に頑張りたいです。

──これからBiSとして逆転できそうですか?

ティ部 : もちろんいけます。マイナスな時期があったからこそ、これからは全部プラスにしていきたいです。