野音を大切な場所にするんだぞ
——前回の〈But I Love You TOUR〉と違った部分はありますか?
モグ:フリーライヴツアーでは、野音のチケットを買ってくださっている人がいるという時点で、ならず者やライヴとの向き合い方が違ったのかなと思います。〈But I Love You TOUR〉でも野音は意識していましたけど、「野音を埋めたい」という思いをちゃんと口にしたのは、このツアーがはじめてでした。ならず者も「埋めたいって言ってくれて嬉しかった」と思ってくれたみたいで、想いを素直に口に出すのって大切なんだなと実感しました。
——ならず者の存在については、どう感じていますか?
モグ:このツアーをどうにか乗り切って、野音も完売できたのはならず者という存在があったからだと思います。手売りのチケットを買ってくれた方も多かったですし、ライヴだけではなくて、その前後もならず者といられたのはありがたかったですね。ならず者が楽しんでくれるので、私たちも盛り上げるのが楽しかったです。
——完売したときはどんな気持ちでしたか?
モグ:心底嬉しかったです。ならず者が野音を埋めたいという気持ちに応えてくれて、その関係性が本当によかったですね。
——2023年12月23日に、日比谷野外音楽堂でのワンマンライブ〈But I Love You TOUR FiNAL -I can fly!!!!!!-〉が開催されました。野音自体は2回目ですが、満員での公演はいかがでしたか?
モグ:前回の野音は、BiSHさんが立っていた伝説の場所ということもあって、夢心地でもあったんです。今回は「野音を大切な場所にするんだぞ」という強い思いがありました。自分も心の持ちようも堂々としていたからなのか、ちゃんと遠くまで見渡せました。こんなに広かったんだと思いましたね。ここまでメンバー7人とならず者と一緒に頑張ってきた自信があったので、私はひとりじゃないんだと思えました。
——野音でのパフォーマンスはどうでしたか?
モグ:ならず者の顔をしっかり見ることができました。熱心に聴いてくれる人がいるから、自分も楽しめましたし、歌うのってこんなに楽しいんだって自覚しながらできましたね。
——すごい変化ですね。
モグ:単純に楽曲が増えたので盛り上げ方もメンバーと話すようになったし、セトリも自分たちで組むようになったんですよ。そういうことをすることで気持ちも揃って、ライヴも楽しめるようになったなと思います。
——ロックやパンクの路線から、ダンス・ミュージックの楽曲が入ってきた最初の頃は、ならず者も含めて音楽性に対して違和感があったと思うんです。でも野音のときは、そのバランスが全く気にならなかったです。
モグ:どっちに対しても同じくらい熱量を込められているので、自分たちとしてもあまり隔たりがなくなったんだと思います。ロック調の曲は歌詞もストレートで気持ちが入るんですけど、クラブっぽい曲でも「ここで盛り上がりたい」という思いが、振り付けやメンバーの歌い方に反映されたりしているんです。それに、ならず者がしっかり盛り上がってくれるので、だんだん隔たりがなくなってきたんだと思います。

——野音公演に点数をつけるとしたら、何点ですか?
モグ:50点かな…。メンバー間のまとまりを意識してパフォーマンスできたんですけど、もっとお客さんとの一体感を生み出せたのかなと思います。あの日は、武道館ライヴの発表のインパクトがすごく大きかったので、それに負けないくらいのパフォーマンスをしなきゃいけなかったなと。正直、もっとできたと思いますね。
——どの部分ができなかったんですか。
モグ:満員の野音に満足しないぞ、という気持ちと戦いながらライヴしていたのがよくなかったかもしれないですね。「これが武道館に通用するのか?」ということも考えてしまったし、武道館でのライヴを発表することを考えながらパフォーマンスしていたのも反省です。
——当日は音響トラブルがありましたね。
モグ:トラブルがあると、結構メンバーは引っ張られちゃうんですよ。切り替えられるようになることを課題にしていたんですけど、私の中でも気になってしまった部分はやっぱりありました。でも、それでも盛り上げてくれるならず者がいてくれたのも感じて、そこは嬉しかったです。
——音響トラブル直後のナ前ナ以さんの煽りもすごかったですね。
モグ:ナナシちゃんはMCも彼女なりに考えて、即座に行動に移せる勇気がある人なんですよ。すごく尊敬しています。ナナシちゃんはASPに絶対必要な存在ですね。
