INTERVIEW : ・・・・・・・・・運営チーム

ーー・・・・・・・・・はコンセプトに「ポスト・ポケモンGO! 時代のアイドル」を掲げていらっしゃいますけど、一体どういうグループなんですか?
古村(コンセプト担当) : 大雑把な言い方をするなら、「地上アイドル」はテレビの時代に生まれてきたアイドルで、老若男女に知られているけど距離感があり、コミュニケーションできる存在ではなかったんですよね。それに対して「地下アイドル」はニコニコ動画とかYouTube、Ustreamといった動画文化と、ブログやTwitter、共有可能な写真投稿アプリなどのSNSに適応する形で生まれた、近くに感じられるアイドルだと思うんです。けれど視覚や聴覚を中心としているっていう点では、実は今の地下アイドルもこれまでのテレビ・アイドルと変わらなくて、動画にせよSNSにせよ在宅の人は必ずモニター越しじゃないとアイドルを見ることができない。でも僕たちはモニター抜きでアイドルと遠隔でつながることができるんじゃないかと考えていて。メディア環境の変化に応じてアイドルも変化してきた歴史があって、僕たちも動画サイトとSNS以降の対応すべき情報環境、つまりIoT時代や「ポケモンGO!」=都市の風景を拡張するAR時代の先に行きたいと思っています。言い方が難しいんですけど「今会えるアイドル」じゃなくて「常に纏える(まとえる)アイドル」を作りたいんです。
ーーテレビでも現場でもなく、生活の中にいつでも存在しているアイドルを作りたいと。
都倉(パフォーマンス・経理担当) : よく例えて話すのが、『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくるスタンド(※)なんですよ。
※持ち主の傍に出現して様々な超常的能力を発揮する守護霊のような存在。
古村 : SNSによるコミュニケ―ションが盛んになった一方で、地下アイドル文化では「現場」がある種“至上主義化”したところがあります。地下アイドルが好きな人は現場に行ってステージのパフォーマンスを見て、物販で話をして元気をもらっていた。要するに、主に週末に現場で元気をもらって月曜から仕事を頑張ろうって感じだったんですけど、僕たちが目指すのは月曜から金曜も楽しくするアイドルなんですよ。非日常としてアイドルに会いに行って、つまらない日常を耐えるやる気を充填するんじゃなくて、日常そのものを楽しくしたいんです。
ーーとはいえ動画もSNSも使わずに、どうやってアプローチしていくんでしょう?
古村 : 例えば、僕たちのホームページ(http://dots.tokyo/)には黒い「・」が飛んでいるんですけど、そのなかに浮かんでいるハートをクリックするとスマホがandroidであれば振動するんですね。実はこれ、メンバーのリアルタイムの心拍なんですよ。

ーーえ、リアルタイムなんですか!?
古村 : あらかじめプログラムしたわけでもないし、レコードしたものでもなくて、本当にリアルタイムで動いています。さっきまでメンバーはレッスンをしていたので、その時に見ていたら心拍数が上がっているのがわかったと思います。スマートフォンを手に持ってもらうとまるでスマホ自体が心臓みたいに感じられて、それを自分の身体の固めの部分とかに当ててもらうと身体の中に推しの鼓動が伝わってくる。例えば、これから大事なプレゼンがあるって時に推しの写真を見て勇気を出すってことがあるとしますよね? でもこのスマホは見るものではなく触るためのガジェットです。触覚的に、直で推しの実体が、編集の入らない生そのものがやってくる。なので、そういうシチュエーションでももっと、もしくは別種の、勇気を与えられるんじゃないかなと。
音楽的方針は大きく「エモさ」と「ヤバさ」の2軸で行こうと考えている
ーー確かに、同時間を生きている感覚は強いですよね。ただメンバーの名前は全員「・」で誰が誰かわからないじゃないですか?
古村 : ホームページの黒丸をクリックするといろいろな情報が出てきます。これは、ある質問に対する答えがメンバーごとに出てくる仕組みなんですけど、1回更新するとどの黒丸が誰かわからないし、情報が整理できないけどぼんやりとわかるくらいな感じです。こういうメンバーがいるんだなっていうのがわかるけど、それが誰だとかはわからない。
ーー顔も出ないんでしたっけ?
都倉 : 最初は出さないですね。
ーーそれはすごいですね(笑)。
都倉 : 個性を剥ぎ取ろうと思っているんですよ。ここに出てくる情報もあやふやなものだけをわざと出してたりしています。いま衣装も作っているところなんですけど、目を隠しちゃうようなものを考えていて。中からはある程度見えるので、踊ったりはできるんですけど。

ーー斬新過ぎて戸惑っているんですけど、ライヴはやるんですか?
小林(プロデューサー) : やります。
ーーステージにメンバーが立ってダンスをして歌うっていうこととは何かが違うんですか。
都倉 : 普通にダンスをして歌うってこともやろうと思いますし、曲によってはインスト曲をアート・パフォーマンスに近いような形で織り交ぜつつやろうかなと考えています。
ーー楽曲に関してはどういうコンセプトのもと作られているんでしょう。
みきれちゃん(楽曲担当) : 今のアイドル楽曲って、多極化してやりつくされてると言われてるんですけど、まだまだやられてないことは沢山あると思っていて。例えばシューゲイザー、あるいは80年代アンダーグラウンドパンク的な音楽もやられてないジャンルだと思います。音楽的方針は大きく「エモさ」と「ヤバさ」の2軸で行こうと考えていて、エモさはシューゲイザー的な壮大さ、ヤバさはアンダーグラウンドパンク的な訳の分からなさをイメージしています。例えば、お披露目ライヴではにせんねんもんだいのカヴァーをやろうと思っています。アイドルがカヴァーすればおもしろくなると瞬間的に閃いて。

ーー現在のにせんねんもんだいはミニマルで尺の長い曲が多い印象ですけど、そうしたイメージでしょうか。
みきれちゃん : 最近の曲よりは初期の曲をイメージしています。
ーー聞けば聞くほど、ステージがどうなるか想像がつかないんですけど(笑)。
みきれちゃん : わかりやすく言えば、演劇的な感じになるんじゃないかな。日本のアンダーグラウンド・パンクって奇妙で気持ち悪くて訳のわからないみたいなものだと思うんですね。それをアイドルでやるとおもしろいなと思っていて、その1つの実験がにせんねんもんだいのカヴァーなんですよね。シューゲイザーとアンダーグラウンドパンクを軸にしながらもいろんなジャンルを取り込もうとしていて、直近ではPavament的なヘロヘロインディーロックやM83的な無駄に壮大なエレクトロシューゲイザーなど「まんま」な感じのものも出していこうと思っています。
ーー以前お話を伺ったときは、聴くごとに曲が変化していくってこともおっしゃっていましたよね。
古村 : そこは技術的に可能になったらという条件があるんですけど、こだわりとして、オリジナル、カヴァー、コピーの関係を考え直したいんです。アイドルが中心にいて周囲の大人たちが曲や歌詞、衣装、ハコを与えて成立する形じゃなくて、まず場があって音や服がぷかぷか周りに浮いている。たまたまそこに人が通ると、それらが降りてきて現場が成立するみたいになってほしい。理想的には現場に着いてから衣装ができるみたいなことができたらよくて。音楽もそうで、クラウドにデータを置いていてアクセスする度にそのアクセス行為によって音楽が変わったらおもしろいなって考えています。
ーー先ほどの心拍数みたいな感じで、その瞬間に生まれた音楽が流れてくるみたいなことですか。
古村 : そうですね。あくまでリアルタイムの流れを観測しているのであって、すでに置いてあるものを見に行く形ではないというか。例えていうならば、川に水を汲みに行く感じですね。
【︎次ページ 5/5】今までアイドル界隈で推しを選んでいたのとは違うやり方を提示したい
LIVE INFORMATION
・・・・・・・・・初観測ライヴ
2016年9月4日(日)@原宿ストロボカフェ
時間 : OPEN / START 13:00 / 13:30
料金 : 500円+1D
内容 : ライヴ&物販
PROFILE
・・・・・・・・・
東京で観測される現象。
>>Official HP
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