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INTERVIEW : T.M.P

かっこよさげじゃ通用しない世界がアンダーグラウンド。それを理解し、今大阪でモッシュを起こしまくるバンドがT.M.Pだ。彼らのライブでは皆拳を上げ、モッシュし、楽しそうだ。そうそう、これがライブってものだろう? T.M.Pは、今一番ライブ感のあるやつらなんだ!!! まだみてない人。まじで一度見に行ってみて!!!
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
写真 : コマツトシオ
インディペンデントでやる姿を見て希望を感じた
——どういう経緯でT.M.Pを結成したんですか?
Taochy:元々僕らは同じ大学の軽音部に所属していました。当時は2人とも、十三月(GEZANが主催しているレーベル)やHave a Nice Day!周りの東京アンダーグラウンドシーンにどハマりしていた時期で、部内でモッシュの起こらないようなバンドでモッシュを起こしたりしてて。そうこうするうちに2018年に「新しく何かやろう」ということで結成しました。
——今回のアルバムでも「モッシュ」という言葉はたくさん出てきますよね。
Deewa:元々T.M.Pは「THR MOSH PARTY」の略なんですよ。大きなモッシュが起こるバンドをやるつもりで活動を始めました。
——当時の東京アンダーグラウンドシーンはどう映っていたんですか?
Deewa:〈全感覚祭〉(十三月が主催する野外イベント)を観に行ったりしていたんですけど、観客が心の底から楽しんでいる光景は衝撃的でした。自分たちでも「こういうことをやりたいな」と思いましたね。

Taochy:当時はなぜか自分の中でメジャーに対するアンチテーゼがあって。だからインディペンデントでやる姿を見て希望を感じていました。自分たちでシーンを作っていること自体がドラマチックで美しいなと。この前、NATURE DANGER GANGの復活ライヴを見に行ったんですけど、華がありすぎて(笑)。僕らは彼らの背中を追っている感覚もありつつ、僕たちにしかできないことをやっています。
——本格的に活動を始めてからは、どのように動いていったんですか。
Taochy:まずはスーパーカーみたいなオルタナティヴロックを基準にして、その雰囲気をモッシュにつなげられないかなと思って曲を作っていました。ある時期から、ハイパーポップが流行りはじめて、そのときに「ベッドルームモッシュ」のような概念が自分の中に生まれたんです。
——T.M.Pにとって、ハイパーポップの盛り上がりをどのように感じていたんですか?
Deewa:コロナ禍の閉塞感からの解放をハイパーポップに感じましたね。glaiveやkmoeとかは、僕らがやってきたオルタナティヴな音楽と相性がいいと思います。
Taochy:僕は100 gecsをすごく聴いているんですけど、「綺麗じゃないな」と思うんです。キラキラはしているけど、ゲットーな音楽の印象です。
——最初からDeewaさんがギター、TaochyがMnp(打ち込み音源をオペレートする役割)という今の形態で活動していたんですか?
Taochy:最初は同期音源でバンドをやっていたんです。
Deewa:いまの2人に加えて、ドラムがいたんです。
Taochy:それから今の形態に落ち着きました。いまはVJを入れてライヴしていますけど、そこも転換期だったと思いますね。
——2020年頃からT.M.Pや、所属しているKANG SIGH HYPER CREWが関西の1つのシーンになりつつありますが、どのようにシーンが形成されていったんですか?
Taochy:T.M.Pはある時期から、周りの反応が手応えのあるものになってきました。でもシーンとして土台を作る重要性も感じていたので、宵待というバンドのPushくんと一緒に、「みんなを集めて一つのグループとしてライヴしてみないか」という話になったんです。
——なるほど。KANG SIGH HYPER CREWとT.M.Pでの活動は、どのような違いがあるんですか?
Taochy:比較するとKANG SIGH HYPER CREWは楽しく活動していて、T.M.Pの方はストイックですね。でも片方の活動を経て自分のやりたいことが見えてきたりもしていて。これは遊んでいるだけじゃいけないなと思うようになりました。


