PART3 : ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、テラシマユウカ

GANG PARADEに新しい風を吹き込んだ3人、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、テラシマユウカ。彼女たちが加入したことで、ギャンパレには確実にユーモラスでにぎやかな要素が増えた。しかし元をたどれば、彼女たちは9月1〜3日にかけて行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し不合格だったメンバーで結成されたSiSに所属したものの、お披露目のワンマンライヴ翌日に活動中止という憂き目にあい、なんとしても活動をしたいという思いだけでギャンパレへの加入を手に入れることとなった。そうした不遇の状況のなか這い上がってきた3人が、どのようにギャンパレに溶け込んだのか、そしてどのような努力を重ねたのか、激動の3ヶ月について話を訊いた。
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
寝たら忘れちゃうと思って、ずっと振り付けのことを考えていた
ーーGANG PARADEへの電撃加入発表(GANG PARADEに元SiSメンバー3名加入、お披露目は新宿BLAZEワンマンにて)の翌日、3人で川崎CLUB CITTA(10月7日〈lyrical school 6th Anniversary live event〉)のライヴを観にきていましたけど、かなり緊張していましたよね。いつ頃から溶け込むことができたんでしょう?
ココ・パーティン・ココ(以下、ココ) : たぶん何回か節目ははあると思うんですけど、ワンマンと駅伝(※12月3、4日の2日間に渡り開催された熱海までのギャンパレメンバーの200km駅伝企画)が大きかったと思います。ちょいちょい遠征もあった後にマラソンがあったので、ここ1ヶ月くらいが距離が縮まった期間なんじゃないかな。
ーー電撃加入発表からワンマンまでの1ヶ月間、どれくらいの頻度で練習をしていたんですか?
ココ : Googleカレンダーに青い文字で「深夜練」って入れていたんですけど、カレンダーが真っ青でした。先輩方のリリイベ週とかがあるとき以外、ほぼほぼスタジオに入っていたと思います。
テラシマユウカ(以下、ユウカ) : 全体練習がないのは4人が遠征しているときだけで、遠征のときは3人だけで練習していました。

ーー覚える楽曲も多かったし、練習の時間がいくらあっても足りなかったんじゃないですか。
ココ : あの期間には戻りたくないです。ずっと追われてるみたいな生活で、家に帰っても息つく瞬間がなかった。
ユイ・ガ・ドクソン(以下、ドクソン) : あーーーーーーー! ってなりそうでした。
ーー物を投げるくらいの精神状態だったと(笑)。
ユウカ : 焦っていました。寝たら忘れちゃうと思って、ずっと振り付けのことを考えていたりしていて。
ーーSiSはデビュー・ワンマン翌日に活動休止が発表されましたよね。再びワンマン・ライヴがお披露目というのは、どういう気持ちだったんでしょう。
ドクソン : SiSのときに比べるとやらなきゃいけないことが固まっていて、それを必死にこなすしかない状況やったから、SiSのときより落ち着いてできたと思います。SiSの頃はどうしよう… っていう期間が多かったので。
ーーステージの幕が開いたときはどんな気持ちでしたか?
ユウカ : 頭が真っ白になりました。
ココ : とりあえずSEのあとの1曲目「3rd FLOOR BOYFRIEND」で、どのカウントで移動するかしか考えてなかったです(笑)。私、練習もそうなんですけど、ギャンパレ・メンバーの中で1番リハがうまくできなかったんですよ。お立ち台に乗るタイミングすらわからなくなっていて、いつもできているフォーメーションもできなかったり、後ろの子と被っていたりしてパニくっていたんですよ。本番はリハより上手くいったんですけど、リハでちょっとパニックになっちゃって。その焦りを引きずりながらやってた部分がありました。映像を観るとやばいよね。

ーーココは緊張しなさそうに見えますけど、真逆なんですね。
ユウカ : 練習でも間違えると自分の頭叩いたりしてめっちゃ焦るんですよ。
ーー自分に厳しい?
ココ : いや、パニックになるんです。自分のペースが崩れると「ああああ、どうしよう…」ってなっちゃう。
ーー普段からずっとしゃべっているのは、自分のペースを保とうとしてるのかもしれないですね。
ココ : そうかもしれないですね。
ドクソン : カウンセラーみたいですね(笑)。
ーー(笑)。ユウカは声が特徴的だなというのがわかるステージでしたけど、最初のライヴを振り返ってみていかがでしたか?

ユウカ : 緊張しました。ライヴが終わってからの特典会で声を褒められたりして嬉しかったんですけど、最近(2人から)声のことをバカにされるんですよ! しゃべり方とかもバカにしてくる。(ココとドクソンに向かって)ほんまに嫌やからね!
ココ : そうなんだ、ごめーん。
ユウカ : 結構気にしてるんですよ、昔からしゃべり声とか。
ココ : 私はお世辞抜きで聴いてすぐわかる声って絶対にいいと思う。ライヴで誰々が歌ってるとかわかった方が絶対にいいし、聴いてユユの声だってわかるのはいいことじゃないのかな。実際、この声が武器になっているから落ちサビとかで歌割りが振られているわけだし、決定的な瞬間っていうかいい場面じゃないですか。(ユウカの話し方を真似て)だから全然誇りを持ってほしいなって思いまーす!
ユウカ : ほら! バカにしてるんですよ(笑)!
ーーあははは。
ドクソン : バカにしてるんじゃなくて、真似したくなるんです。私は和声のシャンソン歌手の子みたいって感じてました(笑)。
今は1日くらい会わないと会いたいなって思います(笑)

ーーこの3人は漫才トリオみたいですよね(笑)。いまはこうやって笑っていられますけど、SiSは1回ライヴをしただけで活動休止になってしまったじゃないですか。ギャンパレに入ってからも、次のライヴがあるのかって不安はなかったですか?
ユウカ : 本当に次があるかなってめっちゃ心配でしたね。
ーーそういう心配はあったんですね。
ユウカ : ありましたよ!
ココ : カレンダーに次の予定が入っているのを観て「次のライヴがあるんだ! 次のライヴのことを考えなきゃ」って。当たり前のことなんですけど「おー」ってなりました。
ーー活動が続いていくことが逆に新鮮な感じだったと。
ココ : 新鮮でした! BiSの合宿でも、SiSのワンマンでも、ダンスを覚えて1回だけやって使い捨てみたいな状態だったから、何回も同じ曲で踊ったりする中でいろいろ発見があるなって。
ドクソン : 1回きりと違って課題がどんどん出てきます!

ーー3人は苦楽を共にしてきただけあって、最初から気が合ったんですか?
ココ : 最初はめっちゃ怖かった。苦手っていうか、どう接したらいいかわからなくて。合宿中もあまりしゃべっていなくて、お風呂のときにちょっとしゃべったくらい。あまり接点がなかったというか、チームがバラバラだったし。
ドクソン : 私はSiSの乱入したときもいなかったから、最初どういう距離感で接したらいいかわからなくて。でも今は1日くらい会わないと会いたいなって思います(笑)。
ユウカ : ココは私と性格が真逆すぎる。考え方1つとっても全然違うことを言う。
ドクソン : 私とユウカは関西同士やから似ているんやろな。
ーーギャンパレメンバー7人の中でも、特にこの3人は仲間っていう意識はありますか?
ココ : 特に3人で仲間っていう感じはあまりしていないけど、最初は強かったです。
ーーギャンパレに入ったことで、7人で仲間なんだって気持ちが強くなったわけですね。それは、やっぱり駅伝が大きかったんですかね。
ドクソン : マラソンが大きいですね。
ーー最初、なんで走るの? と思わなかったですか?
ドクソン : いやー、ギャンパレだから走るのかって。
ココ : たぶん年内中に走るだろうなとは思っていました。
ーーココは駅伝で最初遅れをとって涙してましたよね(笑)。
ドクソン : 500mくらい離されてたよな(笑)。
ココ : 気持ちの問題ってあるじゃないですか…。
ユウカ : 言い訳は言わない方がいいと思うで。(ココの)悪いとこ、悪いとこ。
走ってるときお互いのことを気にかけて距離が縮まったのかなって
ーーあははは。もともとギャンパレはストイックで真面目な要素が強かったから、3人のコミカルでユーモア満載な感じとの融合が今ちょうどいいなと思うんですけど、ユーモアに寄りすぎると全く全然別のグループになるなって気持ちもあって。
ココ : そこはバランスですよね。
ーー「よろちんこおねがいします」という挨拶は、確実に3人が入ったことによって産まれた流れですよね(笑)。
ココ : 昔のギャンパレだったらなかったですよね(笑)。

ーーこの3人が入ってよかった点もありつつ、3人の側からもギャンパレのストイックなパフォーマンスに追いつかないといけないのは課題ですよね。
ココ : そうなんですよ。でも、指導者がいるかいないかっていうのはライヴに出ますよね。いままで自給自足でやってきたから指導者が誰もいなくて。そういうところで作り上げてきたものと、長年培ってきてちゃんとわかって作るものでは雲泥の差を感じています。
ーーギャンパレって、今まで周りが見えなくなるくらい目の前のことに一生懸命になってきたグループだから、そこがどうやって合体してくのか注目して見ています。3人はグループ内で言いたいように言ったり、やれたりしていますか?
ドクソン : パフォーマンスはまだまだできていないので、まず基本をできるようなることだけに集中しています。でも、ご飯食べてたりとかライヴ以外の時は全然楽しく普通に接することができてます。
ーー駅伝で走っているときにメンバーと話した内容で、印象に残っている話とかありますか?
ドクソン : ユアちゃんと走ったとき、すでに膝がめっちゃ痛くて。気持ち的には走れるんですけど走り出すと痛くて。私が並走者なんですけど、遅れて走れなくてうわーんと思っていたら、ユアちゃんも膝が痛いけど頑張っているときだったみたいで「わかるよ!」って言ってくれたんですよー。
ーードクソンは「右膝左膝交互に壊れて」みたいに歌ってましたよね(笑)。
ドクソン : それなのに「痛いよね、わかるよ、頑張ってるね」って。そこで距離が縮まった感じがしました。
ユウカ : 走ってるときお互いのことを気にかけていて、並走者がしんどそうだったら歩幅を合わせたりして、そういうところで縮まったのかなっていうのもあります。

ココ : 私はミキちゃんと走ってる時間が1番長かったんですけど、メンバーだったり、スタッフの人だったり、遊び人のみんなだったり、今まで人生の中で関わってきたことがなかった人たちと長い時間ずっと同じことを共有していて。そうすると、ユユが言ってたみたいになんとなく相手のペースとか調子だったりとかそういうのが見えてくるんですよね。そのなかで距離が縮まったのかなと思います。会話もそうなんですけど、同じことをするとズレが出てくるじゃないですか。そこをお互いが埋め合っていくことで、わかったことがたくさんあったかなって。走っていると黙々と考えるじゃないですか? この人はこういう人なんだなって分析をしながら走ったり、自分はこうなんだなとか考えながら走っていました。
ーーマラソンが終わって初めてのライヴで変わったなと思った部分はありました?
ユウカ : まだみんな筋肉痛だったり足の痛みを引きずっていたんですけど、それでも踊り切って。マラソンを観てくれていた人とか、実際一緒に走ってきてくれた人とかも来てくれたので会場の一体感がありました。
環境に実力が追いついていないので早く追いつかないといけない
ーーそんな駅伝を経て、シングル「Plastic 2 Mercy」がリリースされました。SiSで絶望を味わった後のギャンパレ加入、そして初音源化ということで、言葉にできない嬉しさがあるのかなと思うんですけど。
ドクソン : そうですね。不思議ですね。
ユウカ : ライヴもやらせてもらって、衣装もちゃんと作っていただいて。1個1個用意していただけているのがありがたいです。
ーー初めてのシングルが、プラニメ、POP、ギャンパレの代表曲でもある「Plastic 2 Mercy」ということに対してはどんな気持ちですか?
ココ : 7人体制になってから、自分たちの声が入ってるものがまだ世に出てないじゃないですか。ライヴ音源は録り直したんですけど、それ以外、お客さんのところにあるのは昔の時代の音源だったので、代表曲って言われている曲を1番最初に出すっていうのはすごい感慨深くて嬉しい気持ちでしたね。
ドクソン : 「Plastic 2 Mercy」って、プラニメが始まったときの歌じゃないですか。そこから、POP、GANG PARADEと歌い続けて、新たに7人で始まりますって気持ちで私は歌いました。始まる! って思っているのは自分だけかもしれないけど、周りの空気とか、ずっとやっているメンバーもそういう気持ちになれているんじゃないかなと思います。
ユウカ : 私も同じなんですけど、ずっと引き継がれている曲で、プラニメ、POPのときの「Plastic 2 Mercy」も聴いたんですけど、自分が歌っているのとは全然違うので、それを変えてしまっていいのかなっていう気持ちもあったんですけど、ちゃんと自分たち7人の声が入るっていうのは嬉しかったです。
ーー2017年はSiSの映画も公開されますし、なんだかんだ3人の話題が目白押しですね。
3人 : そうなんですよー!
ココ : 私ずっと夢だったんです。自分が生きた証をこの世に形として残したいじゃないですか。残そうと思えば残せるんですけど、こんなに大々的に残せるのってすごくないですか? 映画ですよ!! そしてCDですよ!! さらにライヴとかいろいろできてるんですよ! すごくないですか!? って。
ーーまさかこんなふうになるとは思わなかったですよね。BiSのオーディションで絶望を味わっていて、ものすごい雰囲気を出していましたからね。
ココ : ほんとに千葉の海に身を投げようかと思ったくらいで(苦笑)。
ーーここまで諦めないで3人でなんとかしようとしてきたからこその結果ですね。
ドクソン : いや、周りの全てのみなさんのおかげです。映画もそうですけど、ライヴも毎回やらせてもらったり、CDも出せたり、まだ環境に実力が追いついていないと思っているので、そこに早く追いつかないといけないとと思っております。
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