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INTERVIEW : PEDRO

インタヴュー&文 : 飯田仁一郎
写真 : 大橋祐希
全部生き急いでいるくらいが一番刺激的で楽しい
──ゆーまおさんがサポート・ドラマーとして加入して、新生PEDROの活動も1年以上が経過しました。バンドとしての状態はどうですか?
アユニ:すごく良いですね。最初は手探りな状態だったんです。でもやっていくなかでチームになってきた感じがします。ライヴをやり終わった後に、ゆーまおさん、(田渕)ひさ子さんのおふたりが、その日の状態とか感想をすぐに助言してくださるんですよ。そのお話を聞いて、技術面だけでなく人間としても強くなった気がしますね。
──ゆーまおさんは、PEDROのなかではどんな存在ですか?
アユニ:私とひさ子さんのメンタルの部分を盛り上げてくれる存在ですね。ゆーまおさんのドラムがすごいから、私もひさ子さんも情熱が燃え盛って良いパフォーマンスができるんです。私も「こんな半端な気持ちでやってらんねえ」ってより一層思いますね。
──PEDROは、11月6日に7曲入りのmini AL「意地と光」をリリースします。今作は、アユニさんにとってどんな作品になりましたか。
アユニ:今回の作品は、「私が本当に好きなものってやっぱりこれだったんだな」って思いながら、自分の気持ちとリンクさせて創った感覚がすごくあります。やっぱり私にはPEDROしかないんだ、音楽しかないんだって、再認識した状態での制作でした。
──そう思ったのは何かきっかけが?
アユニ:きっかけというより、だんだんと気づいた感じです。BiSHが解散して自分の時間が増えてから、絵とか本とか映像とかいろんな趣味に没頭してみたんです。でも自分はなににいちばん心がときめくだろうって考えたら、結局それは音楽なんだということに行き着いたんです。自分は大きな声で歌を歌っているときとか、歌詞を書いているときに生き甲斐を感じるんですよ。そしてさらにもっと生き甲斐を感じるのは、ライヴなんだって改めて思いました。
──mini AL「意地と光」のテーマについて教えてください。
アユニ:今回のmini ALは、自分のなかの「意地」と「光」をテーマにしてつくりました。自分は人見知りなのにもかかわらず、どこか承認欲求があるんですよ。それってなんなんだろうって思ったときに、「意地」が自分のなかの情熱に変わってるなって気づいたんです。だから「意地」はやっぱり自分の中に必要不可欠なエネルギーなんです。もうひとつの「光」は、自分のまわりに存在してくれている人の貴重さとか、想い出のきらめきですね。

──アユニさんにとっての「意地」とは何に対するものですか?
アユニ:劣等感ですね。生きていくなかで「こんなんじゃないのに」っていうもどかしさとか、苛立ちとかがずっとあったんです。今作は、もともと一回独り立ちして穏やかに暮らしてみながら作る予定だったんです。でも穏やかな方に振っちゃうと、生きた心地が全くしなくて。自分は歩くスピードも行動するスピードも、全部生き急いでいるくらいが一番刺激的で楽しいんですよ。世界に歯向かって「自分はもっとできる」って意地で燃え盛ってるときのほうが良い曲が創れるなって気づきました。
──今作は3曲入りの「光」、「意地」として、6曲が先行配信されています。楽曲は、「意地」のサイドの曲と「光」サイドの曲を分けて創っていきましたか?
アユニ:もともとは想定していなくて、何曲か創っていくなかで、二面性があることに気づいたんです。そしてサウンドの部分では、「光」の面はわかりやすくキャッチーだったり、「意地」の面はディープだったりと違いはあります。でも改めて歌詞とか見直すと、全部自分のなかには通じているものでもあったんです。別に「光」の曲が前向きな歌かって言うとそうでもなくて。なので自分の中にある「意地と光」を、どの曲にも詰め込んだ作品になりました。
──ジャケット、最高ですね!

アユニ:ジャケットはリンリン(MISATO ANDO)に創ってもらいました。リンリンはBiSHが解散したあと、ひとりでアートの道に進んでいて、それがかっこいいなと思っていたんです。やっぱりずっと一緒にいろんなものを見てきた仲間だから、いつかどこかで一緒にものづくりをしたいなって思っていたので、このタイミングで制作をお願いしました。
──ジャケットには、なにが描かれているのでしょう?
アユニ:リンリンが言うには、パンジーちゃんだったと思います。リンリンが私にいろいろインタビューをしてくれて。その話を元に創ってくれた生物です。
──質感もすごい!
アユニ:この前リンリンのお家に行って、原画を見せていただいたんですけど、すごかったです。粘土っぽいもの、貝殻、石、お花、ガラス、その他にもいろんなものを使っていました。横から見た時に立体物になっていて、びっくりして、鳥肌が立って涙目になりながら見ていましたね。
