血管がぶちぎれるほど叫んで歌いました
──昨年2024年に開催された、〈きのホ。3周年企画 まだ行ったことないところツアー 『さんホ。〜3年経ったポップスターたちはどこまでも〜』〉 では、10月14日の浦和公演を皮切りに12月28日の東京代官山公演まで、約2ヶ月半で17ヶ所のライヴを行いました。かなり長いツアーだったかと思いますが、こちらはいかがでしたか?
御堂莉:やってみたら、結構あっという間でした。あんまりステージでは泣かないように気を付けてたんですけど、ファイナルでは隠し切れないくらい泣いちゃいました。走馬灯みたいに色々思い出してしまって。特に“アンバランス”という曲のこはる(小花衣こはる)のセリフパートでは、踊りながらメンバーに隠れて泣いていました。
御守:私、今までステージで泣いたことがなかったんですけど、山形公演のときに泣いてしまいました。その日は、山形出身のこはるの凱旋ライヴということで、この日を待っていたお客さんが集まってくれていたんです。ライヴ中、“DANGER!”という曲のとき、こはるのメンバーカラーのピンクのペンライトがすごく綺麗だったんです。お客さんの目もきらきらしてて、こんな素敵な光景があるんだなって思いました。
小清水:私も山形公演で泣きました。当日はくるちゃんの誕生日でもあったんです。出会ったころのくるみちゃんは17歳だったから、「今はこんなに大きくなってライヴを立派にやってるんだ」と思うと、なぜか親の気持ちになって泣けてきちゃいましたね(笑)。あとは、ライヴハウスのスタッフの方と一緒に作り上げたことも大切な思い出ですね。「待ってたよ」ってメッセージを書いてくださっていたのも嬉しかったし、ライヴハウスの愛を感じました。
──このツアーで見えてきた課題はありますか?
小清水:ライヴそれぞれで、1本1本の物語を作れるようにしなきゃいけないと気づきました。私たちは17ヶ所同じようにライヴをするけど、来てくれるお客さんはそれぞれの場所でもちろん違うわけじゃないですか。だからこそ、ひとつひとつ大事にライヴをしなきゃいけないって。あと、大きなステージでのライヴにも慣れていきたいです。この前川崎〈CLUB CITTA’〉という大きなライヴハウスでライヴをしたんですけど、ツアーは小さい箱でやることが多かったから、大きいステージで良いパフォーマンスをするのが難しくて。これからきのホ。が大きくなっていくためにも、そこは課題ですね。
──なるほど。2025年2月26日には「秋刀魚 / 新パラドックス」を、そして3月5日には「傾いてる / そして今日」を2曲ずつリリースします。まず“秋刀魚”ですが、どんな曲になりましたか?
御堂莉:曲調がすごい良くて、アニメのエンディングみたいでめちゃくちゃかっこいいです。歌詞も、「百均で変わる暮らしを大事にして / 綺麗な雲を見つけたら喜んで」ってすごく美しい歌詞だなって。
御守:“秋刀魚”の歌詞はかなり好きです。サビの歌詞の「百均で変わる暮らしを大事にして」ってすごくないですか? 私自身結構百均で買い物をするんですよ。一回開けたじゃがりこを閉じるフタとか、ポテチを食べるトングとか、これ絶対使わないだろうっていうアイテムが好きです。そういう夢のある場所、百均というワードを歌詞に入れているのがすごいなと思います。
小清水:実はキーが高すぎてびっくりしました。血管がぶちぎれるほど叫んで歌いました。私、実は魚が苦手で、秋刀魚も苦手なんですよ。だから秋刀魚の姿をよくわかってないんです。
御守:あ、そういえば今年の秋刀魚は本当にちょっと細いんだよ。スーパーで秋刀魚を見たときに、記憶の中の秋刀魚よりすごい細くてびっくりしました。自分がデカくなっただけなのかもしれないけど(笑)。

──“新パラドックス”は、どんな曲になりましたか?
小清水:草原を駆け出したくなるようなサビが最高ですね。レコーディングのときも目がキラキラになりながら歌いました。歌いながら、自分も自信満々になれました。
御守:この曲は、明るい声を出すように意識しました。どんなにしっとりした曲でも「もうちょっと明るく歌ってみようか」って言われるので、この曲は特に頑張りました。
御堂莉:「唯一無二の武器自我を操るよ」の歌詞は、くるちゃんっぽいなと思っていました。私は普段の生活では感情を抑えることが多い分、パフォーマンスでは素の自分をさらけ出したくて。だからここは、くるちゃんに歌わせるために書いたんじゃないかなって。
──歌詞にも、楽曲を手がけたハンサムケンヤさんの色があらわれていますね。
小清水:ケンヤ節が出てます! レコーディングのときにケンヤさんが、「窓から見えてる世界の果て」と「窓に映る部屋の成れの果て」の対比について「窓の内側にいる自分と外側からみている自分は違うんだよ」って教えてくれたんです。それを聞いたときに、すごい歌詞だなと思ってハッとしました。
