「消えたくなることに飽きてもいいんじゃない? 」
——“トワイライト逃避行”はどうやって作っていったんですか?
詩羽:“トワイライト逃避行”だけは、青山くんの方からオケをもらって、それに私が歌詞をのせたんです。これも夕日とか空、海辺の情景が浮かんだので、すぐに歌詞を書きました。
——「僕等大人になったら 夢を描くためにキスを待つかな」という歌詞が好きなんですが、ここにはどういう思いがあるんですか?
詩羽:「夢」という言葉の使い方が、小さい頃とは変わってきちゃったなという思いがあるんです。叶えるために目指す「夢」が、眠るときに見る「夢」になっているよね、ということを言いたくて、この歌詞を書きました。
——“メリーゴーランド”からは激しめの曲が続きます。
詩羽:“メリーゴーランド”は中学校の頃に友達が亡くなっちゃったんですけど、その子に向けて作った曲ですね。私が中学生の頃、同い年くらいの子がスマホを置いて飛び込むという「自殺配信」というのがバズっていたんです。私にはそれがすごく衝撃的でした。でもそのときは話題にしているのに、時間が経ったらそんなこと誰もなにも覚えていないんですよ。同じように、私の友達が亡くなったときにも、時間が経ったらみんな忘れているんだなと実感しました。“メリーゴーランド”は、その友達に対する思いもあるんですけど、みんなが死を忘れていくから、こういう歌を作らないといけないなと思いました。
——“teenager”はソロで最初の頃に作った曲だとお聞きしましたが、どういう気持ちが込められていますか?
詩羽:「やさしい気持ちで尖っていたい」というのが私の人生のテーマでもあるので、そういう気持ちから曲を作りました。私は「やさしい心で尖っていたい」し、「愛も憎しみも抱えて」いきたいんですよ。この曲は若い人に向けて歌っているものでもあるんですけど、大人にも「若さを強さでまとめるなよ」って言っています。
——“あとがき”はどういう曲ですか?
詩羽:高校生の頃から日記みたいな形で、思ったことを残しておく習慣があって、そのメモから作った曲ですね。私は頭の中に自分がふたりいる感覚があって、それは二重人格とかではなく、負の感情を担当している人と幸せな感情を担当している人がいるようなイメージなんです。
——なるほど。
詩羽:ひとつの問題が起こったときに、ひとりの自分はこう言っていて、もうひとりの自分はああ言ってるって俯瞰して見ているときがあるんです。人と話していると、「じゃあどっちの自分が本当なの?」と聞かれるんですけど、自分の中ではふたりいるのが普通なので、そういう気持ちを曲に落とし込みました。
——“deny”という曲がラストを飾ります。Denyとは、どう訳せばいいのでしょうか?
詩羽:「拒否」という意味ではあるんですけど、最初は「仕舞い 終い deny」という音から決めました。消え去ってしまう、終わってしまうことを「拒否」するという意味です。この曲は、サビ前の「消えたくなることに飽きたよ」をいちばん大事にしています。私はしょっちゅう消えたくなるタイプなんですけど、それにももう飽きたなって。
——「消えたくなる」というのはどういうことですか?
詩羽:そのままですね。私はずっと生きていたいとは思わないタイプなので。でもずっと同じものを食べて飽きるのと同じ感覚で、「消えたくなる」のも飽きたんですよ。日常的にしんどくて生きてられないと感じている人たちに対して、「飽きてもいいんじゃないの?」って言ってくれる人っていないと思うんですよ。自分でその感情に気付いたので、同じように「消えたくなる」と思っている人に対しても、「飽きていいんじゃない?」と言いたいです。
——この曲を最後に持ってきたのはなぜですか。
詩羽:“deny”の曲順はすごく考えました。でもこの曲の「生」と「死」というテーマは自分の中で表裏一体で、自分のすぐそばにあるというのがよく表れている曲なので、いちばん最後にもってきました。
——このアルバムはどういう人に届いてほしいですか?
詩羽:私と同世代や、私よりももっと若い人に聴いてほしいですね。若い人はしんどいことも多いだろうし、私は学生生活のしんどさをよく知っているから。学生社会がしんどい人にとって、救いになる音楽になればなと思います。
——ソロ活動の今後の展望はありますか?
詩羽:水カンを続けていきながら、ソロでも曲を作っていきたいです。これを皮切りに、水カンでできないことをやっていきたいですし、ソロでできないことは水カンでやっていきたいです。どっちも頑張っていくつもりです。

編集 : 西田健
うたうように、ほがらかに、世界に羽ばたいてゆけ!
https://utaha.lnk.to/utauyouni
LIVE INFORMATION
詩羽 ワンマンライブ『うたうように、ほがらかに』
新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念
日程:8月9日(金)
会場:新宿LOFT
開場/開演:18:30/19:30
チケット代:4500円+1ドリンク
先行発売:7月3日(水)22:00〜7月8日(月)23:59
一般発売:7月13日(土)10:00〜
先行チケットリンク:https://w.pia.jp/t/utaha/
RELEASE INFORMATION
詩羽 1st Album「うたうように、ほがらかに」

WPCL-13594 ATLANTIC JAPAN / WARNER MUSIC JAPAN
収録曲
M1. MY BODY IS CUTE
M2. 人間LOVER
M3. magichour
M4. トワイライト逃避行
M5. メリーゴーランド
M6. teenager
M7. あとがき
M8. deny
Produce: 吉田一郎不可触世界
Music: 詩羽 (ALL), 青山颯眞 (M4)
Lyrics: 詩羽
Arrangement: 吉田一郎不可触世界
Drum: BOBO
Bass: 吉田一郎不可触世界
Guitar: 日野ジャクソン, 吉田一郎不可触世界
Key: 和久井沙良 (M1, 4, 6, 8)
https://utaha.lnk.to/utauyouni
PROFILE : 詩羽
2001年8月9日生まれ、東京都出身。
2021年9月、水曜日のカンパネラの2代目・主演&歌唱担当として加入。22年リリースの「エジソン」がSNSで話題となりMVがYouTubeで5500万再生を突破。
23年には日本のみならず、北京、上海、広州、台北を加えた8都市のアジアツアーを開催、本年2024年3月16日、水曜日のカンパネラ詩羽として初の武道館公演を成功させる。前日の3月15日には自身初となるフォトエッセイ『POEM』で今の自分につながる過去を綴った書籍を発売。また、音楽活動だけでなく、アーティスト、女優、モデルなどマルチな表現方法で自己表現を行う。
2023年7月、詩羽初映画出演となる映画『アイスクリームフィーバー』が公開、同年、日本テレビ系7月期ドラマ『最高の教師1年後、私は生徒に■された』でも生徒役で初のドラマ出演を果たし女優としての活動も広げている。
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