聞いた人それぞれが自分のお気に入りができる作品
──7曲目の“紙ヒコーキと晴れのちコーヒー”は、おかもとえみさんと共作なんですね。
チッチ : そうですね。いろいろディスカッションをして作りました。元々何年か前からほぼ完成していた曲なんですけど、どうしても語りかけるようなラップの部分を入れたくなったんです。そこでえみさんと、仲の良い女友達に「ねえ聞いてよ昨日こういうことがあったんだよー」って話しかけているようなイメージで歌詞を作りたいと相談して曲ができていきました。
──8曲目の“あそぼーよ”はザ・クロマニヨンズの真島昌利さんが作詞・作曲を担当しています。
チッチ : 私、THE BLUE HEARTSが好きで、よく“青空”を聴いて元気を出していたんです。今回のアルバムで自分のルーツを表現したいと思ったので、マーシー(真島昌利)さんに頼んでみたくてお願いしました。思いを受け取ってくれて嬉しかったです。マーシーさんがくれた歌詞の中に「青空」ってワードがあって、いろんなことが繋がった気持ちになって、すごく嬉しかったですね。
──9曲目の“向日葵”は?
チッチ : “向日葵”は曲を作り始めて最初の頃にできた曲ですね。「誰かにとってこういう人間になりたいな」という憧れを曲にしました。歌詞はBiSHで描けなかったような恋模様も私ひとりだったら表現できるかなと思って挑戦してみたんです。割と素直な自分の気持ちが歌詞に出ていると思います。
──10曲目の“夕焼けBabyblue”はどうでしょう?
チッチ : 私は海辺で夕焼けが消える頃に空気が青くなる「ブルーアワー」と呼ばれる時間が大好きで、昔からその情景をいつか歌で表現したいと思っていたんです。自分の中の記憶や愛しいものと一緒にいる瞬間って特別なことがなくてもそれだけで幸せだと思うんですよ。そういう儚くて生の人間らしい気持ちを歌にしました。

──最後の11曲目の“Q”は、もしかして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の「Q」が元ネタですか?
チッチ : そうです! 私はアスカが好きなんですけど、これは主人公のシンジ君に向けて歌詞は書きました。元々ヱヴァは大好きだったんですけど、『Q』を見た後にずるずると引きずる衝撃を受けて、これを曲にしたいって気持ちができたんです。だからアレンジの時も『Q』の世界観を表現したいから、ちゃんとそこを汲んで欲しいってお願いしました。ちなみに、アレンジしてくれたJ. ogは、『Q』が映画館で上映が始まってから、1日中映画館で見続けたくらいヱヴァオタクです(笑)。
──なるほど(笑)。今作を作ってみて、チッチさん的にはどんなアルバムに仕上がったと思いますか?
チッチ : 出来上がってみて感じたのは、おもちゃ箱みたいなアルバムになったなと思いましたね。「おもちゃ箱」ってすごくワクワクするし、ピースなものだと思うんです。それに、お気に入りのおもちゃって、覗いた人それぞれ違うと思うんですよね。今回のアルバムはすごくバラバラの個性のある曲が集まったので、「私はこれが好き」「僕はこれが好き」って、聞いた人それぞれが自分のお気に入りができる作品なんじゃないかなって思います。好きが詰まった大好きな一枚ができました。
──今後の活動において、ここでライヴしたいみたいな目標はあるんですか?
チッチ : 正直今は、そういうものはないですね。BiSHでは海外でのライヴができなかったので、それはCENTでやりたいことです。会いに来てくれている人のために私が今度は会いにゆきたい。でも東京ドームにまた立ちたいという気持ちはいまは正直思っていないです。もちろんどんな場所にも立てたら嬉しいですけどね。今は自分の表現が届いたらいいな。愛してもらえたらいいな、明日の希望になったらいいなって言う気持ちでやっているんです。何をもって幸せなのかまだわからないですけど、一歩ずつ選んだ道を納得しながら歩いていくことが、自分がいちばんすべきことかなって思っています。

編集 : 草鹿立
“CENT”のファースト・アルバム!
ライヴ情報
Unknown Possibilities
9/11(月)LIQUIDROOM [東京]
OPEN 18:00 / START 19:00
詳細はこちら https://centplanet.world/news/detail/65
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