自分が考えた振り付けをちょっとだけ使ってもらいました
──SHELLMEさんが進む道として、いまは順風満帆に進めているんでしょうか?
SHELLME : プーちゃんの歴史に乗っかる感じから、“プーちゃんと並んで一緒に行きたい”という気持ちに変わってきたけど、自分の力で良い感じになっているわけではないから、いまがすごく良いとは思わない。でもそれは、どれだけ大きなステージに立っても一生感じるんじゃないのかなって思います。
──EXシアター前のインタヴューでプー・ルイさんが「PIGGSが最後のグループだろうな」と発言していましたが、他のメンバーも同じような気持ちになっているんですか?
SHELLME : 私は、PIGGSへの加入が決まったときに、「これが最後のチャンスだな」と心のどっかで感じていたんですよね。だから、「ここで絶対にいいライヴをしなきゃ」と前より思うようになってきました。今回のシングル曲 “小さな叫び”と“LiKE A SPARK”の歌割りが決まる前に歌詞を読んで、これを自分が歌うのとプーちゃんが歌うのって、説得力が変わってくるから、最初はどうやって歌おうかなと思っていました。そしたら練習に(カミヤ)サキさんがきて、「プーちゃんの歴史があるだけで、それぞれにも歴史があるから、自分たちのことに置き換えて自分たちの言葉で歌ったり表現すればいいから」っていわれて、「確かに!」と思いました。その言葉を聞いて、プーちゃんのことに囚われているわけじゃないけど、曲を自分のなかに落とし込んで歌えるようになりました。

──セカンド・アルバム『JUICYY』からプー・ルイさんの歴史に寄り添うようになったことについて、SHELLMEさんはどう思いましたか?
SHELLME : プーちゃんのことだけど私のことでもある感じがして。通ってきた道で悔しい思いとかしんどい思いをした種類は違っても、みんな一緒だと思うんですよ。だから、そういうプーちゃんの歴史も感じるけど、それぞれの歩みもちゃんと感じられると思います。
──なるほど。現在回っている〈SOUL MEAT 2929 TOUR〉は、どんなツアーになっていますか?
SHELLME : PIGGSといえばブタ、ブタといえば肉なんで、29公演を回ったり、チケット代が2,929円だったり。本当は、各公演ごとに特典会をして、もっとお客さんとの心の距離が縮まったらいいなっていうツアーだったんですけど、コロナ禍でダメになってしまって、そこは悔しいですね。
──〈渋谷 7th FLOOR〉、〈中野heavysick ZERO〉は、キャパ的に「いまのPIGGSがやるには小さいんじゃないの?」って場所じゃないですか。どうして、あの場所を選んだのでしょうか?
SHELLME : 〈7th FLOOR〉は、最初にお披露目ライヴをしようとしていた場所だし、“PIGGS-モナ・リザ-”のMVを撮ったところだったんですよね。いままでは「PIGGSが来たよ! ガンガン行こうぜ!」って感じだったけど、改めて2周年に向けて、より小さい場所でひとりひとりに想いを伝えていくツアーなんじゃないかなと。いままでもそうなんですけど、いろんな場所に行って会いに行くっていう感覚。今回リリースした曲は、みんなの心により寄り添う曲になっているなと思うので。その曲たちを持って会いにいくってことに意味があるのかなと思います。
──新曲の“小さな叫び”はどういう曲ですか?
SHELLME : この歌詞を自分に置き換えて話すと、これまで後悔もしんどかったこともあるけど、PIGGSのメンバーとしていろんな人と出会って。自分が折れていたときにぶーちゃんズや周りの人が助けてくれたんですよね。今度はその人たちのしんどい気持ちを代弁して、「みんなでこの大事な時間を残していこうよ」という曲だと思います。
──いい曲ですよね。
SHELLME : めっちゃ最高です! 辛辣なことを歌ってるところもあるんだけど、どこか前向きで。私が歌っている2番のAメロは「こんな自分だけど、こんなふうにみんなと会うことで自分も誰かのために、なにかできることがあるって思えたよ」というふうに解釈してライヴで歌っています。で、これは今日いいたかったんですけど、自分が考えた振り付けをちょっとだけ使ってもらいました。嬉しい!!!
──おお! どういうふうに?
SHELLME : “NOT PIG”でも振り付けを考えてはいたんですけど、サキさん以上のものを作れる自信がなかったし、誰よりもダンスを練習して上手くやればいいと思っていて、私はやらない理由を見つけて振りを作ることから逃げていたんです。プーちゃんから「SHELLMEも自分で振り付けできたほうが、グループ的にもいいよ」って常々いわれていて。それで改めて考え直して、ダンスを武器にしてグループのために、なにかしたいんだったら、自分が少しでも振りを作ったほうがいいと思って。メンバーと常にいるのはサキさんじゃなくて自分だから、「いまBAN-BANはこういう気持ちでこういうことを歌っているから振り付けはこうしよう」とか、もっとリアルなものができると思うんです。その気持ちで今回から少しずつ挑戦して、“小さな叫び”の振り付けを提出したらサキさんが見てくださって。最初のイントロとサビの前半部分と、Bメロも細かく使ってくださって嬉しかったです。
──なるほど。
SHELLME : 前にも、“PIGGS-モナ・リザ-”、“THANK YOU FUCK YOU”、“フューチャースターダスト”を振り付けしてメンバーに踊ってもらっていたんですけど、そのときはいい振り付けが思いつかなくてなんとか出来たものだったんです。けど今回、“小さな叫び”で久々に自分が考えた振り付けを使ってもらって、メンバーが踊ってくれている姿にめっちゃ感動しちゃって。前はそんなこと思えなかったから、自分のなかでPIGGSに対する振り付けやダンスへの気持ちが変わったんだなって実感しました。いまのツアーでぶーちゃんズが踊ってくれているのも「ありがとう」って思います。
