INTERVIEW : クロダセイイチ(Genius P.J's)

インタヴュー & 文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
クロダセイイチのすべてを込めた楽曲を期間限定無料ハイレゾ配信
Genius P.J's / world is yours(24bit/48kHz)
【配信フォーマット】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz)
【配信価格】
無料(〜2014年12月31日(水)24時)
【Track List】
1. world is yours(Genius P.J's×daoko)
2. walkin’(Genius P.J's×frameworks)
約2年ぶりのE.Pをハイレゾ配信
Genius P.J's / OARSMEN THEORY THE E.P.
【配信フォーマット】
[左] ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz)
[右] mp3
【配信価格】
[左] 単曲購入 : 205円 / アルバムまとめ購入 : 756円
[右] 単曲購入 : 154円 / アルバムまとめ購入 : 540円
【Track List】
1. INTRO / 2. DEADMAN WALKIN' / 3. PARALYSIS / 4. HILL
一番エネルギーを爆発できるのはバンドのとき
ーー今回いただいたドン・マツオさんのコメントに「クロダさんにはA面とB面がある」って趣旨のことが書いてあって、ああ、なるほどと腑に落ちたんですよ。
クロダ : 本当ですか(笑)?
クロダセイイチは実に人当たりが良く、誰とでも仲良くなれる爽やかで気持ちの良い人間である。これがA面。もう片方の面に、不安や挫折や無力感という暗闇を自覚している。その相入れない光と闇の軋轢が音楽を産み出しているのだろう。高みへと向かい続けるそれらの曲達はしかしマイナーコードを期調とし、昇天から先が天国なのか滝壺の底の坩堝なのか、恐らく本人も分かっていない。彼は未だ若く、答えを見出し得ない刹那を生きており、だからこそ音楽が輝いている。彼を愛さずにはいられない。どうか天使が彼の魂を天国へと導いてくれますように。オレ達は、そこでまた会おう。
ドン・マツオ(ズボンズ/ DON Matsuo Magic Mountain)
ーークロダさんのトラックって、絶対的に「不安や挫折や無力感」みたいな部分が秘められていて、例えばtofubeatsさんとかSeihoさんのような若いトラックメイカーと、そこが大きく違うと思うんですね。ただ、クロダさんが軸としているのは、トラックメイカーとしてというより、あくまでGenius P.J'sなわけですよね?
クロダ : そうですね。実家に住んでいたら無理できるじゃないですか(笑)? そういう感じっていうか。Genius P.J'sがないと振り切れた活動ができないんですよ。ここ(Genius P.J's)は、一番自分のやりたいことがやれる場所でもある。昔はメンバーが6人いたんですけど、今は2人になり、詞はラッパーのchamoisが、曲は俺が作るっていうシンプルなスタイルになって。それが、いまはすごくやりやすいんです。
ーー2人になるっていうのもそうですけど、Genius P.J'sの核となる部分がみえたきっかけがあったんですか。
クロダ : 1回解散しそうになったときがあったんですよ。飲み屋で喧嘩みたいになって。でも最後に「俺がいたらGenius P.J'sだから、みんないなくなってもやる」ってchamoisが言ったのを聞いて、そこまで芯があることをいう人は他にいないから、ここが居場所なのかなと思えたんです。

ーーそもそも、クロダさんはハードコア・バンドをやっていたそうですね。それも驚きなんですけど、そこからラッパーの方たちとバンドを一緒にやるようになっていき、トラック・メイキングまでするようになったそうで。
クロダ : それまではバンド・スタイルでギターが2本だったんですけど、そうじゃなくて、シンセサイザーがあったら、もうちょっと違うアプローチができるかと思ってシンセを買って、曲作りもやりはじめたんですよ。
ーートラックも、今とは作り方が全然違いますよね?
クロダ : そうですね。当時はシンセ1台だったんですけど、いまはパソコン・ベースで作っていて。ギターで作ることもあるんですけど、ほとんど鍵盤とパソコンで作っています。
ーークロダさんは、たまなどの音楽が好きだったそうですけど、スタイルとしては、バンドがいいという、こだわりとかはあったんですか?
クロダ : こだわりはありました。だから、メンバーが辞めたときも、ドラムを入れて、バンド形態にしたいって言いました。DJセットもおもしろいんですけど、やっぱり一番エネルギーを爆発できるのはバンドのとき。いまだったら、ドンさんとやってるときですね。
決めごとなしだから、スリリングなんですよね
ーーそもそも、ドンさんとの繋がりは、どうしてできたんですか?
クロダ : 自分が専門学校に通っていたとき、代々木の野音でズボンズを観て、それからずっと好きで。他のリスナーはどう捉えるかわからないんですけど、ドンさんの音楽って、ヒップホップとかダブに通ずるものがあると思うんですよ。本人と話していても、ヒップホップが好きだったりするし。あるとき、ドンさんが当時やっていたドン・マツオ・グループとGenius P.J'sが対バンすることになったんですけど、ドンさんが俺らのリハを見て、電話番号教えてって声かけてくれて。「ドン・マツオが声かけてきてくれた!」って、めちゃめちゃビックリして。
ーードンさんから、直接連絡先を教えてくれって言われたんですか?
クロダ : そうなんですよ。で、そこから数週間後に、本当に電話がかかってきたんですよね。「何日空いてる?」「うちにシンセ持ってきて」って言われて、ドンさんの家に行ったら、エンジニアさんがいて、パソコンがあって。「ヘッドフォンつけて」って言われて、1分くらい音源を聴いてから「よし、じゃあレコーディングしよう!!」って、レコーディングが始まったんですよ(笑)。
ーーええー! いきなりですか(笑)。じゃあ、アドリブで?
クロダ : アドリブです。「これはドン・マツオ・グループでCD出すから、楽しみにしといてね」って言われて、後に出た『スイートパッション』のなかに自分のシンセが入ってたりします。「ズボンズのCDに自分も入ってる!」って感動がありましたね。
ーーそこから、しばらくはドンさんとプレーをしたりする機会があるわけですね。
クロダ : ドンさんの曲とか、ストーンズのカヴァーをやったりしました。あと、急に尺が長くなったり短くなったりするのがすごく楽しくて。そこには、ミュージシャンとしての感性がすごい必要だったんです。これは、自分の音楽に必要だし、全然持ってなかったところだったんで、勉強させてもらおうって気持ちでやりました。
ーーそれは、すごく大きな経験ですよね。ドンさんから、どんなことを教わりましたか。
クロダ : アメリカ・ツアーの話が、自分の中で心に残っていて。アメリカ・ツアーでは、ドラム・セットはないし、マイクも2本しかないとか、そういう現場も普通にあって、そのなかでライヴをしなくちゃいけないんです。でも、日本のライヴ・シーンって、なんでも揃ってるじゃないですか? これがないとできないとか、そんなのはタフじゃないよって言われて、確かにと思ったんです。俺は軟弱な方だったんで、機材も足下いっぱいとかそんな状態でやっていたから、「そんなにいらないでしょ? 2個でいいよ」みたいな(笑)。決めごとなしだから、スリリングなんですよね。あと、なにかトラブルがあっても、それをよい方向に一瞬にして変えていくことをドンさんが指揮をとってやっていて。俺らも一緒になって、その音楽がいい方向にいくよう考えながらクリエイティブしていく。そう意味で、展開がすごく早いんですよね。曲のA、B、サビっていう展開じゃなくて、もっとプリミティブというか、ドラムの叩き方がちょっと変わったから、そっちにあわせていかなくちゃいけない。そういうところが、すごく勉強になりました。

ーーそれはクロダさんが今まで持っていなかった部分だったわけですね。
クロダ : まったくなかったですね。即興というか、そういうふうに対応していくのは苦手なほうだったので。どちらかというと、作り込んでいくほうなので。でも、プレイヤーとしては絶対必要だなって思うところなので、勉強になりました。
ーーこんなこと言うのも失礼ですけど、3rdアルバムの『リパブリック』って、体裁はいいんですけど、クロダさんのエグみみたいなところは、まだ出きってないのかなと思って。そこは変わってきたなと思うんですよ。あなるちゃんとコラボするとも思わなかったし(笑)。
クロダ : あなるちゃんと繋がったのは〈ぐるぐる回る〉なんですよね。友だちが〈ぐるぐる回る〉が好きで、おもしろいフェスあるからいってみなよってことで行ったんですけど、混ぜるなステージに辿り着き…。
ーーめちゃめちゃ狭くて、信じられないくらい暑いステージですよね(笑)。
クロダ : そう(笑)。入った瞬間に湿気がすごくて。スケジュールを観たら、「あなるちゃん」って書いてあって、すごい名前だなと思って。中に入ったらライヴをやってて、「うわ、派手だしなんか叫んでるし、すごい魅力的だな」と感じたんです。昔、たまを観たときの感じのわくわく感とういか、殺害塩化ビニールの感じとか、そういうものを感じつつも、単純にノイズだけではない、カルチャー部分もあって。おもしろいなと思って一番前で動画を録って、Twitterで「あなるちゃんの映像を見直してるけど、やばいなー」って書いたら、本人からリプがきて「その動画ください」って。で、送ったら、ライヴもきてくれるようになったんです。
ーーそこで繋がったんですね。
クロダ : で、2013年にあった〈ぐるぐるTOIRO〉のステージにクロダさん一緒にどうですか? って言われて。最初観たときから、俺だったらこうやるな、っていうのが見えていたので、一緒にやりたいと思って。単純にノイズだけではなくて、切ない世界観に乗せたら、ぜったいヤバいだろうなってセッションしたんです。
クロダさんの曲はせつない
胸がしめつけられて苦しい
だから、あなるちゃんは
明るい 光をうたう
光が照らすように
泣き出したい気持ちを抱えて
夜あるくとき
見上げると月はやさしい
やわらかく光る
悲しい絵は描かないのですか
と、クロダさんに聞かれたけど
ほんとは、そのあとちょっと描いたけど
悲しい絵は描かないの
悲しみを 悲しさで描くのではなく
つらい思いに、ひかりをかざす
明るいうたをうたうよ
きみがせつない曲を奏でるから
あなるちゃんは 光をかざす
どん底にいる人にしか
光は見えない
最近そればかり思う
あなるちゃん
ーーあなるちゃんとの作業は、クロダさんもアイデアを出して、一緒に作っていく形なんでしょうか。
クロダ : ドンさんとのライヴに、かなり近い部分があって。トラックに関しては映画みたいな感じで、こういうシナリオは全部作りますよって作るんです。それを元に、あなるちゃんから「こんな世界観だからこうしたいよね」っていうことを聞いて、あとはライヴがスタートしてやっていく。あなるちゃんが、急に遠くに行っちゃったり、叫びだしちゃったとか、それをみて自分もアプローチしていくような感じのライヴをしています。
ーーその場の空気感だとか息づかいとかと連動していくと。
クロダ : そうですね。トラックの固さはGenius P.J's に通ずるところがあって、ライヴの臨機応変さとか、こうやったらもっと世界観がわくんじゃないかっていうのはドンさんに近い感じですね。
ーーそして、ラッパーのDOTAMAさんとも交流が深いですが、これはどうやって繋がったんでしょう。
クロダ : 最初は、OTOTOYが企画した、東北地方太平洋沖地震の救済支援コンピレーション・アルバム『Play for Japan』に収録されていた「3月のテンペスト」をYouTubeで見たんです。そのとき、不思議なラッパーで、引き込む力が半端ないなと思って。で、去年末から今年にかけて、The Randolfと、あなるちゃんとクロダセイイチで、同じイベントに出演することがあって、それをきっかけにいろいろお話するようになりました。MCバトルでのDOTAMAさんのイメージが強かったので、トゲトゲしてるのかと思ってお話したんですけど、実際はとても気を使ってお話してくれる優しい方でした。
ーーGenius P.J'sとは異なるラッパーとの作業となりますが、どんな刺激、体験がありましたか。
クロダ : 自分は興味のあるアーティストのライヴを見ると、俺だったらそのアーティストに、こう光を当てたいと思いながら見るので、楽曲のイメージはトラック製作の依頼をしてもらったときに、すでに何パターンかあったんですよ。あと、うちのラッパーのchamoisとはタイプがまったく違うので刺激だらけでしたね(笑)。かなり頻繁にやりとりを重ねて、声の大きさやエフェクトのかけ方を模索していったので、その点で本当に参考になりました。ああこういうアプローチもおもしろいなって。すごく楽しかったです。あとまったく余談ですけど、DOTAMAさんめっちゃ寄生獣マニアで寄生獣に詳しくなりました(笑)。
天真爛漫であり、思慮深い人物。クールなHIPHOPユニット「Genius P.J’s」の叙情的な 世界観とはまた違ったエモーショナルさが「クロダセイイチ」さん個人名義で描かれる音世界にはあると思います。その多様性に唸り、自分も楽曲を共に制作させて頂きました。それはライブハウスで対バン相手のヤバイLIVEを見て嬉々として踊っていらっしゃる氏の生来のはっちゃけた豪快さと、制作過程での音作りの繊細さ。HIPHOPのビートメイカーとしてだけでなく、バンド奏者としても活躍されるパワーと技術 。そのそれぞれを持ち合わせた氏の素晴らしき多様性でもあると、短いお付き合いの中で思いました。それが音世界にも現れていると思います。多彩なプロデュースや縦横無尽な異ジャンルでの現場活動。そんなセイイチさんの音世界には底知れぬ広さがあります。
DOTAMA
このくらい命かけて削ってやらないと人には伝わんないんだって
ーーあははは。そして本作で共演しているdaokoさんは、どういう感じで結びついていったんでしょう?
クロダ : daokoちゃんは、知り合いの娘さんから「すごいいい子がいるよ」ってYouTubeで見せてもらったんです。いい意味で線が細くて、繊細な感じで、感性的にいいなと思ったんですね。去年末〈コクーン〉っていうイヴェントをやったんですけど、そこにdaokoちゃんが遊びにきていて「曲聴いてます」ぐらいはしゃべれたんですけど、特別連絡先を聞いたりとかはなくて。そのあと現場で会うことがちょこちょこあって、この子と曲を作りたいなって思ってたんで、緊張するけど、「すいません、やりませんか?」って話をしたら、やりたいです!! って言ってくれて。じゃあ、作りましょうっていうのが今年の春くらいだと思います。
ーーこれまでのパターンとは違って、クロダさんから声をかけて一緒にやりましょうっていう流れだったんですね。
クロダ : そうですね。ただなんでOKしてくれたのかそのときはよく分からなかったんですけど。
ーーそのときは、っていうことは今はわかるんですか?
クロダ : つい2、3日前、ちょっとメールでやりとりしてたときにわかったんですよね。実はdaokoちゃんの線の細さというか繊細さが、自分とかなり被るところがあって。線が細いとか繊細っていうのは、悪いことじゃないじゃないですか? 作品を作るとき、アウトプットするときは、すごい力になると思うんですよね。それが一緒だったから作品が作れたんじゃないかなって思っています。

ーー曲自体はどうやって作業して完成させたものなんですか?
クロダ : 今年の春先に、かなりプライベートなことなんですけど、いろんな不幸が続いてしまって、メンタル的に相当やられていたんですよね。だから、daokoちゃんとやるために書こうっていうのではなくて、自分の負の力をアウトプットしないと自分がダメになるなっていうところから曲を作ったんです。自分のなかに、その力を溜めちゃうと、悪い方にいっちゃうなって。本当に自殺したりとか… そういう方にいっちゃうなと思って、エネルギーを発散させなきゃと思って、毎晩トラックを作っていて。いつも朝まで作ってたんですけど、そのときにこの曲ができあがってて。今年一番辛いことが濃縮した一曲でもあるんですね。
ーー吐き出さないと自分がダメになっちゃう。そういう作らざるを得ない状況のなかでできた曲だったんですね。
クロダ : そうですね。例えば俺がスポーツができていたら、やっていたと思うんですよ。でも、できるものは音楽しかなくて、そこにひたすら力を発散してたって感じなんです。もしかしたら、それは少し幸いなことなのかなって思っていて。何もないといったら怒られちゃうと思うんですけど、発散するものがない人もいるんですよね。そのなかで、自分には音楽があって、エネルギーを発散させる方法がたまたま音楽だった。それを一番発散させた、力を使った曲だと思いますね。
ーー歌詞はdaokoさんが書いているんですよね?
クロダ : そうですね。自分で初めてリリックに注文をしたというか、こういう感じでいって欲しいっていうことを言いました。人の生死が関わるとか、もう二度と会わない人がいるとか、そういう出来事が多かったので、生きるってなんなんだろう? ってところを、プライベートなことを踏まえて伝えたんです。最初、それを言った後、かなり世界観を狭めちゃうことだから、daokoちゃんにも、chamoisにも、申し訳ないことをしたなと思って。でも、しばらくしたら(歌詞が)返ってきたんですよね。自分はこうアウトプットして理解して吐き出しましたよっていうのが書いてあって、最初daokoちゃんからリリックきたときに自分もわーってなっちゃって。泣いちゃうくらい想いのツボに入っちゃったんですよね。そして、これ絶対にいい曲になるなって確信して。そこに、うちのラッパーが肉付けをしていったんです。
ーークロダさんとして、かなり思いのこもっている曲なんですね。
クロダ : そうですね。それがいいか悪いかはなんとも言えないんですけど、あらかじめ決められた恋人たちへのPAをやっている石本さんにマスタリングを頼んだんですけど、思入れが強すぎるから、これは難しいって言われて。それでも、素敵に仕上げてもらって。他の感性を入れたくてお願いしたんですけど、他の感性が入る隙がないくらい自分では思入れがあった曲なんだなって、いま思います。
はじめにクロダさんのこのトラックを聴いて、
明け方のイメージが頭にふと浮かんだのが印象的です。
制作し終わってから、
クロダさんから本当に明け方の薄暗い部屋でうまれた
トラックだと聴いて、巡り合わせだなあと思いました。
“生きる”というテーマ。
聴いた方の生きる力に少しでもなれたならいいな。
私がそうなったように。
Genius P.J's
本当にありがとうございました。
daoko
ーーそれをフル視聴とかフリー・ダウンロードで配信っていうのは、とにかく聴いてもらいたいっていうところに主願を置いている。それくらい聴いてもらいたいってことなんですよね。
クロダ : そうですね。このくらい命かけて削ってやらないと人には伝わんないんだって、わかった曲というか。今までも真剣にやってたけど、心がこんなになるまで作った曲は今までなかったんで。そういうのがあってか、最近のライヴでリアクションをたくさんいただいてて、これくらい削っていかないと届かないんだなって、より実感しています。いままでで一番届く曲が作れたから、多くの人に聴いてもらいたいなって思ってます。
ーー命をかけて作って曲は、伝わるっていうことを、手応えとして感じているんですか?
クロダ : それはすごくありますね。今年いい経験をしたから、ライヴで自分をだせるというか、ちょっとだけ人間の器が大きくなったんじゃないかと思います。おちょこの裏ぐらいですけど(笑)。
ーーそんなことないでしょう(笑)。
クロダ : 今はもうちょっと大きくものを見れるというか、誰かが辛いとき、もうちょっと深く分かってあげられるようになったんじゃないかなって。やっぱり、人間が出ると思うんですよ、ライヴとか音楽とかって。薄い人は薄い音楽になると思うし。それが少しだけ濃くできるようになったんじゃないかなって気がします。
ーーそれが作品としてちゃんと形になったっていうのは尊いことだなと思います。
クロダ : 本当にそう思いますね。これで(リリースが)飛んだら供養されないなって思っていたので、ここまで、がんばって持ってこれてよかったなって思います。
ーーこれを多くの人に届けたあと、次に向かっていけそうですね。
クロダ : 供養じゃないですけど、自分のなかでいろいろな出来事を終わらせられたので、次出したいものが出てくると思います。さっき、生きるって言ったんですけど、そのテーマはずっと続いていくものだと思うんで、それに関しての曲やアルバムにはなっていくんじゃないかな。