ライヴを楽しくするために何かを作っている
──歌詞はどのように作っていくんですか?
ヤギヌマ:自分の周りに起こった出来事を曲にすることが多いですね。8曲目の“Day break”は私の家に空き巣が入ったときの歌です。私、口座手数料かかるのが嫌でタンス貯金してたんです。盗まれはしないだろうと思って、普通に押し入れにお金を置いていたら、領収書とかチケットの半券とかも全部丸ごと持ってかれてしまったんです。盗まれた記念にTシャツ作りましたもん。これは歌詞も細かいこと考えずにヤケクソで書いてますね。
──すごい話ですね。
ヤギヌマ:他にも、ファーストシングルの“on your mark”は、グループを抜けてふたりで一緒にやるはずだった子に向けて書いたメッセージソングです。スタートラインはバラバラになっちゃったけど、ゴールを目指して行く中で、どっかでまた会えたらいいねという思いを詰め込みました。
──ヤギヌマさんが作詞した曲だと、僕は“タイムマシーンに乗って”が好きです。
ヤギヌマ:これは必ずワンマンのアンコールで歌っています。自分が過去に行ってやり直すんじゃなくて、過去の私を今に連れてきて「今のこの景色を見せたらどう思うか」みたいなのをテーマに書いたんです。
──“Don't worry be happy.”はとにかくハッピーな曲ですね。
ヤギヌマ:これは人の背中を無責任に押せる応援ソングですね。「頑張れ」とか「挑戦してみたらいいじゃん」みたいなことを言って欲しい人もいるけど、自分が発した言葉に責任を持つって大変じゃないですか。これは「責任取らないけど大丈夫だよ。行けるよ」みたいな曲ですね。
──“雨夜の星に願いを”にはどんな思いを込めたんですか?
ヤギヌマ:これは、いろんなジャンルの曲をひとつにつないでくれる曲として作った曲ですね。それに合わせて衣装を作ったんです。ライヴの前半は聴かせる系の曲のセトリにして、“雨夜の星に願いを”の曲の途中で早着替えして、後半はロック系の賑やかな曲を歌う構成にしています。
──ヤギヌマさんが書いた歌詞もいろいろ幅があっておもしろいですね。13曲目の “あいうぉんちゅー”の歌詞はほとんど「うぉんちゅー うぉんちゅー あいうぉんちゅー」ですし(笑)。
ヤギヌマ:“あいうぉんちゅー”と“コンビニ”は、もともと同じ対バン出てた天河あおい(現在は𝑨𝑶𝑰 𝑴𝑬𝑳𝑻 𝑫𝑶𝑾𝑵名義で活動中)さんに作曲してもらいました。私が作詞してあおいさんが作曲して一緒にライヴをするみたいな企画でできたものですね。これは可愛らしい曲を作ろうって作りました。 “あいうぉんちゅー”ってなんか丸いし発音も可愛いし、続けて言ってたらかわいいかなと。でもアイドルっぽい可愛い歌詞が全然浮かばなくて難しかったですね。
──“コンビニ”はどんなことを歌にしたんですか。
ヤギヌマ:これはライヴが終わって終電で帰った深夜に、コンビニに行った時のことを歌にしました。その日は大雨が降っていたのに私はひとりで傘も差さないで、ずぶ濡れでお店に入ったんですけど、そこでカップルがめちゃくちゃ楽しそうに買い物していたんです。周りの人から見たら、私は不幸でカップルは幸せに見えるかもしれないけど、私もその日のライヴが楽しかったからすごく幸せだったんです。幸せって人それぞれだし、私は幸せだから別にいいや、それでいいみたいな気持ちを歌にしました。
──ー“やぎぬまふぃーばー”、“やぎぬまさんといっしょ!”は天河さんが作詞もされています。
ヤギヌマ:“やぎぬまふぃーばー”はヤギに詳しくなれる情報がいっぱい入っている曲ですね。“やぎぬまさんといっしょ!”はライヴハウスでEテレの「おかあさんといっしょ」の体操ソングみたいな曲が作りたかったんです。“わっしょい唱歌”もそういうイメージですね。人に歌詞を頼む時はなにかテーマがあるのにしてもらおうかなと思っています。
──“リナリア”にはどういう思いを込めたんですか?
ヤギヌマ:リナリアは花の名前なんですけど、花言葉は「この声に気づいて」なんです。アイドルファンって「ガチ恋」って呼ばれる文化があるじゃないですか。そういう人たちが共感できる曲を作りたかったんです。でもアイドルファンじゃない人が聴いてもいいかなと思える広い意味でのラブソングです。

──今回のベスト盤で初めて音源化になるのが、“COSMO PARADISE”と“Reborn”と“キミと見るユメ”ですね。
ヤギヌマ:“COSMO PARADISE”は結構ライヴで歌うんですけど。 2分59秒しかないのに振り付けがめちゃくちゃ激しいですね。“Reborn”は、ひらがな四文字の「やぎぬま」から「ヤギヌマメイ」に名前を変える前に、4ヶ月半くらい一切ライヴしない時期があって。その間に楽曲編曲したりしたんです。それまでただ歌ってるだけで振り付けもなかったので、全部の曲に振り付けをつけて、それを一気に発表して改名するっていうワンマンをやって、その時にあの披露した曲ですね。
──アルバムの最後に収録されている“キミと見るユメ”はどうですか?
ヤギヌマ:“キミと見るユメ”は、今まで私が作詞した曲を全部作曲家の大鹿(大輝)さんに提出して、これを一曲にしてくれました。聞き覚えのあるフレーズがめちゃくちゃ入っていて、これまでの集大成みたいな曲ですね。
──これまでお話を訊いていると、ヤギヌマさんは本当にライヴが好きなんですね。
ヤギヌマ:そうですね。ライヴが好きで、ライヴを楽しくするために何かを作っているんだと思います。今回のアルバムもそういう思いで作ったんです。本当にいろんな繋がりでできた一枚だし、せっかく出来上がったものなので、いろんな人に聞いてもらって、たくさんライヴを楽しんでもらえたらなと思います。

編集 : 西田健
初のベストアルバム『ヤギヌマ図鑑』
PROFILE:ヤギヌマメイ
“醒めない夢を、君に贈るよ”をコンセプトに活動するセルフプロデュースソロアイドル、ヤギヌマメイ。
ダマスカスヤギが子供から大人になる過程の変化をコンセプトにした衣装に身を包み、ライブの前半はゆったりと、後半は体力重視の熱いライブが持ち味。名前の由来は、"ヤギ"が好きで、"5月(May)デビュー"なのでヤギヌマメイ。発想力、行動力、体力の3つを主軸に、奇想天外な主催イベントを定期的に開催。(1日9本ツーマン、9時間ワンマン、全曲倍速ワンマンライブ、誕生日にちなんで73km先の地点から会場までロードバイクで目指しトリの出番までに間に合わせる生誕ライブなど)。
思いついたことを自由に表現しながら、目標である“1000キャパワンマンライブ”に向け、活動中。主催する“ぬぬぬフェス”を野外開催で行うことを1番の目標としている。
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