INTERVIEW : ヤギヌマメイ

セルフ・プロデュース・アイドル、ヤギヌマメイの最大のストロング・ポイントは、バイタリティーの高さにあると思う。キャリーケースひとつでどこへでも飛び回り、ファンが求めるならば早朝にでもライヴをする。奇想天外な発想での活動も多い彼女だが、話を聞くとかなりそれら全てには理由があるのだということがわかった。そして、その根本には「来てくれた人を楽しませたい」という想いがあるのだ。夢に向かって、日々邁進しつづけるヤギヌマメイ。一度ライヴに足を運んでみてほしい。きっと虜になるはずだ。
インタビュー&文 : 西田健
撮影: 宇佐美亮
なんにもやりたいことないんだったらアイドルにでもなってみれば
──ヤギが好きだから、「ヤギヌマメイ」という名前なんですよね。
ヤギヌマメイ(以下、ヤギヌマ):そうですね。生まれは神奈川なんですけど、幼い頃によく福岡のおばあちゃんの家に遊びに行っていたんです。おばあちゃんの家から徒歩5分のところにヤギがフューチャーされている動物園があって、それでヤギが大好きになって芸名にしました。
──いまはセルフ・プロデュース・ソロアイドルとして活動されていますが、元々アイドル志望だったんですか?
ヤギヌマ:そういうわけではなかったですね。いまもアイドルを名乗ってはいるんですけど、肩書きにこだわってはいないです。
──元々アイドルというものに興味関心があったんですか?
ヤギヌマ:特には無かったですね。幼い頃、親にモーニング娘。のオーディションに、勝手に連れてかれたことはあったんです。当時大好きだった「こち亀」の主題歌の、天童よしみさんの“だまって俺についてこい”を仁王立ちで歌ったんですけど、受かりたいっていう気持ちが無くて落ちちゃいましたね。

──歌は好きだったんですか?
ヤギヌマ:高校生の時、週5ぐらいでカラオケに行くくらいには歌は好きでした。ポイントカードが超溜まってましたね。
──バンドをやっていたりしたわけではないんですか?
ヤギヌマ:バンドをやってみたかったんですけど、軽音部がヤンキーの集まりで入れなかったんですよ。
──なるほど。カラオケではどういう曲を歌っていたんですか?
ヤギヌマ:あんまりこだわってはいなかったんですけど、一時期、水樹奈々さんの曲ばっかり歌っていました。
──アニソンが好きだったんですか?
ヤギヌマ:そういうわけではないですね。結構趣味はバラバラです。その時、友達が歌ってるアーティストとかを聴いたりしていました。高校生の時は原宿カルチャーにも憧れていて、きゃりーちゃん(きゃりーぱみゅぱみゅ)が好きだったので、ライヴにもよく行っていました。いろんなところから影響を受けていますし、高校卒業してからもたくさんやりたいことをやってたんです。
──どんなことをやっていたんですか?
ヤギヌマ:高校卒業したあとは、洋画のアテレコ声優になりたくて養成所に2年ぐらい通ったんですけど、声優事務所の所属審査で落ちて、諦めちゃって。その後、アパレルの仕事をやろうと思って洋服屋とか雑貨屋で働いたんですけど、結局それも上手くいかず。それから、しばらく実家でニートしたんですけど、2カ月も家に居ると、お母さんが怒り出しちゃったんですよ。それで友達の家に避難していたら、その子が「なんにもやりたいことないんだったらアイドルにでもなってみれば」みたいな感じで言ってくれて。じゃあやってみようって思って、まずはアイドルグループのオーディションを受けたんです。

──グループのオーディションを受けたのはいつ頃ですか。
ヤギヌマ:2016年ですね。結局落ちたんですけど、落選組のメンバーで最初グループを組んで、半年間だけやっていました。それからは、一緒に抜けた子と2人組でアイドルやる予定だったんです。1年くらい準備期間を設けてちょっとずつ知ってもらいながら頑張っていたんですけど、ワンマンの一ヶ月前に相方の心が折れちゃったんですよ。
──ええ!一ヶ月前に!?
ヤギヌマ:それで、じゃあ仕方がないからひとりでやるかと思って。とりあえず、ひらがな四文字の「やぎぬま」という名義でソロを始めました。
──それからグループで活動しようとは思わなかったんですか?
ヤギヌマ:期間限定ユニットみたいなこともやったんですけど、ソロの方が向いてますね。自分が考えた企画が形になって、周りの人みんなと作っていくことが楽しいです。
──ライヴも本当に精力的に行われていますよね。
ヤギヌマ:そうですね。遠征も割とどこでも行くんです。6月は札幌行って名古屋行って大阪行ってみたいなスケジュールでした。今後も沖縄行ったり徳島に行ったりする予定です。
──すごいですね。セルフプロデュースでソロでやってるからこそのフットワークの軽さのような感じがします。
ヤギヌマ:そうかもしれないですね。私はどこでも寝れるし、あんまり細かいこと気にしないので。四列の夜行バスで現地まで行って、1500円で泊まれる女性専用のドミトリーみたいなところに泊まって、また夜行バスの中で帰ってくる。それで往復で宿泊費含めて交通費も多分1万円かからないくらいです。キャリーケース1個だけ持ってどこへでも行っています。
