結局、全部自分で選び取るしかないわけ
LEFTY:今日いろいろお話を伺ってきた中で重要なワードって「人」だと思うんです。「文化は人でできている」という言葉を丸さんは残されていましたが、今だからこそ伝えたい「人」の大切さってどういうものなんでしょう。
丸山:変な人ばっかりと付き合ってきたからね。その変な人が、新しいことをやるわけじゃない。今までと同じことやってたら変じゃない。エンタメの仕事をやるってことは、変な人と付き合って新しいことを作るとか、見つけることが面白くなければ、やっちゃいけないと思う。
LEFTY:でも「自分って他の人と違うんだな」とか、逆に「自分ってそうではないな」って気づく瞬間って難しいのかなって思うんですよね。僕も8年間続けてきたバンドが25歳くらいの時に、解散したんですね。その時悩んた末に、就職しようと思っていろいろ頑張ったんですけど、うまくいかない時期があって。結局音楽業界にもう一回カムバックしたみたいな経緯があったんです。もしあの頃、ある種のボタンの掛け違いがあったら、普通の仕事に就いてたのかなとも思っていて。そういう自分を見極める判断ってどうすればいいですかね。
丸山:正しい判断なんてないんだよ。俺が全能の神だったら話は別だけど、誰かが「君は、こっちの方がいいよ」とか言うわけないじゃない。だから結局、全部自分で選び取るしかないわけでしょ。そこで、いいやり方ができるかどうかだと思う。
LEFTY:そうですよね(笑)。
丸山:リスクだよ。それでダメでボロボロになるのも、人生だしさ。
LEFTY:そうですね。ある種、相応の覚悟が生じるというか。僕はそういう意味では、いま音楽を仕事にできて幸せものだなと思って生きてるんです。でも仕事にしない選択肢もありますよね。自分にとって大事なものを、余暇にやるみたいな。サラリーマンをやりながら、ミュージシャンをやる人が増えてきてる。音楽を仕事にしようとすると、商業的な成功が絶対ミッションになっていくじゃないですか。それが自分のポリシーに時に反しても、ある程度向き合わなきゃいけないみたいなことも生じてくるのかなと。丸さん的には、好きなことを仕事にした方がやっぱりいいと思いますか。
丸山:最近YouTubeでLeo the footballっていう元芸人でサッカーのことやたら詳しい人の動画を見てるんだ。サッカーオタクとして、個人でいろいろとやってたんだけど、その人は仕事に今してるよね。そういうスタイルも今はあるでしょう。
LEFTY:そうですね。今はより、フレキシブルですからね。
丸山:いろんな生き方が多分あるんだろうから。まあ俺にああいう事ができるかって言ったらできない。あそこまでサッカーについて没頭できないからね。音楽でも、あそこまで没頭できない。だから俺はそこそこだな。ははは(笑)。
LEFTY:「没頭する力」みたいなところで言うと、丸さん自身としては、あくまで自分はそっち側じゃないっていうことですか?
丸山:違うな。うん。飽きっぽいもん。没頭とは正反対だからな。
LEFTY:だから、そこを自覚できるっていうのが、やっぱすごいなと思うんですけどね。
丸山:いいよ、褒めてくれなくて(笑)。
LEFTY:ははは(笑)。YouTuberのお話もありましたけど、今、本当にいろんな形で、自分で今までになかった仕事を、手軽に創出できるような時代にもなってきてますよね。人それぞれの、好きなことに没頭できることと向き合い方もあると思いますし。逆に、没頭できない強さもあるってことなんだなって丸さんと話して思いました。人に向き合って、その人が実現したいことを具現化していくところに、生き甲斐を感じるというか。
丸山:いろんな人がいていいわけで。そんなのやめちまえよって言うのは余計なお世話じゃない。
LEFTY:やりながら辛いって愚痴ばっかり言う人っているじゃないですか。でも一方で自分を好きだなって思ったりする瞬間もあって。意外とそういう自分が心地よかったりとかするんでしょうね
丸山:そうだから、折り合いつけてるのよ。
LEFTY:確かに。本当に辛いなと思ったら、いつでも逃げ出せばいいと思うんですけど、そのストッパーだけは心に強く持って、向き合ってみてほしいですね。