みんなと協調してやっていくと、新しいものが生まれない
LEFTY:もう一つ「私の履歴書」のなかに、「時代を読む力」っていうお話があってですね。「誰もいない、すいてるところを狙う」ことが、EPICソニー時代の丸山さんのポリシーだと書かれていたんですが、丸山さんの中で、今、日本ですいてるところとかって、何か思いついたりされますか?
丸山:企業秘密(笑)。
LEFTY:企業秘密(笑)。これから何かやるかもしれないですしね(笑)。
丸山:そうそう。まだやるかもしれないし(笑)。
LEFTY:そりゃ、探せよって話ですよね(笑)。やっぱり、いまだに音楽業界を当事者として俯瞰で見たりとか、「これやったらいいのにな」みたいなアイディアって日々、生まれてきたりするものですか?
丸山:する。「なんで気がつかないんだろう。ここ、すいてるのに」って思うよ。でもみんな混んでるところに行きたがるじゃない?
LEFTY:そうですね。僕はミュージシャンというひねくれものの集まりだから、人がやってることと違うことやりたいっていうタイプですけど、みんなと一緒って安心するんだと思います。
丸山:みんな、そっち行くよね。
LEFTY:今後も丸さんの方から、何かが繰り出される可能性もあるということで、そこは引き続き企業秘密ということで(笑)。そういう面白いことの見つけ方を聞かせてもらえますか。
丸山:さっき起業の話をしたけども、日本人はおおよそ、みんなと一緒が好きじゃない。でもそのなかで社会に適応できない人がいるじゃん。例えば、イーロン・マスクとか、スティーブ・ジョブスとか。でもそういう人は、自分で良いと思ったものをずっとやり続けることができる。それが良いと思う。そういう人じゃないと新しいことは起こせないよね。日本みたいに「みんなと仲良く一緒にやろうよ」という感じだと、そこに新しいものはできないじゃない。だから、新しい産業が生まれるのは、そういう社会に適合できない人の力だよね。
LEFTY:そうですね。
丸山:まあでも本当に、周りは迷惑なんだけど。
LEFTY:はははは(笑)。たくさん関わっていらっしゃいますもんね。
丸山:そうそう。ミュージシャンなんて、ほとんどみんなそう。だけど、新しいことをやろうっていうエネルギーはあるんだよ。そこそこに、みんなと協調してやっていくと、新しいものが生まれない。だからなんとなくそういう人を応援したくなるんだよ。そうじゃないと、新しいものは生まれないと思うから。
LEFTY:面白いものの見つけ方という観点で言うと、そういう協調性の枠組みを超えた新しいことにチャレンジし続けている人と一緒にいるみたいなことなんですかね。
丸山:まあね。一緒にいて、それが心地良いかって言うと、そうでもないんだよね(笑)。「こんなに自分勝手なやつって、そんなにいないよな」って思いながら付き合うわけじゃない。でも面白いんだよね。そいつがなんかを作ってくるのは面白い。
LEFTY:そこは、やっぱり人なんでしょうね。人とのコミュニケーションの中で、新しい物事にも出会っていくような気もします。