あの頃抱いていた感情も、「無駄じゃなかったんだな」
──歌詞はどういう風に書いていったんですか?
逢田:すごく軽やかなメロディーを作っていただいたので、聴いていて楽しくなるような、軽やかな言葉を探して書きました。
──「満たされない昼下がりに お気に入りメロンのグラス」のようなフレーズは、すごく情景が浮かびますよね。
逢田:割と純喫茶に行くのが好きなんです。そういう自分ひとりの合間とかに、ちょっとお楽しみの時間みたいな、そういう情景を思い出しながら描きました。
──そこはおひとり様ということですね。
逢田:そうですね。純喫茶はひとりでも行きやすいですし。仕事の合間でちょっと時間が空いたときに、探して行ったりしています。
──TVアニメ『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』の第2エンディングテーマに起用されている“Is this love?”は、すごくポップでラブリーな楽曲ですね。
逢田:そうですね。メロディー歌詞ともに本当にかわいい楽曲です。自分の引き出しの中からは出てこないタイプの楽曲なので、タイアップというご縁で出会えて楽しかったです。ただこの曲はキャラソンではないので、いままでの自分の範疇を超え過ぎるのも良くないし、ローテンション過ぎるのももちろん良くない。その塩梅が難しかったです。いま歌詞を見たら、ちょっとあやや(松浦亜弥)さんっぽいですね(笑)。
──アイドルっぽさはありますよね。キャラソンを歌うときと、タイアップの曲を歌うときってスイッチは変わったりしますか?
逢田:そうですね。タイアップといえど「逢田梨香子」として歌うので、そこがまた難しいところで。キャラソンはやっぱり「キャラクター」という信頼感のある存在があるから、そこまで迷いはないんです。自分として歌うとなると違いますね。それはアーティスト活動を始めた頃からの課題ではあるんですけど、「自分だったらどう歌うか」を考えながらいつもレコーディングしています。
──MVもすごくポップでしたね。
逢田:「やりすぎかな」とも思ったんです。でも「やりすぎぐらいがちょうどいいかな」って一生懸命やりました。個人名義だとダンスもそこまで踊らないので、ひとりで踊るのはドキドキでした。
──スクール・アイドル・グループAqoursとして活動もされていますけど、感覚は違いますか?
逢田:全然違いますね。当たり前なんですけど、ステージ上には私ひとりしかいないですし。でもどちらの活動にも活かせることはあるなと思います。日々、学びが多いですね。
──そして次が「銀河のエデン」。こちらは作詞を、やなぎなぎさん、作曲編曲をsumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司さんが担当しています。
逢田:すごくオシャレな楽曲ですね。タイトルは壮大でありつつ、メロディーは軽やかでポップなんです。タイトルだけ見たら、バラードをイメージする方もいるんじゃないかな。
──確かに。歌詞は、孤独な心情を描いている印象があります。
逢田:これは私が大枠を5行ぐらいのメモにまとめて、なぎさんにお渡ししたんです。それを膨らませてもらいました。本当に思っていた100倍濃い歌詞を書いてくださいました。
──そのメモにはどんなことを書いたんですか。
逢田:「宇宙でひとりきりの女の子がいて。でも、彼女はずっとひとりだったから、自分が孤独であることに気づいていなかった。そんな彼女が誰かと出会い、初めて自分は孤独だったんだと知る。そして、恋に落ちることで前向きな気持ちになっていく」──そんなテーマでした。
──そのイメージはどんなところから出てきたんですか?
逢田:これは自分が普段からメモしている、歌詞のテーマのストックから選んで書いていただいたものなんです。実はこのテーマを考えていた時期は、私自身が強く孤独を感じていた頃でした。「みんなが敵」のように思えていた時期もあって…。そんな心境が、このテーマに反映されているのかもしれません。
──かなりネガティヴな時期だったんですね。
逢田:そうですね。もともと自分はどちらかというとネガティヴ寄りで、陰の部分が強い人間なんです。でもそこから抜け出せずに、暗いことばかりを描いてもしょうがないじゃないですか。いくらでも暗くすることはできるけど、そこにとどまる必要もないなと。今回なぎさんにこのテーマで歌詞を書いていただいたことで、自分の持っていた陰の部分をしっかり表現しつつ、すごく前向きでポップな楽曲に仕上げてもらえました。あの頃抱いていた感情も、「無駄じゃなかったんだな」と思えたし、本当に嬉しかったです。