闇さえも見えなくなるくらいに明るく照らしたい
冬也:結構、歌詞を書くのは苦しんでたよね。
るいまる:そうだね。なんていうか僕は「自分が満足しちゃうと音楽人生が終わるんじゃないか」って思っちゃうんですよね。幸せになるよりちょっと不幸なくらいの方が、かっこよさを感じるというか。
――確かに、いろんなジャンルでも影がある人の方が魅力的には思えます。
るいまる:ビバラッシュって、影を持っている人からは「眩しすぎて近寄れない」って言われていたんです。でも自分は闇さえも見えなくなるくらいに明るく照らしてくれるような音楽が好きで。そういう明かりって実物であるのかなと思ってネットで調べたら、手術用のライトが出てきたんです。手術用のライトって人体の中が見えなくなると危ないから、影ができないんですよね。そんな明るさを持ったものがこの世に存在するなら、そういう音楽やバンドがあってもいいんじゃないかと思って。
――なるほど。
るいまる:ただ、自分も人生に満足しきってないところが絶対あるので、自分たちの曲を聴いていて明るすぎるなって思うときがあるんですよ。それでも、「光が当たってできる影の部分を理解した上で、明るさを書いていきたい」と、 “有頂天ラリアット”あたりから思うようになったんです。今回も歌詞を書いてるときに、「好き」っていう気持ちだけで突き進める底抜けの明るさを書こうと思いつつも、やっぱり「自分は幸せになっちゃいけない」っていう影のラインが攻めてきたので、そこに関してはめっちゃ苦しみました。
――そこが、いわゆるヴィジュアル系と違うところですよね。ヴィジュアル系はもともと影があるイメージのバンドが多いです。
るいまる:そうですね。影の中から光に向かって手を伸ばしているけれど、その光がどんどん見えなくなる、みたいな。ビバラッシュはその影を照らす光でありたいと思っているんです。
――テレビ埼玉「高校野球ダイジェスト 2024」EDテーマに起用された“シェキラBANG-BANG!!”の作曲は幸村さんですが、どうやってできた曲ですか。
幸村:テンポの遅い曲で乗れる曲を作ろうと思って着手しました。僕らは“アゲみ集団”を謳ってますけど、やっぱり光120%じゃなくて闇の部分はあるんですよね。そういう人としての負の感情も曲に入れていいんじゃないかなと思い、るいまるにも歌詞でヘイトをぶちまけてもらいました。その手段としてラップがいいなと思って。いちばんこだわった部分は、2サビが終わった後の、みんなで合唱するパートです。嫌いなやつに贈るレクイエムですね。

――「先生、さようなら。みなさん、さようなら。」の部分ですね。
幸村:そうです。この曲のアレンジはビバラッシュだけで完結していて、パーミーとふたりで試行錯誤して何とかレクイエム的なパートを入れることに成功しました。
るいまる:歌詞に関しては、幸村がヘイトっていう言葉をよく言っていたんですよ。楽曲自体が「泡沫さと煌びやかさ」が足されたようなメロディーなので、そこにヘイトが溜まった歌詞を投げ込むと、上から目線になりそうだなと思ったんです。デモの段階で幸村が、「Hey! Hey! sceneにオレらが参上 目の当たりにするmiseryな惨状verseでcheapな奴らに乾杯」っていう歌詞を持ってきてくれて、そこで自分の中での方向が見えました。日々頑張っているけど停滞している人や、一歩踏み出したいけど踏み出せない人に聴いてほしいです。
――『多数欠』のストーリーと連動した体験型ライヴ・ツアー〈SUMMER ONEMAN TOUR2024 EMPEROR x JUDGMENT〉が開催中ですね。スタートしてみていかがですか。
るいまる:コンセプト強め、文字要素多めの、情報量が多いライヴなので、どうなるか自分でもわからなかったんですけど、すごく楽しくまっすぐにライヴを進められていいます。
――では、ツアー・ファイナルにして初のホール公演となる9月29日(日)TOKYO FMホールへ向けて、それぞれ意気込みをお願いします。
パーミー:ツアー・ファイナルというゴールが良い意味で明確に見えていなくて、どういうライヴになっていくのかすごく楽しみです。健康第一で、メンバー誰ひとり欠けることなく最後までツアーを走り抜きたいなと思います。
冬也:今回のツアーは、例えば「報告権、撮影権」っていう企画自体にも、いま僕たちがお客さんに伝えたいこと、お客さんにこうあってほしい願いなどが含まれているんです。ツアー・ファイナルを迎えたときに、そういう想いが色濃く出せるように取り組んでいきたいです。それと、ツアー・ファイナルの会場がTOKYO FMホールになったのには、じつはちゃんと理由があるんです。これはぜひ楽しみにしていてください。
幸村:今回はいろんな施策が盛り込まれてるので、それをなるべくわかりやすくお客さんに提供できたらいいなと思ってます。それと、僕らはメジャーではもう超ウルトラスーパー新人なので、ファイナルでは音楽面でもスキル・アップしたビバラッシュを届けたいです。
るいまる:ツアーで生まれる熱やライヴの空気感を、お客さんとバンドで育てていきたいです。ツアー・ファイナルはもう本当に純粋に楽しんで欲しいですね。来てくれる人の背中を押して、「また明日からも元気に生きていこう」と思えるような、とびきりの明るさを届けたいなと思っております。
編集 : 石川幸穂
光と影の狭間でさまざまな“信じる”を描いた4曲
ライヴ情報
ビバラッシュ SUMMER ONEMAN TOUR 2024 〈EMPEROR × JUDGMENT〉
9月5日(木) 兵庫 太陽と虎
9月7日(土) 香川 高松DIME
9月14日(土) 大阪 阿部野ROCK TOWN
9月15日(日) 愛知 HOLIDAY NEXT NAGOYA
9月22日(日) 北海道 札幌 Crazy Monkey
9月23日(月・祝) 北海道 札幌 Crazy Monkey
9月29日(日) 東京 TOKYO FMホール -TOUR FINAL-
ビバラッシュの特集記事はこちらから
ビバラッシュのほかの作品はこちらから
PROFILE:ビバラッシュ
2016年、活動開始。自由をコンセプトに、ビバがスプラッシュするように、音楽の楽しさをオーディエンスに伝えていく。“アゲみ集団”という謳い文句通り、ユーモアたっぷりで華やかなムードのグループだが、パワーポップ調からEDM要素など、様々なエッセンスを持ち合わせ、予想を超えるサウンドとエンターテインメント性で聴く者の心を持ち上げる。ファンの愛称は「Dreamer」。
■公式HP:https://vivarush.jp/
■公式X:@vivar_official