“信じる”ことがテーマのシングル曲
――幸村さんはこういう派手なシンセが入った曲に、どんなギターを加えようと考えましたか。
幸村：基本的にうちはみんなギターが弾けるので、曲を制作した人間がそのまんまギターをつけることが多いんです。なので、”エンペラータイム”のギターはパーミーが考えたフレーズですね。この曲はドロップA(6弦を3音半、それ以外を2音半下げるチューニング）を使っている部分があって、いままでにない位に低い音になってます。自分はメタルを通ってきた人間なので、弾いていて気持ち良かったですね。
冬也：僕は普段4弦ベースを使ってるんですけど、今回は5弦ベースでレコーディングをしました。それと、みんなギターは弾けるけど、ベースに明るい人間はあんまりいないんです。だから、送られてきたフレーズがちょっと人間的に不可能な場合があったりするんですよね(笑)。”エンペラータイム”はそんなに難しいフレーズもなかったので、割とスムーズに弾けました。1番のサビ前ぐらいに、「ブーンッ」ってグリッサンドが入ってるんですけど、そこはしこたま録り直してます。パーミーにこだわりがあったみたいで(笑)。
パーミー：まあ、作曲者なんでね。自分の中の「ブーンッ」にどれだけ近づけるかっていうところにこだわりました。
――この曲のドラムはツイン・ペダルで叩いているんですか?
パーミー：そうです。自分で作っておきながら結構大変でした(笑)。曲を作るときは打ち込みで作るんですけど、自分の持っているスキルから一歩先の打ち込みを作っちゃうんですよね。「ヤバすぎ! 」ってなりながら実際にドラムで叩いているうちに叩けるようになっていたりします。そういう部分で今回もしっかり背伸びしつつ、生で叩いて良かったなと思うレコーディングでした。
――るいまるさんは、歌詞を書く上でどんなことを考えていたのでしょう。
るいまる：今回は「信じる」ことがシングル全体を通してのテーマなんです。中でも“エンペラータイム”は特に自分を信じる、他人を信じるという、「希望の光」を強く意識して書きました。それと、『多数欠』って考察する人たちが多いようなアニメだと思うので、アニメに出てくるキーワードを比喩表現で歌詞に閉じ込めています。
――楽器がすごく低音を出しているというのは、ヴォーカリストとしてはどうなんですか?
るいまる：ヴォーカルは、チューニングが下がると声を抜くためにキーが上がってきてしまうんです。この曲はメロディと歌詞が俊敏に動いている中、キーも割と高かったので歌うのがかなり大変でした(笑)。カラオケで歌ってもらうときに、女性にはちょうど良いキーかもしれないですけど、男性は「思ったより歌いづらいぞ!? 」ってなっちゃうかもしれないですね。
――”メン類が大好き” は、”エンペラータイム”と作詞作曲が同じコンビですが、同じ人たちが作ったとは思えない曲ですね(笑)。
るいまる：そうなんですよ。でも、こっちの方が得意分野じゃない?
パーミー：そうだね。ビバラッシュのふざけた感じというか、ちょけた感じは僕が作る曲が多いというか……。ふざけてないですよ? もちろん。
冬也：“遊び心”でしょ?
パーミー：そうそう(笑)。”エンペラータイム”はアニメのタイアップということで、縛りを設けた上で作った曲だったんですけど、”メン類が大好き”は何の縛りもなく、いまビバラッシュで奏でたい音をストレートにのせて作った曲です。
るいまる：こういう遊び心がある曲は、歌詞の中にちょっと “フィジカル・ラヴ“の要素をプラスさせると味が出てくるんですよ。Aメロの「情熱がほとばしる 思わず骨抜きにされた 魅惑の味」っていうところも、ちょっとフィジカル・ラヴを想像できるようなものを織り交ぜました。後半につれて麺類にイケメンも含まれているっていう部分にチェンジしていく展開です。
――“フィジカル・ラヴ“って初めて聞きました。
冬也：俺も初めて聞いた。
幸村：未共有の言葉ですね。
パーミー：いま、生み出されたんじゃないですかね。
るいまる：いや、記事になったときに「るいまる：肉体的な…」とかよりは「フィジカル・ラヴ」の方が良いかなって(笑)。やっぱり、プラトニックよりフィジカルの方が面白みが出るんですよね。
――冬也さん作曲の“キミが好きだ”についてはいかがですか。
冬也：僕はJ-POPが好きで、とにかく聴きやすい楽曲にするという前提で曲を作っているんです。面白さとわかりやすさって表裏一体だと思っていて、複雑にすると面白くはなるけど、覚えにくくなる。逆に、簡単にすると単調になるけど覚えやすくなる。ビバラッシュはいろんな構成が詰め込まれている楽曲が多いんですけど、今回は誰が聴いてもわかりやすく覚えやすく、口ずさめる曲をイメージしました。
るいまる：歌詞は恋愛のことを書いたんですが、恋愛における「信じる」ってちょっと難しいですよね。好きな人に対して、なぜかわからないけれど「この人じゃないと駄目だ」っていうのが、本当に純真な「好き」だと思うんです。その好きな理由をこの曲の中で探していくんだけれど、たどり着くところは結局、「君だから好きなんだ」ということ。本当に好きなものに対しての気持ちを書いた曲です。こういう前向きにいられるような歌詞は、もしかしたら初めて書いたかもしれないですね。
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