「モノを壊すと、スッキリする」
——ichigoさんは今作では他にも “entertainment punks”や“23時59分59秒”、“REWRIGHT THE WORLD”では作詞を担当されていますが、「愛」や「love」といった言葉が頻出するなと思ったのですが、どういうイメージで作詞をしていったんですか?
ichigo:そこまで意識してなかったんですけど、確かに言っているな(笑)。“entertainment punks”は「ライヴにおいでよ」ってことをイメージしています。そう思って読んだらわかると思うんですけど、とにかくライヴのことしか言っていない。ステージに立っている側からの情景ですね。ライヴで育てたい曲でもあるから、コール&レスポンスできるようにしましたし。今歌うとしたら、その瞬間、私から見えている景色とか思っていることをその場で伝わるといいなと思って書きましたね。
——ライヴでコール&レスポンスしている様子がありありと浮かぶような歌詞ですよね。
ichigo:私たちはMCでかっこつけられないので、MCで言うようなことを曲に詰め込みました。ライヴで気持ちが高まった私の気持ちを歌詞にしています。
——ライヴで気持ちが高まると、やはり愛情が芽生えてくる?
ichigo:そうですね。ライヴになるとやっぱり感情のやり取りになると思うので。だから愛してほしいし、みんなのことを愛しているよという意味ですね。
——“23時59分59秒”の歌詞はどういうイメージですか?
ichigo:人類の歴史を24時間に換算したとき、ネットが生まれて以降の現代は最後の1秒くらいなんです。それがタイトルの由来なんですけど、どうしても現代はネットが恋愛のツールになっているということと、実際に経験している恋愛感情を織り交ぜて書いた気がします。今の恋愛にはSNSとかが必須だよなという感じですね。

——“REWRIGHT THE WORLD”でも、「果てのない 愛さずにいられない日々」と言う歌詞が入っています。
ichigo:“REWRIGHT THE WORLD”は、元々ディズニーみたいな曲を作りたかったんですよね。
岸田:これは実は一悶着があったんですよ(笑)。
ichigo:そうそう元々はもう少しメロディーに寄り添った、ささやかな幸せを大事にするみたいなわりと個人的な愛の歌詞だったんですよ。「やっと見つけたこの愛」みたいな。そしたら岸田が「ichigoさんの個人的な心境の変化とかどうでもいい」ってごねだして(ここが一悶着)。心底失礼なやつだなと思ったんですけど、まあいいかと思って少しずつ拡げていったら最終的には「この思うようにならない世界ごと全部書き換えてしまいたい」的な人類的にわがままな歌詞になりました。規模がでかくなっちゃった。
岸田:でも規模感が大きいのって意外と大事で。人間は本質が同じでも程度が変われば話も変わってくることもあるじゃない。
ichigo:わかるわかる、私も大きい方が好き。
——なるほど。この曲は歌詞も「リライト」したわけですね。
ichigo:そうそう(笑)。この曲は歌詞ではなく、「この音が出したい」と思ってるから歌っているんです。私は「Hey you」が言いたかっただけかも(笑)。「Hey you」を言うためにはと言うことで歌詞を書いていったのかもしれない。
岸田:ichigoさんはそれができれば満足だよね。全曲の中でもいちばんシンプルだし。
ichigo:思う存分、強い声を出せれば良かった。
——終盤にかけてのアレンジも壮大で、アルバムの1つクライマックスのように思えました。
岸田:このアルバムは曲の配置が後ろにいくにしたがって明るくなっていくんです。“エイトビート・バーサーカー”から始まってどんどん浄化されていく。歌詞の内容もだんだん明るくなっていって、うじうじしなくなっています。で、最終的にスッキリして終わるんですよ。だからこのアルバムで伝えたいことは、「モノを壊すと、スッキリする」なんです(笑)。
ichigo:(笑)。

——アルバムのラストは壮大なバラード“旅路の果て”ですね。
岸田:最後は自分で壊したものを片付けてる感じです(笑)。
——楽曲はどういうイメージで書いたんですか?
岸田:もともとはやぴ〜さんから、感動的でみんなが一体感が得られるような曲がなさすぎるとクレームが入りまして。だから珍しく書いてみました。歌詞も、自分の薄い部分を一生懸命書いたので大変だったんですけど、薄いなりに存在していたみたいで良かったです。
——素敵な歌詞だと思いますよ。
岸田:でも、薄くないですか(笑)? 内容の良し悪しではなく、若干自我が薄いというか。
——そんなことないですよ(笑)。
岸田:魂の薄さがどうしても目立つね。人生でいいことした経験がなさすぎて、いいことする精神性が整っていない。
ichigo:怒ってるというか、イライラしている方が生き生きしているもんね。
岸田:そうそう(笑)。昔はやぴ〜さんの作業量が増えたときに、「こんないっぱい仕事するんだったら俺が幸せになるだけじゃなくて、誰かが不幸にならないと許せん! 」って言ってて、めっちゃ共感したんだよね。
ichigo:ふたりともすごく性格が悪い。
岸田:まあそんなこと言うやつとは距離考えた方がいいよね。
——(笑)。10月からはツアーが始まりますが、どういうライヴになりそうですか?
岸田:どんなツアーかという前に、皆さんに伝えたいのは、「人が入んなかったらマジでやばいのでお願いだから人来てください」ですね。ツアーに行ってお客さんがたくさんいる光景を見るまで、ずっとぴえんする準備できています。最近ライヴ内容自体はいい感じなので、いっぱい人来てほしい!
ichigo:一生懸命頑張ります!

編集 : 西田健、草鹿立
超アグレッシヴなロック・アルバム!!
昨年のツアーのライヴ音源!!
LIVE INFORMATION
岸田教団&THE明星ロケッツONE MAN LIVE TOUR2024
2024年10月26日(土)神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI
開場 17:30 / 開演 18:00
2024年10月27日(日) 神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI
開場 16:30 / 開演 17:00
2024年11月2日(土) 大阪・ESAKA MUSE
開場 17:30 / 開演 18:00
2024年11月16日(土)福岡・LIVE HOUSE OP’s
開場 17:30 / 開演 18:00
2024年11月29日(金)東京・Veats Shibuya
開場 18:15 / 開演 19:00
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岸田教団&THE明星ロケッツ ディスコグラフィー
PROFILE:岸田教団&THE明星ロケッツ

岸田教団&THE明星ロケッツとは、2007年、東方アレンジサークルとして同人活動していたリーダー岸田の呼びかけにより軽い気持ちで結成。ライブ一度限りで解散するはずだったがなぜか今日に至る。
2010年にTVアニメ「学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の主題歌「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」でメジャーデビュー。同人活動と並行しながら、その後も「ストライク・ザ・ブラッド」「GATE(ゲート)自衛隊、彼の地にて斯く戦えり」「とある科 学の超電磁砲T」など多くのアニメ主題歌を担当。
2021年にはこれまで担当したアニメ主題歌を集めたベストアルバム「異世界転生したらベストアルバムでした。」、2022年にはTVアニメ「転生したら剣でした」オープニングテーマ「転生したら剣でした」をリリースするなど、積極的なリリース活動を行う傍ら、多くのフェス・イベント、ならびにワンマンライブも行う。
2024年6月、約5年半ぶりのオリジナルフルアルバム「BERSERKERS」をリリース!
YouTube
https://www.youtube.com/c/kisidakyoudan