猿川の気持ちが出ているときなので、綺麗に歌うべきじゃない
——なるほど。4月24日にはセカンド・アルバム『カリスマジャンボリー』がリリースされます。橋詰さんが演じている天堂天彦のソロ曲“ムンラホルマオ”は前作“VIVA LA LIBERATION”のテイストを引き継ぎつつも、進化を見せるような曲という印象を受けました。
橋詰:セクシー説法というか、「ボボンガリンガ」(“VIVA LA LIBERATION”の通称)も“ムンラホルマオ”も根本的には「人間讃歌」で言っていることが変わらないと思うんですよ。でもその説き方が変わったというか。“ムンラホルマオ”は相手の脳内に侵食する感じで、天彦の生き方を直接相手にお届けしますという形ですね。そのまま幸せホルモンを分泌させておくれっていう。
細田:やばいものも分泌されそうですけど(笑)。
橋詰:そりゃあテクノブレイクだから(笑)。でもあれは「テクノブレイク」ではなくて、「テイク・ノー・ブレイク」らしいです。
——「テイク・ノー・ブレイク」とは…どういう意味ですか…?
橋詰:そこを突っつかれても、僕には分かりません(笑)。
——そうなんですね(笑)。レコーディング段階でのディレクションはありましたか?
橋詰:「ボボンガリンガ」がありがたいことにバズったので、その後のプレッシャーがあったわけですよ。でも“ムンラホルマオ”が素晴らしくて、歌う側としてはプレッシャーもあったんです。前作をなんとか超えたいなという思いがあって、この曲を生かすも殺すも自分の歌い方次第なような気がしたので、天彦らしさを作り込んで臨みましたね。歌い方も「ボボンガリンガ」よりも低音に寄っているんですよ。だから低音の部分が安定して出せるように調整を施して、レコーディングに入りました。
——調整できるのはさすがですね。
橋詰:天彦が歌うときは、セクシーの度合いを何種類か用意しないといけないんですよね。「ここはセクシー強めに」とか「ちょっと抜いてみるか」とかセクシーの抜き差しが存在するんです。セクシーの度合いの調整によって曲の良さを引き立たせているので、そこは真剣に考えましたね。

——たしかに、セクシーさの度合いを真剣に考えるというのは、天彦らしさにも繋がってくるなと。細田さんが演じている猿川慧のソロ楽曲“ツッパれ!生涯反発”はどうですか?
細田:最初のブレイク曲や全員曲は、ラップやポエトリーっぽいのでメロが少ないんですよ。でも“ツッパれ!生涯反発”はずっと歌っているので、仮歌の段階で驚きました。内容もタイトル通り、僕たちの世代よりもかなり前のヤンキー文化なんですけど、猿川にすごく合っているなと。故郷との訣別というストーリーにも合っていると思いますし。今までの楽曲のダウナーなラップから、歌い上げるようになったので魂をぶつける感じがしますね。
橋詰:わかる。最初から突っ走ってるよね。突っ走り加減がサビでまた上がるし。
細田:猿川の気持ちが出ているし、台詞だと言わないような本心が少し伝わるような曲ですね。1個先の猿川が出ている曲だと感じたので、気持ちでぶつかりました。

——確かに魂こもっていないと伝わらない楽曲ですよね。
細田:完パケ聴いて思ったのが、ずっとガザガザしているなって思ったんですよ。でも猿川の気持ちが出ているときなので、綺麗に歌うべきじゃないよなとは思います。よく「あの声で歌うの大変じゃない?」って聞かれるんですけど、僕からしたらこの曲を歌うとなったらああ歌うしかないんですよね。だから全然大変じゃなかったし、うまく気持ちを乗っけられたと思います。
——アルバムには様々な楽曲が収録されていますが、他の曲で気になるものはありますか?
橋詰:“MAGICAL秩序☆リカピュア!”ですかね。歌い出しから、理解お兄さんの色気があるんですよ。
細田:理解さんはあんなにお堅いのに、可愛いですよね。
橋詰:可愛いし、吐息混じりのパートもあったりして、歌い方にバリエーションがあるなと。歌い方を聴くと引き出しの多さに驚かされますね。素晴らしいです。
——細田さんが気になるブレイク曲はなんですか?
細田:本橋依央利の“独り奉死”ですね。この曲に限らず前々から思っていましたけど、福原(かつみ)さんがマジで歌うまい。歌い方の技術が半端じゃないって改めて思わされましたね。妖艶。
橋詰:あそこまで息を残せる楽曲は本当に上手くないとできないからね。
細田:楽曲としていいのはもちろんですけど、 依央利が歌うからいいんだなと思いました。
橋詰:それぞれのブレイク曲は、他の人が歌ったらやっぱり違うなって思いますよ。その人専用ですよね。
細田:たしかに。いろんなブレイクのパターンがありますけど、それこそ大瀬なんかは、前回と180度違う楽曲なのに、どっちも大瀬の色がすごく出てるんですよ。
橋詰:あなたも変わったよね。ラップから80sロックンロールになったもん。
細田:楽曲の種類がここまで多岐にわたる作品もなかなかないんじゃないかなと思います。
橋詰:1つのアルバムに入っているとは思えないですからね(笑)。

——そうですよね(笑)。個人的にはテラさんの“夢の国で”も好きでした。
橋詰:僕も大好きです。歌わないのに自然と口ずさんでました。しかも1人で歌っているのに、デュエットになっているという(笑)。ソロ歌唱にも関わらずちゃんとデュエットとして成立しているのは、元気さんだからできるテクニックなのかなと思いますね。
——1人でデュエットしているわけですもんね。今作はみなさんが楽曲に入り混んでいるのもいいですね。
細田:そうなんですよ。他のメンバーの合いの手や掛け声が入っているのがまた新しいです。