戦争が起きたときに「戦争反対」と言えなかった自分を一生引きずると思います
──そういえば、この間のインスタライヴで『The answer to the trip』のことと、ウクライナについても言及していましたよね。みんなで「戦争反対って言おうよ」と。
Sunday : みんな自分の言葉で「戦争反対」と言えないけど、誰かが言ったらイイねとかリツイートをする。それはそれで良いんですけど、化学的には、こういう戦争が起きたときは、いかにひとりひとりが「戦争反対」を表明するかによって、その後が大きく変わってくると。

──ひとりひとりの意見が世界を動かすという。
Sunday : 当事者じゃない僕たちが出来ることは、募金もそうですけど、まずは「戦争反対」を自分が持っているSNSのアカウントで発信することだと思うんですよね。いまは、Twitterやインスタでどんな言葉がトレンドになっているか可視化できる時代じゃないですか。分かりやすく反戦のポリシーを見せられるときなのに、自分の言葉ではなかなか言えない。迷っている人もいる。そういう気持ちも分かりますけど、ここは改めて言おうじゃないかと。別に歴史を知っていようがいまいが、これに関する答えは「戦争反対」しかないから。「ロシアとウクライナのことを知らないし、戦争の知識もないからなにも言える立場じゃございません」みたいな人も、ロシア、ソ連、ロシア革命とか勉強している人でも答えは一緒。だからこそ「自分達のためにも、絶対に声を上げてほしい」とインスタライヴで言ったんです。だけど言えないんですよね。それって、自分が少しでも誰かに攻撃されないように気を遣いながら生きているからだと思うんです。だけど「戦争反対」に関しては、どれだけ有名な人でも無名な人でも同じひとりの意見なので。とにかく、どれだけの人が声を上げているかが重要なんですよ。だから自分の意見は言っていくべき。で、先ほども言った通り『MCサマー』によってこのアルバムもできているんですけど──。
──はいはい。(なんで『MCサマー』の話をしているんだろう?)。
Sunday : シンガーソングダンサーという肩書きで全米デビューしても、CDが860枚しか売れなかった女の子がいる。人間ってそういうことなんですよ。
──え? ん?
Sunday : 恥ずかしいことはいっぱいある。恥ずかしさがあるからこそ、人生が好転することもある。恥ずかしい気持ちを、もっとポジティブに捉えてほしいというか。恥ずかしさから人生がはじまることも多いわけじゃないですか。それが『MCサマー』の作風なんですよね。そういうのを今回のアルバムもそうですけど、インタビューでも発信したいなと思っているんです。……それにしても860枚ってね。
──絶妙な数字ですよね。
Sunday : いまならフィジカルが860枚でも、ストリーミングが伸びたらいいけど、この小説は昔の話なので860枚は辛いですよね。売れなければ周りの大人も離れてしまうんですよ。それってアーティストあるあるじゃないですか。ある一時はチヤホヤされて、だけど結果が出なくて、そこから本当に自分は音楽がしたいのか、自分が歌う意味を改めて見つめ直す。そこが人生の一番おもしろいところで。現に20代のときは「Sundayさん、プロデューサーになりませんか?」とか「東京でマンションを借りられるので住みませんか?」と甘い誘いもたくさんあった。20代はある意味、センスだけで色んないい話も舞い込んでくるし、自分の音楽をやっていけると思うんです。それが徐々に結果が出なくなって、周りの人たちもそれなりに離れていく状況のなか、自分が音楽を続けられるかどうかの戦いがある。それがアーティストとしての見所というか。いまでもある程度の知名度がある方々って、それの連続だと思うんです。人生の恥ずかしさをいっぱい経験しているし、これからも経験すると思うし、誰もが結構恥ずかしい経験をしながらそれでもステージで「盛り上がって行こうぜー!」とか言ってるんです。
──あの呼び掛けって、冷静に考えたらおもしろいですよね。
Sunday : そうやんな。だからこそ「戦争反対」と言うことが恥ずかしいわけないし、言うことを躊躇するのはめちゃくちゃ勿体無い。むしろ戦争が起きたときに「戦争反対」と言えなかった自分を一生引きずると思います。そうなってほしくないのもあって、僕は呼びかけているんです。ただ、国と国の話なので民間人ひとりではなにもできないけど、声を上げたかどうかは将来の自分に関わってくる。『MCサマー』と『The answer to the trip』を合わせて読んで・聴いて人生の在り方のヒントになったら嬉しいです。……めっちゃまとまったね、いま!

編集:梶野有希
Wonderful Orchestra Bandの初作をお見逃しなく!
LIVE INFORMATION
「The answer to the trip」Release Party!!!
日時:3/26(土) | OPEN16:30 START17:00
場所:大阪/梅田シャングリラ
日時4/28(木) | OPEN 18:30 START 19:00
場所:東京/渋谷La.mama
出演メンバー
Sundayカミデ(Piano)
番⻑(Drum)
林未来彦(Sax,Flute)
アツムワンダフル(Guitar)
ニーハオ(Bass)
岩井ロングセラー(Organ,Synthesizer)
増谷紗絵香(Keyboard
永野雄己(Trumpet)
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PROFILE : Sundayカミデ
OSAKAUNDERGROUNDのPOPMAKERでありワンダフルボーイズのボーカル。 21世紀の名曲「君が誰かの彼女になりくさっても」の作詞作曲としても知られ、様々なアーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュースも手掛ける。 また、ラジオ、トークライブ番組でのMCや自らのエピソードをまとめたエッセイ集を出すなど活動の幅は多岐に渡る。 2000年、自らオーガナイズするイベント、Love sofaをスタート。 BRAZIL JAZZBAND、A.S.Pを結成しウッドベースを担当。
2013年、奇妙礼太郎と天才バンド、TENSAIBANDIIを結成。作曲家、ピアニストとして5年間活動し3枚の名盤と、ライブにおける数々の衝動をオーディエンスの記憶に残す。
2018年、やついいちろうとユニット、ライトガールズを結成。ゲストを多数迎えた1stAL「円山町ロマンチック通り」をリリース。2019年、ワンダフルボーイズとしてメジャーデビューAlbum「We are all」をリリース。2020年3月18日、ソロデビューシングル「僕の才能」をデジタルリリース。人生4度目となるメジャーデビューを果たす。今年で22周年となるLove sofa、次回は4/24大阪CONPASSにて開催を予定している。
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