INTERVIEW : 塩見きら

──塩見さんのファンって、どういう人が多いですか?
塩見 : みんな優しいですね。理解してくれたり共感してくれる方がすごく多い。私は、普通の素人から神宿に入ったので、そこに親近感を抱いてくださる方が結構いて。苦しいことも辛いことも私は発信するようにしてるから、それに対して「わかるよ」と言ってくれます。あとは……私と同じく人前だと元気なんだけど、家ではひとりで悩んでいるタイプが多い印象ですね。
──ファンの方は塩見さんのことをどう見てると思います?
塩見 : 本当は弱い子に見えてると思います。私が辛いときには結構気を遣ってくれて「“辛そうだね”と伝えたら失礼かなと思って言わなかったけど、本当は気づいてたよ」と言われることがあります。すごいですよね!そこまで!?みたいな。私の場合、辛いときに「大丈夫?しんどいなら休みなよ」と言われるのは逆に辛くなったりするんですよ。そんな私の人間性をよく見てくれているなと思う。そういう人の気持ちを考えられるような、心の優しい方が多いです。
──それは特定の誰かじゃなくて、みんながそういう感じなんですか?
塩見 : そうなんですよ。私の性格上「頑張ってね」とか「しんどいよね」という言葉が重荷になることを理解してくれているし、キツくてもつい頑張っちゃうタイプだってことも分かってくれていますね。
──ファンの方と似てるなと思うのはどんなところですか?
塩見 : お互いに笑顔でいなきゃと思ってる人が多い気がする。だからこそ心からの笑顔を引き出してあげたいと思うし、私もファンの方に笑顔を引き出してもらっていると思うから、そこは似てるのかなって。
──お互いに内面を理解し合えているのが良いですね。
塩見 : そうですね。そうは言っても喧嘩することもあるんですよ。「なんで、そんなこと言うの!?そんなことを言ったら傷つくって分からないの?」って。「だけど、僕もそれは傷ついた」と言われて「それはごめんね」「こちらこそ、しおみぃごめん」って。側から見たら、友達!?みたいな感じなんですよ。緑舁夫は私のことを分かってくれてるし、私も分かっているつもりだから「実は、胃腸炎になって辛かったんだよね」みたいな話をしたら「分かってたよ」という、ついついリアルな会話になります。
──最近は自宅でお酒を飲みながらの配信をされてますけど、あれもかなりコアな感じが出てますよ。
塩見 : アハハハ!見ないでください!
──外側よりも内側に向いたトークで、それが良かったですね。
塩見 : YouTubeには何万人のチャンネル登録者がいるけど、実際にライヴへ足を運んでくださるのはその中の一握りじゃないですか。だから外に向けたトークでもいいのかもしれないけど「今度ぴあアリーナMMでライヴをするので、それについて話をさせてください」と言っても、いつもライヴに来てくださる方は知ってるし、外向きすぎてつまらないんじゃないかなって。私自身、ネットに生息する民だから、ラフな感じが好きなんですよ。だから「ふざけんな!」というコメントが来ても落ち込まないし、「ふざけんなって言うなよ!」みたいな掛け合いができるのって嬉しいんです。私は、プライベートで友達がいないから、みんなと友達感覚で話している感じですね(照笑)。
──ちなみにネット上でファンの方から言われて嬉しかったことは?
塩見 : 「おもしろい」と言われたら嬉しいですね。楽しませようと頑張ってるから「おもしろい!」「楽しい!」と言われたら嬉しい!
──どういうところをおもしろいと言われるんですか?
塩見 : アイドルっぽくないんですかね(笑)。「そんなことをアイドルが言っちゃうんだ」みたいなことを口にしちゃうとか。それこそ昨日の配信で話していたのが、オタク=デブというのが世間一般の認識という話になって。私は「デブの方がいいよ!ライヴにガリガリの1000人が集まるよりも、デブの1000人が集まった方が会場がパンパンに見えるから、みんなも太った方がいい!」という話をして(笑)。
──密度がね(笑)。
塩見 : そうそう! 客席がパンパンに埋まって見える方が嬉しいから、みんなもデブになった方がいいよって。……まあ、冗談なんですよ。本当は痩せた方が良いんですけど、そういう話をしたら「オタクをデブって言うな!」みたいなどうでも良い会話をして楽しんでます。
──だいぶ肩の力を抜いて話してますよね。
塩見 : みんなで居酒屋にいる感覚。ステージ上はそうじゃないけど、配信は自宅でやってるし、それくらいのフランクな感じが合っているのかなと思います。
──ライヴ中にファンの方から言われて嬉しかったことってなんですか?
塩見 : 自分に自信がないから、パフォーマンスを褒められるとすごい喜んじゃいます(笑)。
──特典会中はどうですか。
塩見 : 普段は「今日もかわいいね」と陽気に話してくれる人が「あのさ……」と珍しく深刻な顔を浮かべて「心の底から神宿に支えられているんだ」と真剣な話をされると、ジーンときてふたりで泣きながら話すことがある。それと私は、自分の言いたいことをバババって話しちゃうんです。だからファンの方が話したいことを言えずに、時間が来ちゃうことがありますね。
──珍しいですけどね。本来アイドルは受け側じゃないですか。
塩見 : それは甘えじゃないですか。だってお金を払ってきてくれているわけだから、こっちが喜ばせなきゃいけないと思う(笑)。
──逆に、ファンの言葉で悩んだり考えを改めたことってありますか?
塩見 : みんなに平等って大事だと思うけど、私はアイドルとオタクじゃなくて人と人だと思っているから、よくライヴに来てくれる方とは人間関係が構築されていくし、初めての人はゼロからの構築だから、そこに差が生まれちゃうのは当然だなって思う。だけど「みんなに平等な対応をしてほしい」と言われたり「あの人のことは贔屓してるよね」と言われたりすると、落ち込むというか。
──それは難しいですよね。
塩見 : そういうつもりはないけど、誰かが傷ついているとすごい辛くなるんです。どうやったら皆が喜んでくれるかな?全員が幸せになる方法は?とか考えるけど、全員が100%の喜ぶを分かち合うのって難しいと思うんです。誰かが100で喜んでいたら、誰かが落ち込むこともあるだろうし。そこに向き合い続けると自分がパンクするなと思いつつ、みんなが喜んでくれたら嬉しいなと思いますね。
──全員に同じ対応ができないのは、当たり前だと思いますけどね。
塩見 : 私もアイドルオタクだったから気持ちは分かるんですよ。前の人は楽しそうに話していたのに、自分は全然喋れなかったと凹むし。やっぱり他人と比較しちゃうのって、普通に生活していてもそうだし、そこは人間共通の悩みかなと思うから。その悩みを一緒に向き合う方法を考えてますけど……難しいですね。
──ファンのおかげで変われたのは、どんなところですか?
塩見 : 笑顔が増えました。アハハハ、そうなんです。みんな笑わせてくれるんですよ。あとはイチ大学生として生きていたとき、本当にバイトが嫌すぎて「今日は行きたくないな」と思ってズル休みをしていたんですよ。だけど神宿は本当に楽しい。言ってしまえば、これもお仕事じゃないですか?仕事なのに楽しくて良いのかなって思う。それはファンの方が優しいおかげだと思います。
──何のバイトをしてたんですか?
塩見 : カフェと事故の受付(笑)。
──事故の受付?
塩見 : 車の事故があったときに電話を受け取る仕事してました。「お電話ありがとうございます。●●●●●●の〜」と言って。
──へえ!で、どっちも働くのが億劫だったんですか。
塩見 : めっちゃ嫌でした。事故の受付はバイト代が良いから、頑張ってはいたんですけど働くのはすごい嫌だった。周りが早慶ばっかりだったんですよ。学歴ですごいマウントとってくるから、それが本当に嫌でズル休みしてましたね。
──同じ仕事でもアイドルの方は、自分が休んだら代わりがいないし、待ってくれているファンがいますからね。
塩見 : そう!だから神宿の活動を仕事と言うのは嫌なんです。マネージャーさんに「明日の仕事何時でしたっけ?」と聞くのも嫌で、「明日って何時でしたっけ?」と言います。ファンの前で“仕事”というワードも使いたくない。だって私もアイドルが好きだったから、推しが“仕事”と言うのは寂しいし、ファンからすれば休みの日の癒しじゃないですか。それを仕事と言われたら嫌だなと思うから気をつけてますね。
──そんな塩見さんがファンの皆さんに伝えたいことってなんですか。
塩見 : さっき緑舁夫さんに手紙を書いていたんですけど、「ありがとう」という言葉がいっぱい出てきたんです。ありきたりですけど、舁夫さんからもらってばっかりだなと思うんですよ。で、私は「もらってばかりで、何も返せてないのが申し訳ない」と言ったら、みんなは「塩見のおかげで元気になれるんだよ」と絶対に言ってくれるんですよ。それを聞くと甘やかされてるな思うんです。
──甘やかされてる?
塩見 : 仕事の話に戻りますけど、普通の社会人だったら甘やかされないじゃないですか。だってご飯を食べてるだけで「偉いね!」と言われるんですよ。おかしな話ですよ。だけど、この環境を当たり前だと思っちゃいけないなって。私がオーディションを受けたときって、過去に嫌な思いをさせられた誰かを見返したい気持ちとか、こんなつまらない日常は嫌だから変わりたいとか、そういう負の感情から湧き起こった衝動だったんです。だけどいまは、ハッピーな感情で動かされている方が多いから、それはすごく変わったなと思うし、みんなが変えてくれたと思う。「今日も可愛かった」「今日も最高だった」とか、プラスの言葉ばかりを投げかけてくれるから、その気持ちに応えたいと思う幸せな感情が芽生えたのは自分の人生では考えられなかったことなんです。私は他人の目をすごく気にしちゃうし、自分がどう思われているのか?どうしたら好かれるのか?ばかりを気にしていたのが、誰かのためにと思えるようになったのは変わったところだと思います。
──塩見さんにとってファンはどういう存在ですか。
塩見 : 友達という言葉で片付けたくないし、好きな人という言い方もしたくないし、何か形式張った言葉で表すのは難しいですね。言った通り、私が辛いときに支えてくれる存在だし、みんなが辛いときには支えたいと思うし。……愛って、相手を思いやる気持ちだと思うんですよ。私はずっとみんなのことを思っているし、誰かが辛かったり嫌な気持ちになっていたら、その人に対してどうしてあげれば良いだろうと考える。逆に、みんなも私のことを考えてくれていると思うから、これこそが愛なんだなって思いますね。
──最後に、目指しているアイドル像はなんですか?
塩見 : 人として成長したいですね。他人と比べないとか、心に余裕を持つとか、誰かのために動けるとか、そういう人間として成長していきたいです。
編集: 西田健
(次回、メンバー全員インタヴューで彼女たちの想いを探ります。)
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PROFILE

2014年9月結成。原宿発の5人組アイドル・ユニット。〈UUUM〉所属。メンバーは一ノ瀬みか(赤)、羽島めい(青)、羽島みき(黄)、塩見きら(緑)、小山ひな(ピンク)。グループ名の「神宿」は「神宮前」と「原宿」を合わせたもの。神宿(KMYD)の頭文字 K=KAWAII(可愛い! )M=MAX(全力! )Y=YELL(応援! )D=DREAM(夢! )を届けるために原宿を拠点に活動している。
【INFO】
■神宿 オフィシャルHP:
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