INTERVIEW : ユッコ・ミラー , H ZETTRIO

今回のアルバム『LINK』が初コラボとなるユッコ・ミラーとH ZETTRIO。ともに楽曲制作、ライヴ活動のみならず、地上波テレビ番組やYouTubeでのカバー曲演奏などでもインストゥルメンタルの面白さ、音楽の楽しさを世の中に届けているアーティストだ。また、全員イメージカラーを個性のひとつとしている共通点もある。ユッコ・ミラーにとって憧れの存在だったというH ZETTRIOとのコラボはどのようにして実現したのか?さらに“脳内ChatGPT”も駆使して生み出した(?)という収録曲について、4人に話を訊いた。
インタヴュー・文:岡本貴之
写真:大橋祐希
一緒にやってくれたりしないかなと思って、自分で直接メールしました
――今回のコラボは、ユッコさん側からのオファーで実現したそうですね。
ユッコ・ミラー(Sax):そうなんです。私は高校生のときに吹奏楽部に入ってからサックスをやってるんですけど、そのときにH ZETTRIOさんの前身バンドのPE'Zの大ファンだったんですよ。もう本当に、高校時代は一番PE'Zを聴いていたと思います。それぐらいめっちゃファンだったんです。
H ZETTRIO:ありがとうございます。
ユッコ:私は自分のアルバムを毎年出してるんですけど、「今年はどんなアルバムを出そうかな」って思ったときに、またPE'Zのアルバムを聴いたんですよ。そしたらやっぱりめっちゃかっこよくて。H ZETTRIOさんの音楽もすごくかっこよくてキャッチーで、おしゃれな感じもするところがめっちゃ好きです。それで、「何か奇跡が起きて、H ZETTRIOさんが一緒にやってくれたりしないかな」と思って、ネットでH ZETTRIOさんの事務所とかを調べて、自分から直接メールをしたんですよ。
――それまでとくに面識はなかったわけですね。
H ZETT M(Pf):そうですね、なかったです。ただ、お話をいただいたときは、「是非やりましょう」と二つ返事でお受けしました。ユッコさんを初めて観たのは、テラス・マーティンのライヴをBillboard Live Tokyoに観に行ったときなんです(2017年9月)。テラス・マーティンは、ケンドリック・ラマーのアルバム『To Pimp A Butterfly』をプロデュースをしているんですけど、サンダーキャットのベースとかロナルド・ブルーナーJr.のドラムとか、本当にめちゃくちゃカッコいいアルバムなんですよ。その作品をプロデュースしてる人のライヴか、と思って観に行ったら、(ユッコが)出てきたんです。
ユッコ:あはははは(笑)。飛び入りで即興演奏したんです。そのときにメンバーのみなさん3人お揃いでいらっしゃっていて。そのときは全然面識もなかったですし、いらっしゃることも知らなかったので、観られているとは思わなかったです。まさかそれが今回のコラボに繋がるとは思わなかったですね。
H ZETT NIRE(Ba):そのときに、ものすごく強力な印象を受けたので、今回のお話をいただいたときに、「あ、テラス・マーティンのライヴでサックスを吹いてた方だな」っていうのはすぐにわかりました。ライヴの最後の方に出てきたんですけど、とても堂々としていて、すごいなって思いました。
――洋楽アーティストのライヴに、日本人アーティストが飛び入りで演奏するっていうことはなかなかないですよね。
NIRE:そうですよね。自分は結構、Billboard Live Tokyoとかにライヴを観に行くんですけど、そういうシーンを多分初めて観たと思います。
ユッコ:でも私、そのときの記憶が全然ないんですよ(笑)。出たことは覚えてるんですけど、急に決まったことだったので何をやったのかとか全然覚えていなくて。
――そういう飛び入りというのは、それまでもご経験があったんですか?
ユッコ:はい、キャンディー・ダルファーさんの東京公演に飛び入りゲストで出させて頂いたりとか、そういうことが多いですね。テラス・マーティンさんのライヴも普通に観に行ったんですけど、休憩時間のときに知り合いのスタッフさんがいて、楽屋に連れて行ってくれたんですよ。そのときに「サックス奏者です」って挨拶したら、「じゃあ次のステージに出てよ!」みたいな感じになったんです。
――演奏するつもりで行ったわけじゃないんですよね。サックスはどうしたんですか?
ユッコ:奇跡が起きるかなと思って、サックスは持って行きました(笑)。
H ZETTRIO:ははははは(笑)。
M:サックスをケースから出して?
ユッコ:いや、挨拶したときは出してないです(笑)。
H ZETT KOU(Dr):そりゃ出してないでしょ、普通(笑)。でも本当にライヴでは演奏も堂々としていて、テラス・マーティンのライヴじゃなくてユッコさんのライヴだったのかなっていうぐらいの印象がありました。実際に今回一緒にやることになったわけですけど、自分たちは鼻に色がついていて、ユッコさんもイメージカラーがピンクじゃないですか?そこに何かシンパシーを感じました。
ユッコ:ありがとうございます。実際に作品が出来上がって、もうすごい宝物になりました。


――ユッコさんとH ZETT Mさんで5曲づつ作曲していますが、それは最初に決めていたんですか。
ユッコ:まさか曲を作ってくださるとは思っていなかったんですけど、「どんなふうにしましょう?」みたいな感じでメールでやり取りをしながら、最終的に5曲ずつにしましょうって決まりました。それで、Mさんと一度打ち合わせをさせていただいたときに、「アルバムのカラーとしてはH ZETTRIO っていう感じのサウンドにしたいです」ってお伝えしたら、アレンジを全部してくださることになったんです。
――アルバム自体のテーマというのは、何か考えましたか?
M:何かありましたっけ?
ユッコ:ないです、ないです。
M::まったくないですね(笑)。
ユッコ:タイトルの『LINK』も、後から「これLINKだわ!」って思ってつけました(笑)。わりとそのまんまですね。H ZETTRIOさんの魅力が出るような作品にしたいなと思いました。

