Gorillaz 『Cracker Island』
ラッセル・ホブス役のレミ・カバカ・Jr.に加えて、グラミー賞受賞経歴を持つヒットメイカー、グレッグ・カースティンがプロデューサーに迎えた3年ぶりのスタジオ・アルバム。アフロビーツやダブなどのダンサブルなビートを全体的にあしらった今作は、ゴリラズ史上最もポップでキャッチーな仕上がりに。捏造された真実に侵されるカルト集団への皮肉や警告と、真実を追い求めて新世界へ旅立つという意思表明であるシリアスなメッセージ性をきちんと感じさせながらも、無条件でエンジョイできる間口の広さがある。タイトルトラックにして至高のファンク・ポップをともに作り上げたサンダーキャットやグレッグを介して邂逅したというスティーヴィー・ニックスをはじめ、今回もゴリラズだからこそ実現する豪華コラボレーションが目白押し。
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Tanukichan 『GIZMO』
トロ・イ・モワことチャズ・ベアーが手塩にかけるニュージーランドのSSW、ハンナ・ヴァン・ルーンことTanukichan。ファーストから5年の歳月を経てリリースされた新作アルバムは、前作同様にチャズが共同プロデュースとして参加しており、期待を裏切らないノイジーでノスタルジックなロック・サウンドを全面的に鳴らしている。もこもこと音が籠るローファイ感もまた、時代と逆行した魅力となり胸をときめかせる。マイ・ブラッディ・バレンタインのビリンダ・ブッチャーを彷彿とするハンナの無表情な歌声と深く歪むディストーション・ギターの交わりは、オルタナ~シューゲイズ好きに嵌らないわけがない。そういう人にとっては目新しさよりも安心感が勝る、エヴァーグリーンな音楽といえるだろう。
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King Krule 「Seaforth」
キング・クルールことアーチー・マーシャルは、つい先日新作アルバム『Space Heavy』を6月にリリースすると発表。それに伴い先行公開されたこの新曲は、深い悲しみやフラストレーション、怒りといった負の感情に染め上げられたこれまでの創作とは少し異なり、穏やかに愛を見つめているような温かな空気が漂う。独り言と歌唱の間にある憂いを帯びたアーチ―の歌声と素朴なメロディが、心地良さと涙を誘う。たとえば彼の敬愛するチャールズ・ブコウスキーが綴る詩や小説には、破天荒で傍若無人な振舞いのなかに人間への優しさがある。これまでのキャリアで追及してきた芸術性を高めたという新作アルバムのなかで、この曲はアーチ―の中にある優しさにダイレクトに触れることができる一曲となるのではないだろうか。