まずは「「一度でもダメなレッテルを貼られたら、もうあかんくなんねん」からはじまった
──高校で不登校になったのは、いままで頑張っていたのがパンと弾けた感じですか。
谷口;高校1年生のときはめっちゃ頑張っていたと思うんですよ。
──ちゃんと通おうと思ってた。
谷口:だったんですけど、ある日突然「今日は行かんとこう」と思って。それは15、16歳特有の気分だったと思うんですよ。それで行かないことにしたら「めっちゃ楽やな」と思って。両親に高校を辞めると言ったら、「それは頑張ってくれ」と説得されて。兄貴も「わざわざ辞めなくても、行きたいときに行くでええやん」と言って「じゃあ、そうします」みたいな。そのときはバイト先に友達もいたし、人とのコミュニケーションがゼロだったわけじゃないので、コミュニケーションが嫌だったというよりかは、無理に学校へ行ってそこで人間形成されるのが嫌だったので、そのときの気分でしたよね。
──途中から「みんなと同じように通いたいけど、いまさら引き返せないしな」というジレンマはなかったですか。
谷口:嫌な子とは喋らなければいいし、一応話しかけてくれる子はいたので何とかやってましたね。無理に通わないで、行きたい日に通うやり方にシフトチェンジしたというか。俺を登校させようとした先生は何人かいましたけど、分かるじゃないですか。「こいつ、自分の言葉にすごい酔ってるな」みたいな。
──金八先生の影響を受けてるだろ、みたいな。
谷口:そうそう。未だに腹が立つところはありますよ。「俺に説教してたとき、あいつ自分に酔ってたなぁ!」って。

──ふふふ。どんなことを言われたんですか。
谷口:まずは「一度でもダメなレッテルを貼られたら、もうあかんくなんねん」から始まったと思うんですよ。次に「すごい人気のコーラがあるとするやろ? ただ、1回でも毒物が入ったとなれば、コーラは買われなくなるねん」と言ってたんですけど、俺は買うけどなと思ったんですよ(笑)。ただ、その先生はこれまでに何人も同じ言葉で説得してきた実績があったから、俺にもコーラのくだりを永遠と言ってきて「こっちの気が抜けてくるわ!」みたいな。いま思い出しても腹が立つから、よっぽど嫌やったんやろうなと思いますね。
──そう言われて、怒りの感情が湧いたのか「ほっといてくれ」と思ったのか、どっちでした?
谷口:ほっといて欲しいという感情が強かったと思います。俺は、この人とは絡まんでいいかなと思っていたので、「ほっといてくれ」プラス「悦にいってる者に対しての怒り」もあったと思います。
──相手がヒートアップしてると、言われた側は冷静に見ちゃいますよね。
谷口:そうですよね。相手が押したらこっちは引くみたいなことは考えますよね。そこでお互いに押し合っても、結局2分くらいで体力が切れるじゃないですか。それは建設的じゃないので、なるべく相手をかわしちゃいますね。
