ただの恋愛のラブソングではない。
――「Right Now」の歌詞はRightと書く方のWriteがかかってるんですね。
ONCE - Right Now (Official Music Video)ONCE - Right Now (Official Music Video)
ONCE:(笑)。ちょっとした遊びですね。
ーーしかもタイピングみたいな音がSE的に鳴ってるのが効果的だなと思いました。これは今の杉本さんのテーマっていう感じがします、書くことっていう。
ONCE:はい(笑)。これはでも本当に締切に追われてる夜の自分の気持ちをそのまま書いてる感じですね。
――ライブでも自然に乗れそうですね。
ONCE:そうですね。特にビートの気持ちよさみたいなのはすごい大事にして、そこが一番大きいかもしれないですね、今回の作品だと。
――それはトータルであることかもしれないですね。1stは全曲のジャンルが違うぐらいのイメージがあったので。とはいえ「Nocturne」、まさに夜想曲というクラシカルな曲もあり。
ONCE:リズム全くない(笑)。
――タイトル通りのイメージなんですけど、タイトルは曲ができてからですか?
ONCE:タイトルは最後だったんですけど、この曲も最初に話したその時々に伝えたい曲として作っていて。これはビルボードライブでもう披露はしてたんですけど、そのビルボードライブやるって決まった時にその場所でどんな曲やりたいだろうなってイメージしながら作った曲でしたね。
――「夢でもし逢えたら」も?
ONCE:これもビルボードでやっちゃったんですけど(笑)、どちらかというとこの曲はちょっとライブハウス寄りというか、まあ単純に最初のツアーを終えてもうちょっと一体感を作れる曲が欲しいなあっていう中で生まれた曲ではあります。
ONCE - 夢でもし逢えたら(Official Music Video)ONCE - 夢でもし逢えたら(Official Music Video)
――発想はどこからでした?ちょっとクラブジャズっぽく聴こえるなと思ったんですが。
ONCE:そうですね。でも発想はどちらかというと歌詞先行というか、歌詞ができてたわけじゃないんですけど、自分の大切な近い人がいなくなったり結構落ち込んでる時期があって。そういう時にその人との思い出をただ悲しく思い出すだけじゃなくて、その人との中にも楽しい記憶だったり幸せな瞬間っていうのはたくさんあったから、そういうのを思い出させてくれる曲を作りたいなと思った時に生まれたのがこの曲で。歌詞のメッセージとしては喪失感からの想いを歌ってるんですけど。でもそれを明るく受け止められるような曲に乗せたいなっていうので作っていきました。
――近しい人にいなくても最近は影響力の大きな方が逝去されることも多かったので、思うところはあります。20代前半とかではあんまり考えないじゃないですか?新しく加わったテーマではある?
ONCE:うん。そういった時に感じるものがやっぱり人生変えていくなと思いますね。
――そういう立場や年齢、時期に差し掛かった感じってありますか?
ONCE:(笑)。それが結構このONCEのテーマに繋がってる部分ではありますね。僕自身もコロナ禍でコロナに罹って結構後遺症重く引きずって、息が続かなくて歌うのがしんどくて「もう表に立つのは無理かな」って思ってた時もあったんです。そこから価値観というか音楽への向き合い方みたいのがすごく変わったので、うん。
――でも今の杉本さんの音楽に悲愴感はないですね。
ONCE:そうですね。その当時はすごいネガティブではあったと思うんですけど、でもそこから今音楽でやれてるからこそ、無駄にできないなっていう前向きさだと思うので。7曲目の「この手」とかにもそれはすごい影響あったなと思ってて。この数年、人との触れ合いの中で感じる愛情みたいなものの大切さっていうのをすごく感じてたので。元々この「この手」っていう曲は単純に恋愛的なラブソングを書こうかなと思ってメロディを書き始めたんですけど、いざ歌詞を作ろうっていろいろ考えて、自分が人から愛情を受け取る瞬間ってどんなんだろうなって考えている中で、ただ恋愛だけじゃなくていろんな瞬間に人が手で生み出すものだったり創り出すものから自分は今まで愛情をたくさん受け取ってきたんだなっていうのを感じて、ただの恋愛のラブソングじゃなくて自分が今まで受け取ったものへのラブソングを作りたいなというので、この「この手」っていう曲を作っていきましたね。
――「いつか」はビートの組み方が面白い。
ONCE:この曲だけアレンジャー(佐伯栄一)の方にアレンジしてもらってて、ビートも自分じゃ作らないビートでしたし、でもアルバムの中で並んだときに面白いスパイスになったなと思ってます。
――歌詞の内容は別の未来を見てる二人という印象で、主人公はそれを認めている気がします。だからこのカラッとしたアレンジが合っているのかなと。
ONCE:メッセージ的にもちょっとこのアルバムの中では浮いてるというか。僕の中で本当は最初「この手」を作るときにONCEでもうちょっと大衆的なサウンドを意識した楽曲を作ってみたらどうなるんだろうっていうので作り始めてたんですけど、でも結局「この手」はちょっと違う方向に行ったので、じゃあこの「いつか」っていう曲でそれを試してみようっていうので、歌詞も今まで作ってきた曲は割とノンフィクションというかリアルに今自分が感じてるものを伝えたいものを曲にしてたんですけど、この曲ではちょっとフィクション的に作ってみようっていうので、そこは気楽に楽しく作った曲ですね。
ONCE - この手(Official Music Video)ONCE - この手(Official Music Video)
――ちょっと作家的にというか?
ONCE:そうですね。
――寂しい気持ちもあるはずなんですけど、あんまり未練を感じない仕上がりだなと思いました。
ONCE:主人公は女々しいんです、もうダメだって気付いてるんで(笑)。
――(笑)。アルバムが完成してみてどうですか?
ONCE:曲単体で作っているときはアルバムを想定してなかったんで、ちょっととっ散らかるのかなっていうイメージがあったんですけど、意外と、サウンドはもちろん振れ幅あると思うんですけど、でも歌詞の世界観だったりだとか核になる部分っていうのはちゃんと筋を通して曲を作れてるんだなっていうのを聴き終わった時に感じましたね。
――そしてリリースの翌々日からワンマンツアーが始まります。今回はバンドセットなんですか?
ONCE:そうですね。前回のツアーが“一人実験”的な感じだったので、今回はより一体感のあるライブを作っていきたいなと思っています。
――バンドの時と違ってなんかソロのバンドリーダーっていう感じになると思うので、いろんなことを引っ張っていかないといけない部分も多いんじゃないですか?
ONCE:そこはそんなに意識してないですけどね(笑)。
――音楽のもとに集まってきてくれるメンバーっていう?
ONCE:そうそう。全部僕から「こうして」っていうものよりもその人に委ねて変化を楽しむっていうスタンスですね。もちろん引っ張る部分も必要だと思いますけど。
――では最後に、ONCEというアーティストの今後はどうなってきそうですか?
ONCE:やりたいことは色々昔からイメージで持ってるんですけど、この半年、この作品を作っている時間が本当に怒涛だったので、一回ツアーを終えてちゃんともう一回見つめ直さないとなっていう感じではあります。何か新しいことをやるってなってもそのタイミングだったり誰とやるかみたいなことってすごい大事だと思うので。
編集 : 西田健
ONCE、セカンド・アルバム『Wandering』
LIVE INFORMATION
ONCE ONEMAN TOUR 2024「Wandering」
東京公演 2024年9月7日(土) shibuya WWWX
open16:00/start17:00
・振替公演日程
▼愛知公演 / 振替日程
[日程]2024年10月27日(日)
[会場] 愛知 / SPADE BOX
[開場 / 開演] 16:15 / 17:00
[問]サンデーフォークプロモーション 名古屋:052-320-9100(12:00〜18:00)
▼大阪公演 / 振替日程
[日程]2024年10月4日(金)
[会場] 大阪 / Music Club JANUS
[開場 / 開演] 18:15 / 19:00
[問] キョードーインフォメーション:0570-200-888(平日・土曜 / 11:00〜18:00)
振替公演ではお手持ちのチケットが有効となりますので、失くさないよう大切に保管ください。
振替公演にご来場いただけないお客様は払い戻し対応をさせて頂きます。
払い戻しの詳細につきましては後日改めて、ONCEオフィシャルホームページ、愛知公演:サンデーフォークプロモーション、大阪公演:キョードー大阪のホームページにてお知らせ致しますので今しばらくお待ちください。
それまでご購入いただいたチケットは、紛失・破棄等せずに保管して頂きますようお願い致します。
詳しくはHPをご確認ください。
https://ysonce.net/news/22371
ディスコグラフィー
PROFILE : ONCE
2009年WEAVERのピアノボーカルとしてメジャーデビュー。 アニメ『山田くんと7人の魔女』ED曲 「くちづけDiamond」のMVが1500万再生を記録。2023年2月、神戸国際会館にて行われたライブをもって解散。 様々なアーティストへの楽曲提供や編曲プロデュース、サポート、ミュージカル『怪人と探偵』『ソングライターズ』、地球ゴージャス作品などの音楽も担当する他に、舞台『ちょっと今から仕事やめてくる』ではパフォーマーとして出演するなど幅広い活動を行っている。
【公式X】
https://x.com/sugi_weaver
【公式ホームページ】
https://ysonce.net