音楽としてじゃなくて、完全に見た目から入りました
──ビバラッシュの音楽的ルーツはどのへんにあるんでしょうか。
小野:あー、ルーツめっちゃ気になりますね。
パーミー:メンバー4人みんなバラバラなんです。ビバラッシュの楽曲の7~8割は僕が作ってるんですけど、海外と日本のラウドと、あとは日本のメロコアがけっこう好きで。
小野:ハイスタからはじまる系譜の?
パーミー:まさに。そこからエルレとか。なので曲を作るとそういう方向に行きがちなんですけど、同期を入れたりすることでバランス取ってます。
小野:同期のシンセの入れ方はどこからですか?
パーミー:あー。それで言うとアニソンですかね。
小野:言われてみればコード進行もちょっとアニソンが入り混じってる感じがしますね。ラウド系のコード進行じゃないですもんね、あんまり。
パーミー:我慢してます(笑)。
小野:サウンドはラウドにして、コード進行はアニソンから持ってきて、外枠でシンセも入れて固めていくという。新しいパーミーサウンドを模索しているわけですね。
パーミー:本当はラウド系に行きたいんですけど、ヴォーカルがコンセプトを持ってきて、それに沿った曲を作るとなるとチャンスがなくて。
小野:るいまるさんがコンセプトを持ってくるんですね。おもろ!
るいまる:ヴィジュアル込みで全体的なイメージを考えるんです。わりと歌詞やタイトル先行で、「こういうコンセプトでこういう曲が欲しいのでよろしく」みたいな感じで。
小野:るいまるさんはそういうのを考えるのが得意なんですね。曲も作ってるんですか?
るいまる:昔は作ってたんですけど、いまのバンドになってからは作ってないです。中身を考えるほうが得意なのと、あと彼の作る曲が好きなので、もう完全に任せてますね。
パーミー:で、作詞は100%るいまるがやってます。
小野:メロはシンセとかピアノでつけて、それをるいまるさんに投げて。
パーミー:そうです。MIDIで送って。
小野:歌詞はその譜割にだいたいそのままハメるんですか?
るいまる:わりとハメますけど、ハメきれなかったときは「こう変えたらいいんじゃない?」って調整してくれます。
小野:めっちゃいいタッグですね。
パーミー:僕はヴィジュアル系はほとんど通ってなくて……。
るいまる:ほとんどっていうか、僕からしたらまったく通ってないです。
小野:るいまるさんはめっちゃ通ってる?
るいまる:めっちゃ通りました。でも僕がいちばん好きなのは、女性のソロ・シンガー、かっこ歌唱力高い人、なんです。
小野:意外! 絢香さんとか?
るいまる:はい。あと浜崎あゆみさんとか宇多田ヒカルさんとか、歌姫って言われる人たちが好きで、歌姫になりたくて……。
パーミー:なりたかったんか! 知らんかった(笑)。
るいまる:例えば浜崎あゆみさんは豹柄にドレスに、みたいな感じじゃないですか。そういう男の人って、J-POP界隈にはあんまりいないんですよ。
小野:いないいない。ヴィジュアル系界隈ですよね、どっちかっていうと。
るいまる:GACKTさんとか西川貴教さんとか氷川きよしさんとか、そういう人が好きで、自分もやりたいなって思ったときに、もともとディズニーランドもすごい好きなので……。
小野:ディズニー感は伝わってきます。そこも足したわけですね。
るいまる:いろいろ足してたどり着いたのが、Janne Da ArcさんとかGACKTさんだったんですよ。それまでヴィジュアル系は全然知らなかったんですけど、YouTubeで知って調べていくうちに、自分は足し算されてるものが好きなんだなってわかってきました。華やかな衣装、ゴージャスな髪にメイク、みたいな。
小野:入り方めっちゃおもろいっすね。もうちょっとなかから入ってくる人が多いでしょう。
るいまる:音楽としてじゃなくて、完全に見た目から入りました。
小野:「自分の音楽をやりたい」っていうより「アイコンになりたい」みたいな?
るいまる:そうですね。憧れて真似することで満足してました。
小野:そこでパーミーさんとの出会いもあり、曲として具現化してくれる相棒を見つけたということなんでしょうね。
るいまる:で、最初はちょっとダークな感じでやってたんです。
小野:それは改名前?
パーミー:そうです。白いコンタクトをはめて……。
るいまる:太陽眩しいぞ、みたいな感じで「地獄へようこそ」系をやってたんですけど、僕らがやるとなんかちょっと笑えるっていうか、かっこよく決まらなくて(笑)。
小野:確かに、それをやって本当にかっこいい人たちは本気ですもんね。演じてないというか。
パーミー:バックボーンありきで出てくるオーラみたいな。僕らはどっちかというとコミカルオーラタイプなんで、背伸びしてかっこつけてるように見えちゃうんです。なのでしっかり足していく方向性になりました。
るいまる:そうなんです。「やりたいことと自分に合ってることは違うんだな」と思いながら。
小野:確かに。すごい格言ですね。やりたいことと自分に合ってることが同じな人がうまく回ってるし、そこが違うと一生苦しむ羽目になるという。核心を突いちゃいましたね(笑)。